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GoGo2ストローク ヤマハTZR250編(第38回目)
レポート:中村友彦

西港ベースが製作した チャンバーの特性を考察

2020年 5月 20日

性能を決めるのは職人の経験と勘。2スト用チャンバーには、そうした印象を抱いている人が多いと思う。もちろん、それはそれで大事な要素だが……。西港ベースの中野さんは経験と勘だけではなく、各部の形状と数字をデータ化した上で、チャンバーを製作している。だからこそ、パワフルで扱いやすい特性が構築できるのだろう。


本連載の第36回で紹介した、西港ベースのチャンバーが完成した。となれば、すぐにでもツクバを走ってインプレをお伝えしたいところだが、今月は製作者である中野さんの話と、パワーチェックを行ってくれたリアライズ道岡さんによる印象を紹介したい。まずは中野さんに聞いた、製作時の苦労話から。

「理想と現実の折り合いを付けるために、今回は設計を3回やり直しました。でもまあ、そのくらいの回数は日常茶飯事なので、苦労と言うほどではないですよ。ウチのチャンバー製作は、まずエンジン特性を優先して理想的な図面を書き、そこから管長の取り方やバンク角の確保、他のパーツとの干渉などを考えて、形状と数値に手を加えます。ただ、今回の1KT用は、純正のフルカウルにも対応したいという個人的な意図もあったので、いつも以上に限られたスペースの使い方が悩みの種にはなりました」

これまでに僕が使ったチャンバーと比較すると、西港ベース製は、エキゾーストパイプ部が長く、ダイバージェットコーンのテーパー角が緩やかで、ストレート部が太くて長い。そこから先のコンバージェットコーンとテールパイプは、やや短めの印象。

「エキパイはエンジンからのスムーズな排気と管長の確保、ダイバージェットコーンとストレート部はパワーを出しつつ、ピーキーにならないことを意識して、形状と数値を決定しました。ちなみに最初のテーパーが始まる場所は、エンジン寄りだと高回転向き、サイレンサー寄りだと低中回転向き、という傾向があります。そこから先のコンバージェットコーンとテールパイプは、限られたスペースの中で最大容量を確保しながら、できるだけストレートな構造にしています。なおテールパイプは、車両によっては長めが好結果につながりますが、’80年代のヤマハ車は短めのほうがいいようですね」

そう語る中野さんではあるけれど、レース用チャンバーはテストを繰り返しながら改良を加えていくことが多く、今回の製品も一発OKになるかどうかは、何とも言えないといった様子。とはいえ、後にパワーチェックを行ってくれたリアライズ道岡さんによる印象はといえば……。

「これはもう、一発OKじゃないですか(笑)。1万2000rpmまできっちり回るし、パワーもしっかり出ている。でもそれ以上に僕が驚いたのは、パワーカーブが滑らかでパワーバンドが広いこと。一般的な社外チャンバーは、出力ピークに向かう前に、谷と言うほどではなくても中ダルミができやすいものですが、西港さんのチャンバーにはそれがない。おそらく、ムチャクチャ乗りやすいと思いますよ。そしてこういう素性がいいチャンバーなら、現状で54.4psのピークパワーも、キャブセッティングや点火マップの見直しで、さらに伸びそうな気がしますね」

パワーカーブをじっくり見ると、10,000rpm以下の出力は、これまでに使っていたSP忠男のストリートチャンバーのほうが優勢なのだが、道岡さんによると、ファイナルレシオを最適化すれば、SP忠男製に対するマイナス要素は解消できるだろう、とのこと。そのあたりの検証も含めて、近いうちに西港ベース製チャンバーのインプレをお届けしたい。

※編集部より。ご愛読いただきました、GoGo2ストローク  TZR250編はヘリテイジ&レジェンズ本誌での連載分に近づきましたため、以降、しばらくのお休みをいただきます。本誌連載もぜひ、お楽しみください。

【GoGo!! 2ストローク記事一覧はこちら!! 】

何だか魚の骨みたいだが、これが1KT用チャンバーの型紙だ。西港ベースのチャンバーはフリーのCADソフトを用いて図面を製作し、展開図を原寸で出力したら、それをそのまま型紙として使用する。

カットした板材を丸めて溶接。この写真の素材がすべてではなく、実際は片側20ピース以上!

マスキングテープを用いて車体に仮組み付けして、他のパーツとの干渉やバンク角を改めて検証しているところ。

各ピースを固定するポジショナーを使って、板材を溶接していく。排気ガスの流れに影響する裏面の仕上げにも、相当以上の気を遣う作業だという。

サイレンサーとチャンバーの接合部には、ガスケットではなく、耐熱耐油性のOリングを使用しているのが分かるだろう。

S45C材で製作されたフランジに備わる2個のOリングは特殊な形状の、ヤマハYZ85(モトクロッサー)用。スプリング用フックは装着時のネジレに配慮した場所にレイアウトする。

板厚はチャンバー:t0.8㎜、サイレンサー:t1.5㎜で、カールしたエンド部にはステンレス材を使っている。マウントブッシュはホンダのバギー用を流用しているのだ。

3つのパワーカーブは、緑:SP忠男のストリート用、青:西港ベース、赤:スガテックRCスゴウレプリカだ。基本的にエンジン本体の条件は同じだが、西港ベースのメインジェットは♯330で、他2種は♯310を使っている。計測は当企画で何かとお世話になっている、東京・八王子のリアライズ、道岡さんが行ってくれた。

WRITER

中村友彦

二輪雑誌編集部員を経て独立し、現在フリーのモータージャーナリストとして活動中。クラシックバイクから最新モデルまでジャンルや新旧を問わず乗りこなし解説する。カスタムやレースにも深く興味を持ち、サンデーレースにも参戦する。

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