モチーフ車の完成度を投影する中にクラシック感を追加
油冷モデルを中心に多くの車両の整備やカスタムを手がける飯田レーシングファクトリー。GS1200SSへの作業依頼も多く、この車両もそうした1台。ベース車=GS1200SSが元々のモチーフとした、1980年の鈴鹿8時間耐久レースウイナー・ヨシムラGS1000Rのイメージをきちんと伸ばしつつ、作動性や操作性を高めるべき部分にはそれに合わせたパーツを使い、オイルクーラーの大型化などの手も入っている。
この手法、同店のGS1200SS・デモ車1号機(https://handl-mag.com/goodlooking/211101-iidaracingfactory-gs1200ss/ でも紹介)で見られたものの投影という感じもする。それでも十分なのだが、そこは飯田レーシングファクトリー。それだけで終わらせていないところに興味が湧いてくる。飯田さんに聞こう。
「1号機をリスペクトしてくださっているのはその通りなんですけど、この車両ではオーナーさんの“当時の雰囲気を残す”という考えも反映させています。
カラーパターンやブラック中心の車体パーツは確かに1号機と近い。でも例えば、フロントディスクにサンスター・ネオクラシック、キャリパーにブレンボ・アキシャルを使って、’80年のGS1000R当時のクラシック感を出すように変化を付けています。両方とも現代で普通に使うパーツで性能的にも問題なく、このスタイルへのまとまりもいいと思います。
マフラーも1号機で使っていたアップでなく、すっと後ろに伸びるダウンタイプ。メーターはスタック製を4連(ST-3802スピードメーター/ST100-010エンジン回転計/ST3309油温計/ST3315燃料計で、いずれもアナログ指針を持つ)にしてあって、これも当時感を出していると思います」
アルミ地カラーのボトムケースを見せる方向で使った純正正立フロントフォークなども相まって、ネオクラシックのイメージは見事に際立たせられている。エンジンこそ純正1156cc仕様だが、ここは定期整備で問題なし。車両作りに関してもメーターまわりのように最前線も吟味した上で、デモ車1号機同様にきっちり行われている。
印象の強いモチーフがある。でもそれに負けないような自身の考えを伝えて昇華した、ちょっと楽しい1台を見せてもらえた。
Detailed Description詳細説明
メーターはオリジナルパネルに指針を持ったスタック製の4連。左からST3309油温計/ST-3802速度計/ST100回転計/ST3315燃料計の配置で、'80年代らしい密度とメカメカしさも表現される。赤アルマイトされたデイトナ・セパレートハンドルに付く左右マスターはブレンボRCSだ。
GS1000Rカラーの外装はGS1200SSでスクリーンとレーサーレプリカミラー・タイプ4ヘッドはマジカルレーシング製。
シート/シートカウルも純正で純正アクセサリーのシートカバーも装着する。
ステップは飯田レーシングファクトリーオリジナルの「GS1200SS用 バックステップKIT」で4ポジションから選べる。
φ79×59mmの1156cc油冷直4エンジンはノーマル状態で、オイルクーラーはプロト・ラウンド13段をオリジナルステーでマウント、「油冷オイルキャッチタンク」は飯田レーシングファクトリーオリジナルパーツ。アンダーカウルはマジカルレーシングの綾織りカーボン製だ。
キャブレターはヨシムラミクニTMR-MJNφ40mmサイドリンク+デュアルスタックファンネルをセットしている。
φ43mmの純正正立フォークは飯田レーシングファクトリーオリジナル正立ステムKITでマウントし剛性感をアップ。フロントブレーキはブレンボ アキシャルCNC 4ピストンキャリパーにサンスター・ネオクラシックφ310ディスクのインナーをブラックアルマイトして当時感を高めたものを組み合わせる。
リヤブレーキはブレンボCNC 2Pキャリパー+サンスターφ250ディスクで排気系はSupe-Bike製スリップオンマフラーを使う。
スイングアームはGS1200SS純正に飯田レーシングファクトリーでスタビ加工とワンオフエンドピースを加えたオリジナルで、「GS1200SS・イナズマ1200用 レーシングスタンドフックSET」も飯田レーシングファクトリー。ショックはオーリンズ・グランド・ツインでホイールは3.50-17/5.50-17サイズの純正品だ。