全5回でお届けしてきた、1983年スズキRG250Γを祖とするRG-Γシリーズの足跡を辿るシリーズ。最終回となる今回は、V2エンジンの挟角を90度から70度へと変更、また、ストリート仕様も意識してセル装備も施された型式VJ23。そして、遡って1988年に派生ネイキッドモデルとして登場、1990年まで販売されたWolfについて、各詳細をお届けする。
1990年代の半ばには、強まる環境対応化で2ストロークの新型車登場が望み薄になってきていた。そんな中でスズキは’96年にRGV250Γに代えて、RGV-Γ250SP(VJ23)を利便性を高めるセルスターター付きで送り出した。これが最後の新型2ストロークスポーツとなる。遡ってVJ21登場後にはレプリカと別路線となるスポーツの模索にカウルレスのウルフも展開した。
フルファクトリーレプリカに一新しセル追加、SP仕様も一本化する
’96年、車体レイアウトやエンジン挟角/シリンダー/7度外側オフセット吸気&ラムエア、軸距等、ファクトリーレーサーXR95(RGV-Γ250)を忠実再現しSP仕様も統一したRGV-Γ250SP(RGV250T。型式VJ23A)が登場。エンジンはV2の挟角を90→70度とし前後長で40㎜コンパクト化、乾式クラッチとカセットミッションを標準化しセルスターターも追加。フレームも新設計でφ41㎜倒立フォークや左右非対称スイングアーム等も装備した。同年、ラッキーストライクカラーを240台限定で追加後は変化なく、’99年で生産を終了。
■SPECIFICATIONS:70型2気筒249㏄(54.0×54.5㎜) 圧縮比8.0:1 最高出力40ps/9500rpm 最大トルク3.5㎏f・m/8000rpm 変速機6段●全長×全幅×全高1965×695×1095㎜ 軸距1330㎜ 乾燥重量134㎏ 燃料タンク16.0ℓ シート高765㎜ キャスター24度 トレール89㎜ タイヤ:110/70R17・150/60R17●価格77万7000円 ※’96~RGV-Γ250SP/ラッキーストライクのデータ
1996 RGV-Γ250(VJ23A)
1996 RGV-Γ250SP LUCKY STRIKE(VJ23A)
脱レプリカを模索しつつもレーシーな仕上がりとなったネイキッド
レプリカ以外のモデル模索も行われた’80年代、レプリカからカウルを外した形で作られたカウルレスのスタンダードスポーツも各社から登場。スズキは’86年のGSX400インパルスに続き、’88年に250㏄のウルフを投入した。左のRGV250Γのストリップと見比べれば分かるようにRGV250Γからフロントカウルを外し、丸型ライトを装着して成立したモデルとも言える。ハンドル位置は20㎜上がりラジエーター幅も抑え、2次減速比を変えて街乗り用の加速重視設定としていた。’88年から’90年までラインナップされた過激目ネイキッドだった。
■SPECIFICATIONS:●水冷2ストクランクケースリードバルブ90度V型2気筒249㏄(56.0×50.6㎜) 圧縮比7.5:1 最高出力45ps/9500rpm 最大トルク3.8㎏f・m/8000rpm 変速機6段●全長×全幅×全高1990×700×995㎜ 軸距1380㎜ 乾燥重量128㎏ 燃料タンク17ℓ シート高755㎜ キャスター25度35分 トレール98㎜ タイヤ:110/70R17・140/60R18●価格51万1000円 ※’89WOLFのデータ
1989 Wolf(VJ22A)