今回も先週に引き続き、スズキの’80年代を代表する、RG-Γにかかわるヒストリーを。テーマとするのは同名のワークスレーサー・RGΓをモチーフに生まれた市販ビッグ2ストローク、RG400Γ/500Γだ。
1980年代前半のレプリカブーム、その究極的な行き先は“リアルWGP500レプリカ”としての500ccモデルとなる。そこにスズキはファクトリーRGΓとう同じスクエア4のRG500Γを投入。ただ、国内では当時400cc以上は試験場でのみ認定される限定解除免許でしか乗れないため、ボアダウン版の399cc仕様も設定。国内500クラスで活躍したウォルターウルフカラーも複数登場したのだ。
スクエア4+アルミダブルクレードルフレームのRGΓフルレプリカ
’81年マルコ・ルッキネリ、’82年フランコ・ウンチーニをWGP500シリーズのチャンピオンとして押し上げるだけでなく、’76~’82年の7年連続メーカータイトルも得たスズキのRGシリーズ。’74年のXR14以来、スクエア4のエンジンレイアウトを継続し活躍した。’84年にスズキはWGP活動を休止したが、’85年型として「エンジン設計時点からワークス車のスクエア4の図面をベース」にして真のRGΓレプリカ、RG400/500Γが市販車として現れた。
両車の違いはボアとそれによる排気量/出力、また400にハーフカウル仕様をラインナップした程度。ロータリーディスク吸入のため両横にキャブ(ともにVM28)とエアダクトを備えるものの並列2気筒並みのスリムなエンジンは、排気デバイスSAECとも相まってトルクフルでフレキシブルな特性を得た。フレームはヘッド部(中空で中はエアボックス)とピボット部に鋳物を使ったMR-ALBOXで、φ38㎜フロントフォークや前:2.50-16/後:2.75-18ホイールを両車で採用。リヤのリンクサスはタンク下のアジャスターでプリロードを5段階調整できた。
多彩な塗色も特徴で青×白、紺×白×赤を標準としヨシムライメージのガンメタ×赤(’86年400Γ)も設定。’85/’86年にはWW=ウォルターウルフカラーが設定された。濃紺×金×赤が基本でシングルシートカバー標準装備。’85年は400/500でパターンが少し異なり、’86年はカウルに500の文字があるかで判別。400WWには’86年、紺同パターンで銀ベースに金/濃紺ラインの“銀狼”カラーも用意された。
■SPECIFICATIONS:●水冷2ストリードバルブスクエア4気筒498cc(56×50.6㎜) 圧縮比7.0:1 最高出力64ps/8500rpm 最大トルク5.8㎏f・m/7500rpm 変速機6段●全長×全幅×全高2100×695×1185㎜ 軸距1425㎜ 乾燥重量160㎏ 燃料タンク22ℓ シート高770㎜ キャスター23度35分 トレール102㎜ タイヤ:110/90-16・120/90-17●価格65万9000(WW=76万9000)円 ※’85年型RG500Γのデータ
※RG400Γ●水冷2ストリードバルブスクエア4気筒397cc(50.0×50.6㎜) 圧縮比7.2:1最高出力59ps/9000rpm 最大トルク4.9㎏f・m/8500rpm 変速機6段●全長×全幅×全高2100×695×1185㎜ 軸距1425㎜ 乾燥重量157(158)㎏ 燃料タンク22ℓ シート高770㎜ キャスター23度35分 トレール102㎜ タイヤ:110/90-16・120/90-17●価格65万9000(67万9000)[WW=69万9000]円 ※’85年型RG400Γのデータ。( )はフルフェアリング仕様
1985 RG500Γ(HK31A)
1985 RG500Γ(HK31A)
1985 RG400Γ(HK31A)
1985 RG500Γ Walter Wolf Special Version(HK31A)
1985 RG400Γ Walter Wolf(HK31A)
1986 RG500Γ Walter Wolf Version(HK31A)
1986 RG400Γ (HK31A)
1986 RG400Γ Walter Wolf(HK31A)
1986 RG400Γ Walter Wolf(HK31A) ※通称“銀狼”