オリジナルも社外品も駆使してたどり着いた形
しゃぼん玉は大型洋・用品販売店の顔を持つ一方で、カスタムショップとしての一面も持ち、カワサキの水冷ZRXシリーズ、空冷ゼファーシリーズについて多くの車両を手がけてきた。ZRXについては代表・滝川さんも1100に長く乗る中でオリジナル製品も多数用意し、後継の1200やDAEGと比較する中で各車の特徴を見抜きつつ(1100ならエンジンも楽しめる、1200ならキャブ換装でのダイレクト感を、オールラウンド性ならDAEGを、等々)、各車にお勧めの仕様とでも言うべき案を作り上げた。
このZRXはそんな同店のお勧め仕様をパッケージングした、まずはの見本とでも言うべき1台。ベースは初代(’97〜’01年。以後1200化)に当たるZRX1100。一番の特徴となるのは、フレームマウント化されたビキニカウルと言っていいだろう。メーターやヘッドライト、カウルによってかかっていたハンドルまわりの重量をこの移設によって一気に低減。ステムはウイリー製で1200Rの28㎜(1100STDは30㎜)オフセットとしてハンドリングを安定させる。スイングアームはしなりも見込んだGストライカー、そしてサスはオーリンズRWU+ハイパープロ等、確実に良くなると分かったものが装備される。操作系のゲイルスピードマスターやトゥーズカスタム・スプリームシートもその一環と言っていい。
加えて前後アクスルシャフトとピボットシャフトはKOODのクロモリ鋼製中空に代わり、路面からの情報がきっちりライダーに伝わるようにされてもいる。
動力系でもキャブレターモデルの良さを生かせるようにFCRキャブ+軽量チタンEXを備え、放熱対策にラジエーターを大型化等……。こうして見ていくと、これらは確かに同店扱いの他車両でも多く使われた定番仕様だとも気づかされる。これなら走る。
外装類こそブルーのカラーリングも含めて純正を活用しているが、現代的な全体像、そしてビッとした立ち姿が印象に残ってくるこのZRX。とりあえず付けただけでなく、同店で“だから要る、だから格好良くなる”と煮詰め続けた仕様だからこそ、そんな印象が湧いてくるのだろう。
Detailed Description詳細説明
左右マスターはゲイルスピード・ラジアルポンプ。スロットルはアクティブ・ハイスロットルで右スイッチは薄型に変更される。
トリプルツリー=ステムはウイリー製アルミモノブロックで、フォークオフセットを[純正品30→]28mmにして、ハンドリングを安定化方向へ振られている。
一見ZRXそのまま、純正パーツによる構成に見えるが、ビキニカウルは写真中央のステーでフレームマウント化され、ハンドルまわりの重量を低減しているのだ。
シートはしゃぼん玉でも使用例の多いトゥーズカスタム製スプリームシート。車両の芯を掴みやすく、ダイレクトな操縦性が得られる。
キャブレターは純正装着されるCVK36+K-TRICから、ケーヒン製FCRφ39mm+デュアルスタックファンネル(ファンネル基部に低回転時吸入用の開口部があるタイプ)に換装されている。
エキパイ部の焼け色も鮮やかな排気系はフルチタン製4-1のフルエキゾーストシステムに換装し、軽量化とともに出力向上を図る。
ラジエーターはしゃぼん玉でのZRX定番とも言えるビッグタイプに。全体としてノーマルらしい雰囲気も残しつつ要所を締める印象だ。
フロントブレーキはキャリパーがブレンボキャスト4ピストンを装着。サンスターディスクを組み合わせる。フロントフォークはφ43mmのオーリンズRWUに置換している。
スイングアームはGストライカーで、エンドに装備されるスタンドフックはギルドデザイン。リヤキャリパーもブレンボで2P。
リヤショックはハイパープロ。ホイールはアクティブ・アルミ鍛造品のゲイルスピードType-R、3.50-17/5.50-17サイズでZRX1100のノーマル(5.00-17)からはリヤが1サイズアップ。タイヤはピレリ・ディアブロロッソコルサⅢで120/70ZR17・180/55ZR17を履いている