GPZ900Rスペックエンジニアリング後編

カワサキ・ニンジャ GPZ900Rカスタム最前線!スペックエンジニアリング 後編

スペックエンジニアリングはカワサキ・ニンジャGPZ900Rのカスタムやメンテナンスに大きく力を注いでいる。トラブルの原因を探し出し、適正化を行い、純正欠品にも自社製作で対応する。そこには代表・瀬尾さんの「Ninjaという名車の本当の姿、真の姿を楽しんでほしい」という思いが込められている。カワサキ・ニンジャ GPZ900Rカスタム最前線!スペックエンジニアリング編を前編・後編にわけて紹介する。

車両特有の事象にも対応することが「GPZ900R専門店」ということ

ーー前編に続けてスペックエンジニアリング・瀬尾さんにGPZ900Rについて聞いていこう。

瀬尾さんのGPZ900R対策はまだある。オーナーなら経験もあるだろうことだ。高速道路の上り坂で勢いよく走行していると、燃料はあるのにガス欠症状になる。真夏に料金所で停止後再スタートしてしばらくするとエンジンが吹けなくなる。連続高速走行中、温かい時に突然の雨や急に強い冷風にさらされると止まる……。これらは、タンクキャップの水抜き部にある小さなバルブの固化による燃料供給不良。前の症状のいずれもが、タンクへの空気流入不良に起因するからと原因を突き止め、対策する。

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▲瀬尾さんが信頼を寄せるメカニックの石川さん

ノーマルのCVK34キャブレターなのに燃費が悪い車両に対しては、キャブレター内部のパーツを疑う。ビッグバイクで街中を走る多くのライダーは、PJ=パイロットジェットとメインノズル(JN=ジェットニードルとNJ=ニードルジェットの隙間)からの燃料で走っている時間が圧倒的に長い。スロットルを開け閉めしている最中、メインノズル部分のJN=ジェットニードルとNJ=ニードルジェットは常にこすれ合っている。そのため、使用すればするほど摩耗し穴径が大きくなる。これで必要以上の燃料を供給してしまい燃費も悪化し、ドライバビリティも悪化する。単にオーバーホールしたから大丈夫ではなく、それが適正な状態になっているかを考えるべきということだ。

こうした対策は、挙げていけばきりはないほど。不調におとしめている要素を次々に見つけ、対策を思案し、車両にフィードバックする。製作や再生という形でパーツを用意し作業を行う。

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▲広島市の南に位置するスペックエンジニアリングだが、広島高速3号線の整備でICが近くなった。また他の整備も進み、広島駅からのアクセスも便利

それら目に見えない部分ひとつひとつの最適化という努力により全体が調和した適正な状態のGPZ900Rの本当の良さを知ってほしいというのが瀬尾さんの考え。これから車両を購入する人も、現在所有している人もこれらはヒントにしてほしいということだ。

 

ないなら作る。困るなら原因を探る。それが使命

GPZ900Rを長く楽しむために、スペック・瀬尾さんは多くの努力を重ねる。なくて困るパーツは作る。この機種で起こりがちなのに原因不明なトラブルは原因を探り解決する。その上で、快適に走る方法をも考えていくのだ。

急加速時や急冷時の不調を解決
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▲ロングラン途中で急に雨に降られて冷やされる、料金所で止まってエンジン熱が上がった後に冷える。すると吹けない、止まる……。これはタンク内圧の急変にキャップ下のエアバルブが劣化/固着して対応できずに燃料が十分行かないため。ここはエアバルブを新作して対処。小さなパーツだが、効果はとても大きい

純正オーバーサイズ終了を補うためのピストンキットも進化
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▲純正(左)Φ72.5mm、SPEC(右)Φ73mm

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▲純正品の供給が終了したすぐ後に製作を決め、2016年に供給を始めたφ73㎜ピストンキット。GPZ900R、ZX-9RやZZR1100などの純正品を解析、国内で製作。左はその鋳造から加工を経て製品までの段階だ。製品は純正そのままでなく20g/個の軽量化もされ、振動が減るなどのメリットを得た。現在は第6ロットを供給

燃費が悪いのはキャブレターインナーパーツの摩耗
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▲スロットルのアイドリング~低開度域の燃料量を調整するパイロットジェット(PJ)。ノーマルCVK34では設定はふたつ(写真両端)のみだが、スペックではこの中間をふたつ、新たに用意。1番(0.01㎜)ごとの設定にして純正でカバーしきれない分を補い、アイドリングの安定化や上へのつながりの良さを得た

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▲左はノーマルCVK34キャブ用のメインジェット(MJ)とジェットニードル(JN)で、同じ番手。だが右の中古品は左の新品より深くJNが刺さる=よりテーパー径の大きな部分まで入っている=MJ穴が大径化していると分かる。同じものなのに隙間が変わり、余分に燃料が吸い出されて燃費が悪化していると分かる

Ninjaらしさを生かしたコンプリート車・GPZ900R SERIES 1

スペックエンジニアリングでは3.50-17/4.00-18インチでラジアル化し、排気量ほかはノーマルに準じたTDシリーズ(162万円/諸費用別、以下同)、ほか前後17インチ化し純正リファイン足まわりとしたシリーズ1(151.2万円)、1000㏄+FCR+足まわり変更の同2(210.6万円)、1100㏄+FCR+オーリンズ前後サスの同3(280.8万円)の4系統×2タイプ(スポーツ/ツーリング)のコンプリート8種類を製作販売する。

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■取材協力・スペックエンジニアリング

※本企画はHeritage&Legends 2019年8月号に掲載されたものです。

カワサキ・ニンジャ GPZ900Rカスタム最前線! スペックエンジニアリング 前編はコチラから