カワサキ250cc4気筒モデルヒストリー/Part1・レーサーレプリカ編

レーサーレプリカ時代の最後に現れた気鋭の新作4気筒

小排気量多気筒エンジンは日本メーカーのお家芸だった。レーサーレプリカ全盛時には市販車を元にレースをすることは当たり前で、そのベース車としても力が入る。そんな中から生まれたカワサキ4気筒250ccモデルの足跡を、今一度辿っておこう。まずはPart1のレーサー レプリカ編から。Part2のネイキッド編はコチラ

 

■1989/ZXR250/R(ZX250A1/B1)

250レプリカ参入のために専用設計エンジンで登場

ZXR250(ZX250A1)

ZXR250(ZX250A1)

ZXR250(ZX250A1)

ZXR250R(ZX250B1)

空冷GPz250、水冷のGPZ250R/GPX250Rと2気筒路線を歩んでいたカワサキが、’89年に送り出した自社初の4気筒250cc車がZXR250。’88年から再開したレース活動を反映するようにDOHC4バルブ直4/右サイドカムチェーンで35度前傾シリンダーのエンジンを新作、CVKD30キャブレターや新気導入機構のK-RAS(カワサキ・ラムエアシステム)、冷気導入のK-CAS(カワサキ・クールエアシステム)を導入し45ps/15000rpm、レブリミット19000rpmを実現。フレームはアルミe-BOXでスイングアームもアルミ。クラス初の倒立フォーク(φ41mm)を採用、リヤタイヤも60扁平ラジアル(C7まで前17/後18インチ)を履いた。乾燥重量は144㎏。ZXR250RはSPレース対応仕様で、6速ミッションの1〜3速をクロス化しアルミシリンダーのリヤサス、CVKD32キャブなどを装備。外観上はシートサイドの「SPORT PRODUCTION」の文字がポイントだ。

 

■1990/ZXR250/R(ZX250A2/B2)

2年目で各部軽量化や多岐に渡る細部改良を施す

ZXR250(ZX250A2)

ZXR250(ZX250A2)

ZXR250(ZX250A2)

ZXR250R(ZX250B2)

2年目のA2ではエンジン内部の運動質量を軽減しレスポンスをよりシャープ化し点火時期精度を高め、シフトアームほか変速機構も改善。車体側では前後ラジアル化(RではB1から)、倒立フォークへのプリロード/伸び側減衰調整機構追加、スイングアームは新たにテーパー形状KIS-ARM採用、ほかバネ下重量を軽減。45ps/15000rpmや乾燥144kgは変わらずだがシート高は10mm下げた740mmに。ZXR250R(B2)はこれらに軽量クランクシャフトや、フロントフォークの圧側減衰調整も加えた。

 

■1991/ZXR250/R(ZX250C1/D1)

フラッシュサーフェスカウルを採用しショートストローク化やフレーム変更も

ZXR250(ZX250C1)・ライムグリーン×パールアルペンホワイト×ブルー

ZXR250(ZX250C1)

ZXR250(ZX250C1)

ZXR250R(ZX250D1)

3年目の’91年型は型式もC1/D1となり、カウルをフラッシュサーフェス化。ヘッドライトも一体式ツインタイプ/常時点灯となる。エンジンはφ[48×34.5→]49×33.1mmにボア・ストロークを変更、燃焼室形状見直しやバルブ/クランク軽量等で全域のフィールを向上。フレームはメイン部材を薄肉押し出しアルミ材として軽量/高剛性化しシート高は735mmに。ホイールもX型スポークになった。45ps/16000rpm、乾燥141kg。ZXR250R(D1)はCVK32キャブや1〜3速クロスミッション、専用タイヤを備える。

 

■1992/ZXR250/R(ZX250C2/D2)

ブラッシュパターンを新採用

ZXR250(ZX250C2)

ZXR250(ZX250C2)

’92年型のC2では当時流行していたブラッシュパターングラフィックを採用。ライムグリーン×パールアルペンホワイト×ブルーは継続。ZXR250R(D2)はD1の継続で展開。

 

■1993/ZXR250(ZX250C3)

45→40ps化しRを終了

ZXR250(ZX250C3)

ZXR250(ZX250C3)

ZXR250(ZX250C3)

馬力上限自主規制によって40ps/15500rpm(乾燥重量は141kgのまま)化し、中低速重視の特性となった’93年型C3。カラーリングも一新された。SP仕様のZXR250Rは’92年型D2で終了となった。

 

■1994/ZXR250(ZX250C4)

カラーを変更し初の単色を設定

ZXR250(ZX250C4)

ZXR250(ZX250C4)・パーシモンレッド

レーサーレプリカ熱が徐々に落ち着いてきたこの頃に現れたC4はカラーリングのみの変更。サイドゼッケン部にもグラフィックが入る。また、初めての単色となるパーシモンレッドが加わった。

 

■1995-96/ZXR250(ZX250C5/C6)

カラーパターンを変更し2年継続

ZXR250(ZX250C5/C6)・ライムグリーン×パールアルペンホワイト

’95年型C5のライムグリーン×パールアルペンホワイトは’94年登場のZX-9Rに通じるグラフィックに変更、パーシモンレッドは継続。’96年型C6はC5をそのまま継続して販売した。

 

■1999/ZXR250(ZX250C7)

ライムグリーン単色が最終型に

ZXR250(ZX250C7)

’97/’98年に変化はなく、1999年には最終型となるC7が登場する。車体色はスーパーバイクベース車ZX-7RRに準じたライムグリーンでフレームもブラックに。ウインカーインジケーターも緑色となった。

 

■2021/Ninja ZX-25R

20年の時を超えて4発250SSが復活

2019年11月の東京モーターショーで発表され、’20年9月に発売された4気筒250ccスーパースポーツがNinja ZX-25R(’21年型。2BK-ZX250E)だ。φ50×31.8mmの249ccからは33kW(45ps)/15500rpmを発揮、車両重量は184kg。SFF-BPフォーク等も備える。

「カワサキ250cc4気筒モデルヒストリー/Part1・レーサーレプリカ編」はここまで!

「カワサキ250cc4気筒モデルヒストリー/Part2のネイキッド編」はコチラ

※本企画はHeritage&Legends 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。
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WRITER

Heritage&legends編集部

バイクライフを豊かにし、愛車との時間を楽しむため、バイクカスタム&メンテナンスのアイディアや情報を掲載する月刊誌・Heritage&legendsの編集部。編集部員はバイクのカスタムやメンテナンスに長年携わり知識豊富なメンバーが揃う。