カワサキ・ニンジャ GPZ900Rカスタム最前線! マーベラスエンジニアリング 後編
ベース状態の良化と目的の明確さがカスタムの楽しみに
2台の特性の違いを、もう少し折目さんに掘り下げてもらおう。
「初号機はどちらかと言えばピンポイント的な作りで速度域も高めですから高めの集中力が要りますし、半面、その時間はあまり続かない。月1、2回楽しめれば十分という感じです。弐号機ももちろん集中力は要りますが、それがリラックスした中で現れるので、1000㎞とか結構な距離を乗っても疲れないようになっています。2台の違いはそんなところに集約されたかなと思います。この2台を作ることで、各パーツのことも分かりましたし、1台で両者の目的をカバーしたいというケースにも対応できるかなと思いました。それは、ニンジャ自体の間口が広いから。35年も前のバイクなのに、元の乗り味が古いわけでもない。パーツに関しては、知っての通りです。
あとは目的をはっきりさせて、もうひとつ、ベースの状態を良くすること。これはタイヤ試乗会などに行って新型車に乗る機会を増やしたことからも分かりました。1台だけに乗っているとなかなか違いや劣化も分からなくなるんですが、違うものに乗ることで感覚のリセットができて、ニュートラルな目で自分の車両も見直せるんです。
▲MARVELOUS GPZ900R 初号機
じゃあ何でもかんでも強化かというとそうでなく、バランスをきちんとすること。何か付ける場合は、付けられる側もそれに合う状態か考えること。ノーマルでも生産されたばかりの新車の時は、そのバランスが全体でも取れているわけです。それが徐々に劣化していく。その劣化を取り戻すのは、実際にはカスタムではなく、メンテナンスと、レストアになります。元をしっかりしないと、パーツの性能も生きてこないんです。
▲MARVELOUS GPZ900R 弐号機
ニンジャは作られた年代から想像するより現代的なんですが、それは整備が前提です。自分で手を入れるという楽しみもあっていいですが、いい主治医、できれば渡り歩きでなく同じ目線、一定の見地のショップを決めて、たまにはプロの目線で車両を見てもらってほしいですね。車両がちゃんとすれば、楽しみは増えるはずですよ」
ニンジャ現役時代からの膨大な数の車両を見てきて、トラブルシュートやカスタム製作を行ってきたノウハウは伊達ではない。それにマーベラスならニンジャドックをはじめ、メンテナンスメニューも持っている。第三者、プロの目で見てどんな状態かは今からのニンジャカスタムには欠かせない要素だろう。これも加えてベース車のコンディションをきちんとさせる。その上で、狙い=用途やルックス等の全体感を決める。
この2点を決めることで、使うべきパーツも決まるし、必要なバランスも見えてくる。さらには予算感も見えるだろう。折目さんの2台のニンジャカスタムからは、そんなニンジャの今後へのメッセージも汲み取れるのだ。
MARVELOUS G PZ900R 弐号機 詳細
マーベラスNinja弐号機はノーマルルックを生かしつつ機能面を充実させるパーツチョイスをしている。その詳細をチェックしていこう。
▲【自然な位置のバーハンドル】自然な位置に設定したバーハンドル(ハーディー)用にアッパーブラケットのみ変更(Nプロジェクト)したコクピット。スクリーンはこちらもマーベラス・ダブルバブル。ステップ位置も異なる
▲【シートはノーマル寸法で高質化する】上質さで定評のあるトゥーズカスタムに依頼し、テールからの縫い目位置や形状等をノーマルと同じにしてノーマルルックで疲れにくく操車しやすくなるマーベラスオリジナル品を装着
▲【ストリートならFCRで十分対応】弐号機ではキャブレターはFCRφ37㎜に。ストリート用なら低速/低回度から安定したセットアップもでき、ノーマル同様に使えてこちらがおすすめとのこと。上の初号機のようにゴーストップが少なくサーキットで走らせるなら上での吹けが魅力的なTMRという選択もありだという
▲【ストリートでの使いやすさも考えたリヤサスペンション】リヤサスも初号機はオーリンズ、弐号機はハイパープロ。バッテリーマウント部をカット加工(比較的容易)してピギーバック式を使えるようにするハイパープロショックの製作もアクティブと進行中
▲【シンプルルックで性能もキープ】フロントフォークはZRX1200用φ43㎜、ホイールはガンメタのゲイルスピードTYPE-C(3・50-17/5・50-17)、キャリパーはブレンボキャストをブラック化し見た目シンプル×性能アップ
■取材協力・マーベラスエンジニアリング
※本企画はHeritage&Legends 2019年8月号に掲載されたものです。
カワサキ・ニンジャ GPZ900Rカスタム最前線! マーベラスエンジニアリング 前編はコチラから
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