初披露から完成度を高めて各種パーツも市販へ動く
昨年油冷GSX-Rの復刻プロジェクトに着手し、東京モーターサイクルショーで’86年のAMAスーパーバイク参戦車とともに「GSX-R750レーサーレプリカ“604”」を展示したヨシムラ。そこから1年を経た’25年の同ショー・ヨシムラブースに展示されたのがこの「ヨシムラGSX-R750 #604コンプリートマシン」(1号車)だ。
スイングアームピボット上のレール切り欠き部分を補完するように継がれたアルミ材やヘッドパイプ後ろなどの補強を始め、1年前の車両と当然のように構成は近しいものの、今回の「1号車」では全体にブラッシュアップされ、公道を走るコンプリートカスタムとしても細部が詰められている。TMR-MJNキャブレターへのエアフィルター追加や、フェンダーレスキットまわりの処理(テールカウルエンドがメッシュからY字パターンエッチングされたステンレスの造型品になった)、ゼッケンやロゴまでフル塗装で仕上げられたボディなどはその例と言える。
最大のポイントは、メインフレーム前部左に打ち込まれたシリアルプレートだろう。かつてのヨシムラ・コンプリートマシン、トルネード1200ボンネビルを思わせるような位置に置かれ、“604”マークと、シリアルナンバー“001”が入る。
ヨシムラによれば「当時のレーサーの復刻ではなく“ロードゴーイングレーサー”としての本質を追求。程度の良いユーズドバイクをベースに新たに開発したマフラー、エンジン周辺パーツ、足まわりにヨシムラパーツを使い、車両の状態に応じて新品の純正互換パーツを採用。これらを熟練のヨシムラメカニックが精密に組み上げました」とのことで、ハイポテンシャルを持ちながらも長く、安心して乗り続けられる仕上がりになっているとのこと。
この1号車は604万円(税込み664万4000円)をスタートとするオークションを通じて一般販売するもので、入札開始は当初6月頃を予定していたが、5月末に2025年7月から8月頃の開始へと見直すこととしたと追加発表があった。これは多くの人にスムーズに参加してもらえるように、オークションサイトの操作性やレスポンスの改善に向けた調整を行うためとのこと。また以後のコンプリート車生産は良質な車両の確保や需要状況等によって判断するという。まずはこの車両に注目(購入ももちろんあり)するとともに、合わせてヨシムラから送り出される各種の油冷用純正互換パーツや、カムを始めとしたカスタムパーツの動きにもアンテナを高くしておきたい。
Detailed Description詳細説明

メインフレーム前部左には“604”マークと、ヨシムラによる製作・組み立てであることが刻まれ、シリアルナンバー“001”が打刻されたシリアルプレートが打ち込まれる。このプレートの下から下側の別レールに配されたアルミ部材はGSX-R750ノーマルにはないヨシムラオリジナルの補強だ。

ステアリングダンパーは非装備。φ43mmフォーク用の「ヨシムラ フロントフォーククランプASSY」(ハンドルバー/マウントやアクスル等も含む)は販売予定品で、左右マスターはブレンボRCS。純正3連レイアウトをベースとしたメーターは左から純正速度計&積算距離計/モトガジェット・クロノクラシック多機能デジタルメーター/ヨシムラPRO-GRESS1テンプ・ボルトメーター。

カウルはスズキ純正でwood-eyeによる「604スペシャル塗装」が施される。ゼッケンベースや604のゼッケン、各種スポンサーロゴもペイント処理されている。スクリーンはヨシムラ・ウィンドアーマー(販売予定品)、ミラーはレーサーレプリカミラーを使っている。

ステンレス製でY字パターンと604マークを造型処理したフェンダーレスKITやUSヨシムラウインカーKIT(フロント、リヤ。リヤはテール/ブレーキランプ兼用)は販売予定品だ。

ヨシムラ ステップKIT 逆チェンジ仕様、その前に見えるヨシムラ オイルキャッチタンクも販売予定品。スイングアームピボットシャフトはm-techの製品(MTS-203)を使う。

エンジンはノーマルで、カムチェーンテンショナーやガイド、ピストンリング等の純正互換パーツも開発中という。フレームはヘッドパイプ後ろの上/下レールをつなぐ補強、エンジン背後のくぼんだ部分を補う補強(ヨシムラ スペシャルフレーム補強)が行われる。これらはいずれも販売予定なしだ。

TMR-MJNφ32mmキャブレターはGSX-R750(85-87)手曲げDuplexチタンサイクロンともに販売予定となっている。

オーリンズフロントフォークはヨシムラスペシャルで、販売予定はなし。フロントブレーキはブレンボP4 30/34キャリパー+ヨシムラSUNSTARブレーキディスクで、フロントフォーククランプASSYに含まれるキャリパーサポートは形状を新たにし、604ロゴが加わった。

リヤブレーキはディスクをヨシムラSUNSTARブレーキに変更。純正TOKICO 2Pキャリパーの色もプロトタイプのゴールドからブラックへ変わっている。

ホイールはMAGTAN JB1の3.00-18/4.50-18サイズを履き、リヤアクスルシャフトはM-tech製MTS-106。リヤショックはオーリンズ・ヨシムラスペシャルで、ヨシムラ スペシャルスイングアーム補強とともに販売予定はなしだ。ドライブチェーンはRK 520XXWにコンバートされる。