長年の経験で作る、普通に使えるターボカスタム
エンジン左右を這い回るようなパイピングやターボチャージャー、過給気を冷やすインタークーラー。ひと目でターボカスタムが施されたと分かるこのバイク、ベースはVMAX。1985年に1197ccの70度V4エンジンで登場し、2007年まで展開した(国内向けは’90~’98年、FIの1700cc版は’09~’17年)モデルだ。これを元にエスパーでターボ化ほかが施されている。
エスパーは代表・小宮さんがVmax1200の国内発売と同じ’90年の開店以降、VMAX各車に、そして過給システムにも力を注いできた(もちろんバイクショップとして一般整備や他機種のことも普通に請け負う)。ターボ化についても4輪での技術を生かしつつ、日常でも普通に使えるレベルで実用化。それでいて300、400ps発揮というチューニングも実現してきた。
「この車両はノーマルコンロッド仕様なので170psあたり。タービンとインタークーラーは日産Z32用でブーストは0.4~0.5kg/mm2。配管やマフラー、それとロックアップクラッチはウチのオリジナルを使っています。今普通にターボ化するならこのくらいから、という仕様です」と言う小宮さん。今でこそNinja H2やZ H2のスーパーチャージャー純正装備などでバイク界でも市民権を得た過給システムだが、この30年近くターボを手がけてきた同店では過給は当然。それをどうアレンジするかだ。
ところでもうひとつこの車両では、ターボが意外な効果を発揮している。
「前後足まわりはXVZ1300ロイヤルスター(Vmaxのエンジンの元となったベンチャーロイヤルの、後継クルーザー)からの流用です。正立フォークにカバーが付いたフロントはちょっと前下がりになって後ろのボリュームが強くなったんですけど、ターボ配管などで前側のボリュームも強まったので、バランスできたかなと」(小宮さん)
相変わらずターボへのオーダーは多く入ってくるというエスパー。他と違うものがほしいなら、こんな独自発想はじつにありがたいと思える。
Detailed Description詳細説明
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フロントまわりはカバード正立フォーク/16インチホイールともロイヤルスターからの流用で構成。ハンドルはフラットバーを装着する。
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ノーマルより幅広で角張ったタンクカバーはオーヴァー製。サイドのダミーエアダクトやサイドカバーはノーマルのままだ。
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タンクカバーを外すとノーマルのエアクリーナーボックスの代わりに過給吸入気を滞留させるサージタンクや燃料ポンプが見える。
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シート下に置かれる燃料タンクはVmax1200のノーマル。外装上面にはヤマハ・ストロボラインをアレンジ。テールカウルはアクティブ製をチョイス。
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70度V4の1197ccエンジンはノーマルコンロッド仕様で、ターボ化されての170ps仕様。タービンやブローオフバルブは既存ユニットを使うが、配管類はエスパーオリジナル。ワンオフではあるが作例も多く、耐久性等や取り回し等も考慮している。
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クリヤクラッチカバー内に見えるのはエスパーオリジナルのロックアップクラッチ。回転が上がると放射状に配したウェイトが動き、クラッチを機械的に密着させるドラッグレース由来のパーツだ。
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この車両では4つの気筒からの排気はエンジン右のターボ(ユニット前側)を回し、後方から吸われた新気を圧縮=過給。圧縮で熱を持つため左側のインタークーラーで冷やしつつサージタンクに送り、そこから過給新気がキャブを通ってエンジンへ送られる仕組み。
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マフラーもエスパー製。エスパーでは写真の集合デザインのほか、ノーマルVmax対応の4本出し・スリップオンマフラー等も製造・販売している。
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ロイヤルスター流用(ブレーキキャリパーはヤマハ他機種用スミトモ4P)のフロントまわりは、ハンドル切れ角確保など小加工を施した上で装着されている。
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15インチホイールやシャフトドライブカバー/シャフトなどのリヤまわりも、ロイヤルスターからの流用。ステップはエスパーによるオリジナルパーツだ。