オリジナルのギヤ式オイルポンプも加わる
バランスの取れたすっとした立ち姿、カラーバランスも含めて各部に組まれた高質パーツ。ブルドックによるコンプリートカスタム、GT-M(Genuine Tuning machine)と聞けば、その新作だなと思う人も多いことだろう。ただ、それは少しだけ違っていた。ブルドック・和久井さんに聞いた。
「この車両はもう10年近く前に製作したものなんですよ。オーナーさんが車両の管理をしっかりされていますから、このようにきれいに保たれて、ノントラブルで乗り続けていらっしゃるんです。今回は車検で入庫しました。それで一緒にリフレッシュを行っています。当社オリジナルのオイルポンプも新たに組みました」
このオイルポンプは空冷Zの純正に同じギヤ式。Zのオイルポンプは、もう40~50年という車歴同様に、組み込まれたまま長年使われることで摩耗し、オイルの圧送ロスが多くなってしまっている。既に純正品は廃番で、新品はない。でも、摩耗したポンプのままでは各部に供給されるオイルが足らずにダメージを受ける。それを解消しようと考えてブルドックで新設計し、製品化したものだ。
純正新品が設定しているオイル量が供給でき、耐久性も純正並みに長い。車両製作当時にこそなかったパーツだったが、新たに加えることによって、この車両はさらに長く楽しめることになる。
エンジンの仕様は鍛造φ76mmピストン(ここではJBパワーを使用)による1200ccやカム、シリンダーヘッドへのオイルバイパスライン追加、そして同店オリジナルの5速クロスミッション。これは各ギヤのレシオも熟考し、日常域でのスポーティな走行を追求したもので、多くの車両に組まれる定評あるパーツともなっている。
最初にしっかり行われた、車体にも及ぶ高質な作り込みは、きちんとした管理でこうして維持でき、さらに進んだ技術も取り込める。このZ1R-llはそれを証明しているのだ。
Detailed Description詳細説明
フロントカウルやショート仕様のスーパーコートスクリーンはマッコイ。カーボンモノコックボディのミラーはマジカルレーシング製だ。
ハンドルはセパレート、左右マスターシリンダーはブレンボ製のRCS。メーターはカーボンパネル中央にPivotステッピングモーター式エンジン回転計を置き、その下にヨシムラ・デジタルマルチメーターとアクティブ・デジタルモニター・スピードを置く。ステアリングステムもマッコイだ。
車両のベースはZ1R-llで、燃料タンクはスリムなZ1-R用のマッコイ・アルミに換装。フューエルコックはピンゲル製をセットする。
サイドカバーまで一体化したシートカウルはマッコイ。ライダー側シートは内ももの当たる部分の形状にも配慮し操作性を高めている。
エンジンはJBパワーφ76mm鍛造ピストンにより[純正値:1015→]1200cc仕様に。内燃機加工もいつものように自社で行っている。ミッションはマッコイ5速クロス、カムも変更されヘッドまわりにオイルバイパスラインを追加。今回オリジナルのギヤ式オイルポンプも組まれた。
キャブレターはFCRφ39mmで、デュアルスタックファンネル仕様。シリンダーヘッドへのオイルバイパスラインもよく分かるだろう。
外側からもアウトプットシャフトを支え、適正チェーンラインを確保するアウトボード&オフセットスプロケット、ステップもすべてマッコイ・ブランドで固められる。
フロントフォークはナイトロンのφ43mmで、フロントブレーキはブレンボ・アキシャルCNC 4ピストンキャリパー+サンスターディスクを組み合わせる。
スイングアームは7N01アルミ5角目の字断面材によるマッコイで、リヤショックはナイトロン。リヤブレーキキャリパーはブレンボCNC 2ピストンで、ホイールはアルミ鍛造のラヴォランテ・レジェンダ、3.50-17/6.00-17サイズ。各部のゴールドとブラックの対比が美しい。