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カワサキ・ニンジャ GPZ900Rカスタム最前線! マーベラスエンジニアリング 前編

変えることが主体だったカワサキ・ニンジャGPZ900Rのカスタムは、今や性能を高めつついかに延命するか、古びない感じにするかを軸にシフトしてきた。そのためにどうすればいいのか? 主立ったニンジャ系ショップの最新手法を見ていこう。今回はカスタムパーツが豊富という枠にとどまらず、エンジンを主に後継機種のパーツが使える点を軸に広がったニンジャカスタムの利点を生かすにはどうすればいいか? マーベラスエンジニアリングが考える、ニンジャカスタムを前編・後編に分けて紹介する。

どこを狙うかでカワサキ・ニンジャのカスタムは変わる

カスタムには流行の波がある。ニンジャで言うなら、後継機エンジン搭載での動力性能向上や足まわりの換装、バーハンドルにアンダーカウル撤去。そうした一定のスタイルが発展定着した後、逆にノーマル回帰で排気量も上げずアンダーカウルも外さないという車両も目立つようになってきた。

「実際その通りで、少し前のZを見ているようです。ニンジャが旧車の域に入ってきたんでしょう」マーベラスエンジニアリングの折目さんは言う。ニンジャに長年乗ってきた目にもそう映るようだ。

「ただそれだけでなく、カスタムの手前の状態として、市場に出ている中古車の状態も悪いものが増えています。5年、10年前と見た目が同じだとしても、中身はその分確実に悪くなっている感じです。新車ではないですから、ただ置いているだけでも劣化は進むんです。その間に純正パーツの欠品もエンジン内部や外装はじめ、加速度的に増えています。すると使いたい純正品は新品がないから中古良品を探すことになりますが、それも高くなっている現状です」

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単に時間が経つだけではなく、それに応じてニンジャ自体の状態も悪くなっているようだ。折目さんはニンジャに対するメンテナンスをメニュー化した『ニンジャドック』を発案し、およそ5年の間にじつに多くの個体を見て、そこからも実感してきた。

「それでカスタムの場合ですが、以前は見た目も性能的なものもゴージャスにというのが主眼でしたが、今は車両の実力をしっかり高める方向に、という感じになったと思います。せっかく手に入れるのだから、いいものにしたいという感じでしょうか。ほんとにいろいろな手法がありますから、私としてもできるだけ対応したい。それで2台持ちという、ある意味贅沢な感じですが、初号機と弐号機を作ったわけです。初号機はサーキット寄り、弐号機はツーリング&街乗り用と仕様を分けています」

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▲MARVELOUS GPZ900R 初号機 保安部品を備えストリートカスタムの姿勢を維持する初号機。単にレーサーにするならハーネスの簡略化等もできるが、あえてストリートも走る縛りを加えたことで速さだけでない各パーツの意味も吟味できている

折目さんの2台のカスタム。見た目からもその違いが分かる。内容はどうだろう。

「初号機はいいものはとにかくトライしたい、ニンジャをベースにどこまで行けるかを楽しむという作り込みです。例えばフォークのアッパーブラケットは、肉抜き仕様です。しなりの違いを肉抜きなしと比べたかった。でもその速度は公道ではまずないシチュエーション。ですから初号機はサーキット用で。一方の弐号機の方は、あくまでニンジャであることを元に、乗りやすさや使いやすさを高めました。まあどこまでがニンジャかという話になると難しくなりますが(笑)。

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▲MARVELOUS GPZ900R 弐号機 Ninjaの持ち味を生かしつつ、こうだったらいい、軽いといいという点などをきちんと出し、公道で楽しめるのがマーベラス弐号機。A6純正カラーでマフラーもチタンエキパイにメガホン部を組み合わせてブラック塗装するなどあえての部分も多い

弐号機は見た目もセンターカウルやカラーを含めてノーマルチック。ディスクもブレンボをあえてインナーをブラックにしたり、マフラーもチタンをマットブラックで塗ったり。細かい点ではステップ位置も弐号機は前/下、初号機は上/後ろできつめ。比べてみると初号機はシャープ、弐号機はニンジャをきちんと受け継いだ動きにと、特性も変わりました」

 

MARVELOUS G PZ900R 初号機 詳細

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マーベラスNinja初号機はいわば折目さん用の実験機。どういう性格かを理解し短時間での集中力を高めるチョイスとなっている。どのような内容になっているのか詳細をチェックしていこう。

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【必要な情報と確実な操作のためのコクピットづくり】伏せていても見やすいことで、「Ninjaの好きな部分」(折目さん)という4連メーターを生かしたコクピット。STACK回転計や電圧計部に収まる空燃比モニター、ほか、Q-STARZラップタイマー等をマウント。肉抜きトップブリッジはMccoyオフセット可変タイプで左右スイッチはハンドル切れ角確保のためボックスをやめMotoGPタイプを装着

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【スクリーンはクリアさとルックスを両立】超クリアな視界と、Ninjaらしいスタイルをキープするセンター高さを確保した形状にこだわった、マーベラス新作のダブルバブルスクリーン(1万7280円、写真のクリアとスモークあり)を装着

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【より効率の高い冷却方法を探る】ラジエーターを大型化した上でその下や前にオイルクーラーを付けることも多いニンジャ。折目さんも各種試し、このフロントライト部がベストという結論に。ラジエーターには冷却効果を最大にしつつコアをガードする新作ディバイディングラジエーターガード(2万1384円)を装着

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【スープアップの余力がある後継エンジン搭載】この車両のように後継機エンジン換装の場合、ピボット上のA 、同前のB の2カ所のリヤハンガー。前側は追加ダウンチューブにマウント( C ) することになる。GPZ-RエンジンでならC はないがフレームのD 部分に直接シリンダーヘッドが止められる利点がある。この初号機ではRX1200R(1164㏄)+DAEG用6速+WPC/DLC/鏡面コンロッド+アドバンテージST-1.5カム等の内容を持つ。キャブレターは中速以上の吹けの良さからTMR(φ38㎜)に。スライダーはアクティブ新作

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【点火系はコイルも含めて一新】点火系はこの車両のようにウオタニSP2にしたり、TGナカガワHIRにするのもおすすめ。ユニットやコイルは徐々に劣化→不調を招くことも多いので、要注意箇所とのことだ

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【ブレーキ系の強化】レーキ系を強化、変更する場合はサスペンションとのバランスを考えたい。リヤでも効き過ぎれば制動時の不安が出てきて、きちんとかけられないケースも出る

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【サスとのバランスを重視】フロントはフォークの太さやタイヤグリップがまず釣り合うか、そして整備されて動きが正常かが大事。初号機はモノブロックのブレンボ4P+サンスターディスク+ブレンボラジアルマスターだが、公道ならここまでは不要とも。ホイールはマグタンJB4、ステップはナイトロレーシング加工品だ

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【マス集中化を狙ったショートタンクも試す】燃料タンクはアルミインナー化され、タンク部は従来と同カラーが施されたFRPカバーとなった(ともにスピードテック製)。カバー後端で前に10㎝移動、合わせてシートレールも前進、ここに置かれた補機類も移動し「リヤショック上に着座するようになり、リヤからの情報量が増えた」(折目さん)という

■取材協力・マーベラスエンジニアリング

※本企画はHeritage&Legends 2019年8月号に掲載されたものです。

カワサキ・ニンジャ GPZ900Rカスタム最前線! マーベラスエンジニアリング 後編はコチラから