ポジション設定とリヤサス変更の効果も上々
1970~1980年代のカワサキZ系やホンダCBなど旧車用リプロ&チューニングパーツを主軸とし、’90年代からはゼファーやZRX各シリーズなどに多彩なカスタムパーツを展開してきたPMC。最新と言えるZ900RSにも登場当初からデモ車を2台製作、多くのパーツ展開を行ってきた。そのPMCが2020年に新たに立ち上げたのが「ARCHI」(アーキ)ブランド。ARCHIはギリシャ語で「起源」を意味し、何ごとにも囚われない原点として自由な発想を実現し、Z900RS以降の新型車を中心に展開するという。
そしてZ900RSとして3台目のデモ車となるの車両。もちろん今回は「ARCHI」(アーキ)ブランドのプロモーション湯用としての位置づけとなるが、なぜ3台目を作るに及んだかをPMC代表の正本晃二さんは言う。
「それだけZ900RSが魅力的ということでしょう。各部の作りが現代的でも、やっぱりカワサキの4気筒車は、カスタムの素材としていい素性を持ってるんです。だからいろいろな提案をしたくなる。しかもお客さんからの反響が非常に大きいバイクですから、我々としてもやる気が湧いてくる。それで、前の2台とは異なるスタンスで3台目のデモ車を作りました。今回のテーマは“現代的なカフェレーサー”。ハニカムデザインの削り出しパーツを各部に使ったり、カーボン地を活かしたエアブラシ塗装もしたり。あとはブラックアウトを徹底したりと、これまでにない手法を採り入れたのも特徴です」
’18年の2台が’70年代テイストだったのに対し、今回はモダンな雰囲気。大き目のビキニカウルは古き良き時代を思わせるけれど、他の部分と統一してペイントされ、違和感なし。全体の印象はアダルトかつシックといった感じだ。
新作となるステップは、20mmバック/20mmアップ(30mmアップ/30mmバックも選択可)というポジション設定が絶妙で、バーの踏み応えが良く、シフトフィーリングが上質&確実だ。低めのハンドルとも相まって、車両をコンパクトに感じさせる。
リヤショックはPMC扱いのYSS製、MAシリーズに換装されるが、ノーマルで今ひとつだった初期の動き出しもスムーズで、特に常用域での乗り心地が格段に良好になる。しかもリヤの性能が上がった効果で、フロントフォークの動きもしっとり安定する。
新しいカフェレーサースタイルとともに、ライディングポジションとリヤショックに手を入れることの有効性。このPMC最新作は、Z900RSに対する提案もしっかり行ってくれている。
Detailed Description詳細説明
アンダーカウルやチェーンカバー一体型リヤフェンダー(後方に120mm延長)、エンジンサーモゲージ、アールズのラジエーターホースも、PMCオリジナル。「Z948RS」のエンブレムも同書体でアルミダイキャスト製「ARCHI Z948RS サイドカバーエンブレム」も市販中だ。
この車両で装着されるビキニカウルは、'70年代の日本市場で絶大な人気を誇ったロードペガサスがモチーフで、Z900RSに'70年代的な雰囲気も作り出している。装着ステー部もかなり頑丈な構造で、ハンドリングに対する悪影響はない。ルックス上の一体感も上々だ。
低めのテーパーハンドルは試作品。バックミラーは定番のZ2タイプで、フロントマスターシリンダーのリザーバータンクはアルミ2017材によるPMCのZ900RS用「ビレットマスターカップ」(シルバー/シルバーキャップ)に変更されている。
Z900RSノーマルより60mm長くわずかに反り上がり、外周にZ同様のリブを設けた形状のロングテールカウル(量産品はFRP、この車両では試作カーボン)とリヤフェンダーレスキットを装着することで、後方から見たマシンの印象は一変する。
LEDリングポジションランプは、外周がポジションランプ、中央がストップランプとして機能する製品。レンズはクリアとスモークの2種が設定される。なお、外装ペイントは大阪のラスティックが担当した。
サイドカバーはZ1/2のイメージを再現して燃料タンク下のサイドプレート部分からつながる複雑なデザイン構成をスタイリッシュにまとめた。量産品はFRPだが、この車両ではカーボンの試作品を装着している。リヤショックはPMCが輸入代理店を務めるYSSのMAシリーズ。
ラジエーター側面にはアルミ削り出しの「サイドロッド」、前面には0.8mm厚ステンレス製で大小異なる2種の六角形デザインによる「ヘックスコアプロテクター」を追加。カラーはともに他の同社製金属系パーツと同じく、ブラックとシルバーの2種がラインナップされる。
3.50-17/5.50-17インチのアルミキャストホイールと前後ブレーキまわりはZ900RSのノーマル。同じく現状でノーマルのKYB製φ41mm倒立フォークにはこの後、YSSが開発中というインナーカートリッジキットを組み込む予定という。
写真のエンジンマウントのほか、ステップキット、リヤサスリンクプレートはハニカムデザインによって、既存のアルミ削り出しパーツとは趣が異なる、独創的な質感を実現している。上側に見えるのはARCHI スピンホイルプラグシリーズによるホールプラグだ。
この車両が装着するステップは上記通り、ハニカムデザインのアルミ削り出し「ARCHI ビレット・ハニカムバックポジションキット」だ。ほかに炭素鋼パイプによる「ARCHI トラスロッドフットポジションキット」も別にランナップされる。ともにオーナーの好みでポジション調整が可能だ。
フレーム前部と中央、スイングアームピボット、クランクケース左右カバー中央には、「ARCHI スピンホイルプラグシリーズ」によるアルミ削り出しのホールプラグを用意する。フレーム用プラグには脱落防止のOリングも付属している。
既に市場で好評なLOUDEX(ラウデックス)ショート管に続き、PMCでは水圧でサイレンサーを成型する新作フルエキゾーストを開発中だ。φ38mmのエキパイは職人による手曲げで美しいラインを作り出す。