ストリートに走行会に楽しめる仕様を作り込む
「このカワサキ・ゼファー1100は元々オーナーさんが中古で購入してご自分で手を入れていたんですが、ある時に点火プラグのターミナルがエンジン内部に落ちてしまって、それがどうしても取れなくてと来店されたんです」。バグースモーターサイクルの代表、土屋さんがこう言うこの車両、とても元々が中古だったと思えないほどの美しさ。さらに軽快感とシャープ感を持ち合わせている。
「シリンダーヘッドを外さないとターミナルが取れなかったのでエンジンを開けて取ることにしたんですが、どうせ開けるのならオーバーホール、それでエンジンを降ろすのならフレームもエンジン外観も塗装して……と、ここまで進んだんですよ。先日もサーキット走行会に行かれたんですけど、ホイールもエキパイも、エンジンまできれいにしてます」(同)
仕様としてはホイールがゲイルスピードType-Rでサスは前後オーリンズ。スイングアームはGストライカー、ブレーキもブレンボキャリパー等々と、“走る”ゼファー1100を構成するのに必要かつ最新と思えるものがきっちり選ばれている。押し引きしても軽いという、出来の良い車両に共通する特徴を持つのも特筆しておこう。
このあたりはオーナーの意見を聞きながらいくつかのパーツ/作業提案をし、そこから好みのものを選んでもらうというバグースの手法が十分に機能していると言える。信頼できるショップが見つけられたからそこに作業を依頼する。その作業が的確である結果として自分のバイクがより好きになり、さらに走る、作業やパーツを依頼する(プラス、きれいにする)というサイクルが確立される。しかもゼファーを楽しんでいる感も分かる。
「このオーナーさんのように、ゼファーを手に入れたけれども面倒を見てくれるショップさんというのが今はなかなかないようで、“ゼファー”で検索したり探したした上で来店される方も多いんです」とも土屋さん。
バグースはカスタムも軸にしているが、そのカスタムに対して敷居が高いなと思う人にはゼファーのノーマル整備・修理を軸にした系列店のソイルマジックがある。そこでノーマル車をきっちり整備した上で、もっと……というようなカスタム熱が起こったなら、改めてバグースで手を入れる。そんな視点の変え方も合わせて楽しめるというわけだ。
Detailed Description詳細説明
メーターカバーはノーマル形状ながらカーボンに変更し、車両全体の印象を引き締める。左右マスターシリンダーはブレンボRCSを装着。また、バグース製ステアリングステムを使ってフォークオフセットを変更、トレール量を確保することでフロントの18→17インチ化に対応している。
燃料タンクとテールカウルは、いわゆる火の玉パターンをブラック&シルバー+ラッピングでアレンジしてペイントしたもの。シートはトゥーズカスタム製スプリームシートで、ホールド感や乗り心地を向上した。こうしたポジション系の変更も、乗りやすさ、疲れにくさに効いてくる。
エンジン内に入った異物(点火プラグのターミナル)を取り除くことから始まって内部オーバーホール、外観のマットブラック塗装……と作業が進められたエンジン。集合管に対応するためオイルパンもフラット化。エンジンハンガーも削り出し品に換えられている。
キャブレターはFCRφ37mmでDNAフィルター仕様。ほかにエンジンスライダーはモリワキエンジニアリングで、ステップはストライカーをチョイスした。
4-1の排気系はフルチタンの“バグ管”ことバグース製フルエキゾーストに。サイレンサーもチタン筒状で“らしい”スタイルを作り出した。
ホイールはゲイルスピードType-Rで、純正の3.00-18/4.50-17サイズから3.50-17/5.50-17サイズに。フロントフォークはオーリンズのRWUだ。
スイングアームはGストライカー(ブラック)で、ストライカーSADカーボンフェンダーも装着する。リヤショックはオーリンズ。リヤ用ブレンボ2ピストンキャリパーをマウントするのはバグース製サポートで、ほかにフェンダーレス化も行われている。