スズキGSX-R1100(1986~1998)の歴史

スズキGSX-R1100(1986~1998)の歴史

油冷750を元に現代的なリッター超え旗艦車の指標を作る

GSX-R750の軽量コンパクトハイパワー思想をそのままオーバーリッターにも投入、初代で130ps/乾燥197kgと破格の性能を実現したGSX-R1100。このクラスでもその基本目標が生きることが確認され、ツアラーから無制限レースまで幅広く支持された。基本的にはR750が受けた変更をR1100が1年後に受けるというように推移し、750はレースベースとしての新鋭の進化、1100はほぼ同様の構成を後追いしつつ互いが進化してGSX-Rシリーズに厚みを持たせた。

 

1986 GSX-R1100(G)
スズキGSX-R1100(1986~1998)の歴史02

初代R750(F)登場の翌年、R750からボア×ストロークとも拡大したφ70×48.7→φ76×58mmの1052ccで130psを発揮する油冷エンジンを、R750を元に強化したフレームに積んでGSX-R1100が登場。乾燥200kg切りの197kg。足まわりもR750ベースだがホイールは2.75-18/4.00-18と1サイズ幅広。

 

1987 GSX-R1100(H)
スズキGSX-R1100(1986~1998)の歴史03

1987年型Hはフロントアクスルをφ15→17mmに大径化しタンク形状を変更。

 

1988 GSX-R1100(J)
スズキGSX-R1100(1986~1998)の歴史04

1988年型Jはスポーク形状を変えてリヤを4.50幅に、タイヤも150→160に拡大。

 

1989 GSX-R1100(K)
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4年目Kで初フルチェンジ。エンジンは1052→1127ccとし搭載位置を12mm下げ、吸排気もBS34SS→スリングショットBST36+SCAI/左右出しEXに。フレームは角型→スムージング強化型で25%剛性向上しフォークもφ43mmに大径化、前後ホイールも17インチ(3.50/4.50)に。

 

1990 GSX-R1100(L)
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GT路線を明確にし、1990年型Lでは倒立フロントフォークは倒立(φ41mm)を新採用。リヤホイールも1インチ拡大して5.50幅とした。

 

1991 GSX-R1100(M)
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Kから2年後の1991年型Mは再度のフルチェンジ。エンジンは2→1バルブ1ロッカー化、キャブもBST40にされMAX140psに。外観もスラント化して2灯の前面にクリアカバーを追加、SCAIの導入部形状も変更。テールランプも2灯化したが、乾燥246kgと重くなっていた。

 

1992 GSX-R1100(N)
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1992年型はカラー変更のみで、GSX-R1100の油冷最終モデルとなる。

 

1993 GSX-R1100W(P)
スズキGSX-R1100(1986~1998)の歴史08

1992年型NでR750が水冷化したのに合わせ、1年後の1993年型MでR1100も水冷化し、車名もGSX-R1100Wに変わる。エンジンは排気量もφ75.5×60mmの1074.5ccと変わり、バルブはロッカーアーム駆動から直打式になり、BST40キャブ/左右出しEXとで市販車として当時最高の155psを発揮していた。

 

1994 GSX-R1100W(R)
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最速GT路線を走るGSX-R1100Wは水冷2年目の1994年はカラーリング変更。ただ、重量が増えた。

 

1995 GSX-R1100W(S)
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1994年の重量増加の反省からか、1995年型Sで10kgの軽量化(5角断面アルミフレームや新装備のφ43mm倒立フォーク/3.50-17・5.50-17サイズのホイールを各薄肉化し231→221kgに)とライト形状/カウルの変更を行うが、以後最終となる1998年型Vまでカラー変更のみで推移。1999年にはGT発展型としてメガスポーツの祖となるハヤブサにバトンを渡す。

※本企画はHeritage&Legends 2020年3月号に掲載された記事を再編集したものです。
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Heritage&legends編集部

バイクライフを豊かにし、愛車との時間を楽しむため、バイクカスタム&メンテナンスのアイディアや情報を掲載する月刊誌・Heritage&legendsの編集部。編集部員はバイクのカスタムやメンテナンスに長年携わり知識豊富なメンバーが揃う。