カタナカスタムから知る 空冷カタナの勘所

テクニカルガレージRUNのスズキ・カタナカスタムから知る空冷カタナの勘所

初代から40年近く、ファイナルからでも20年以上経ったスズキのカタナ。名車ではあるが旧車となったこのモデルには、今どんな手を入れればいいのか。その勘所はテクニカルガレージRUNが2013年にロールアウトさせたカスタム車「ハガネ」に見て取れる。

新旧の選び時であり手を入れる決断の時だ

新しいKATANAにするか、旧車カタナを選ぶか。ファンには悩ましい問題が浮上してきた。

「多くの意味で、今が決めどきになりましたね。いろんな意見はあるんでしょうが、スズキはあのパッケージを新しいKATANAとして送り出したわけです。見た目も気に入って、カッコイイ! と思ったら、これを選ぶといい。現代バイクで電子制御だし、性能不足やトラブルは考えられない。

対して今までのカタナ。これはもう、手に入れるなら今がラストチャンス。これからはどんどん状態は悪くなるし、価格は上がる。パーツもなくなっていく。つまり、やることが増えて費用がかさむことになります。だから今。予算と性能。シビアに費用対効果で選ぶなら間違いなく新型でしょうね。旧型の価格も高騰している今、しっかりした中古車はすべて新型以上に費用がかかると思いますし、危険と言えるレベルの個体が市場に出てる場合も。もちろん私も抗えないひとりですが、旧型には唯一無二の魅力があります。ただ、相応の心構えと完全整備は必須ですよね」TG-RUNの杉本さんは言う。

カタナカスタムから知る 空冷カタナの勘所006

▲テクニカルガレージ・ランの代表、杉本卓弥さん。同店はスズキ正規ディーラーであり、ニューKATANAも新車を扱う。カタナに関してもここに紹介したようなカスタム化を行っている

長年、多くのカタナを見てきて、経年にともなう劣化の激しい部分。生産当時は大丈夫でも、今の環境には耐えられない部分は整備+アップグレードするのが最適解だ。それは、同店製カタナコンプリートの「フルメタル・ハガネ」にも反映されている。フレームは修正と補強、コーティング(これらに耐えられないほど劣化した個体も散見される)、足まわりは現代タイヤを前提に、ストッピングパワーやタッチを向上。

エンジンは1135㏄化にフルチューンと同時に耐久性向上作業も施す。後軸120psはピックアップの良さと同時に雨天等の悪条件下でも安心して乗れるよう、扱いやすさも勘案した結果でもある。その後2017年には2号機のオーダーを受け、ハガネで施された内容を転用した車両も製作してきた。

カタナカスタムから知る 空冷カタナの勘所003

▲TG-RUN代表の杉本さんが“自分の理想とするカタナを”と自らがいちオーナーとしてRUNにオーダーする形で2013年に作ったフルメタル・ハガネ。前後18インチで出力は後軸120ps程度、パッと乗れて下駄代わりにもツーリングにも、サーキット遊びにも使える。かつカッコ良くて壊れずに長く乗れるという1台

「ハガネは2013年に作ってもう5年以上経ちますが、定期整備でいい状態が保たれて、ちょっと間が開いてもすぐに楽しく乗れる。ツーリングにもチョイ乗りにも、サーキット遊びにも対応できて、気持ちがいい。スーパーオールラウンダーといった感じに仕上がってます。18インチなのは、こっちの方がカタナらしいと感じたから。

もちろん17インチでも作れます。ハガネはプライベートでも結構な頻度で乗るんですが、ホントに、ただの1度も何のトラブルもない。いつでも快適で楽しい(笑)。古いマシンですが、そうありたいですね」

カタナカスタムから知る 空冷カタナの勘所002

▲その後ハガネ2号機も2017年に製作された

同店のカタナのカスタムは車両込みで300万円を超えるケースが多い。だがカスタムはあくまで上質化を図り、性能を高めるため。元車両のコンディションを新車以上にし、その上で各種作業を行うのだから、そのパーツ代と工賃を考えれば決して高くない。

「そう思っていただけるとありがたいですね。バックストーリーも合わせたカタナの価値を理解し、その上で楽しみたいと言っていただければこんな選択肢があります。絶対性能で今のバイクに勝つというのは難しい相談になりますが、レジェンドたる価値は衰えない。それを楽しめばいいと思います。

新しいKATANAは、これから定番になっていくと思います。それでウチでも新しいコンプリートカスタム車を作ります。シン・ハガネって名前は決めてます(笑)。現代バイクの良さに、ハガネでも作り込んだ上質さを加える。そうすれば、新旧で好きな方を選べることにもなる。今はそこが悩めるいい時かもしれません」

カタナカスタムから知る 空冷カタナの勘所004

▲フルノーマル・新車のGSX1100SM(スズキ70周年記念車=アニバーサリー)。こうした車両も今ならまだ探して出てくるが、既に30年ものなので手を入れないといけない点は変わらない

■取材協力・テクニカルガレージRUN

※本企画はHeritage&Legends 2019年7月号に掲載されたものです。