最初に結論を言っておくと、テストの結果はいまひとつだった。でもヤマハTZR250(1KT)に乗り始めて4度目のSUGO2ストミーティングは、やっぱりムチャクチャ楽しかった。ゴー&ストップが多い筑波サーキットと異なり、開け開けで走れるスポーツランドSUGOのインターナショナルコースは、TZRとの相性がすごくいいのだ。
4度目のSUGO2ストミーティグに参加するにあたり、僕が立てた目標は、昨年(2018年)にマークした1分49秒413というタイムを、少しでも短縮することだった。そしてその目標を達成するには、マシンをいじるより、まだまだ把握できてないコースの攻略に集中したほうがよさそうなのだが……。
前回でも紹介したシゲテック小山さんのアドバイス、「さらなるパワーが必要なら、チャンバーの刷新を考慮するべきかもしれません。現状のSP忠男製が悪いわけではないですが、もっと容量があってもいいと思います」という言葉が、僕の頭にはひっかかっていたのである。具体的には、過去にワンオフ製作し、諸般の事情でオクラ入りしたクロスチャンバーなら、小山さんが言う容量の問題がクリアできるんじゃないかと。
ちなみに諸般の事情とは、2年ほど前のある時期を境にして、9000rpm以上の伸びが鈍くなったことである。でも今になって考えると、当時の僕の1KTは点火系やキャブレターにもトラブルが発生し、いろいろな部品を取っ替え引っ替えしていたから、鈍さの原因が本当にチャンバーだったかどうかは微妙なところ。逆に点火系とキャブレターが万全になった今なら、クロスチャンバーの真価が理解できるのかもしれない?
そんなわけで久々にクロスチャンバーを装着して、僕はSUGOに出かけた。でも残念ながら、高回転域の鈍さは相変わらずで、ハーフウェットだったフリー走行1本目のタイムは2分5秒前後。そして路面がドライになった2本目は、モノは試しとメインジェット(MJ)を#280→#300に上げてみたけれど、症状はほぼ変わらず、ベストは1分54秒715。これはイカン! と思った僕は、チャンバーをSP忠男に戻して模擬レースに臨むことにしたのだが、少し前にロングにしたファイナルが仇になり、最終的には昨年より約1秒遅い、1分50秒270が今年のベストとなった(模擬レースの戦績は予選5位、決勝4位)。
あら。この展開だと何だか残念な話みたいだが、模擬レースでは加藤さん+NS250R、そして同じチームH&Lで参加した身内、箱崎さん+RZ-Rと、適度なバトルが楽しめたので、トータルで考えてみれば、全然ガッカリな1日ではなかった。もっとも、クロスチャンバーで好結果が得られなかったことは残念で、その原因が知りたくなった僕は、TZR/RZ-Rで参加していたライダーに、片っ端からMJの番手を聞いてみることにした。
そうしたら、面白いことが発覚。僕がこれまでに使った番手は#250~#280近辺だったのだが、SUGOに集まったヤマハ2ストパラツインのMJは千差万別で、「300以上じゃないと話にならないでしょ」と言う人がいれば、「基本的には220前後で、250以上は使ったことがない」と言う人もいた(ノーマルはTZR:#230、RZ-R:#180[’83年型]/#155[’84年型以降])。
もちろんMJの番手は、キャブ口径やチャンバー、エンジンの仕様などを抜きにして語れないので、安易に大きい小さいとは言えないけれど、ここまでの差は予想外だ。
いずれにしても、クロスチャンバーの真価を見極めるには、MJをもっと大胆に振ってみるべきだろう。そしてこういうときは、過去の数字を参考にできればいいのだけれど、僕がきちんとセッティングデータ/タイムを記すようになったのは2018年からで、かつてクロスチャンバーを装着して、1万1000rpm以上まで普通に回っていた頃の番手は忘却の彼方。まあ、近いうちに、#240と#320あたりを試してみようと思う。
フリー走行では、'16年にワンオフ製作したクロスチャンバーを久々に使ってみた。1本目はハーフウェットだったため、月岡編集長に協力してもらって、出走前にタイヤをレインにいそいそと変更。
前回紹介したOSR-CDIの装着テストの最中、発案・開発者の石谷さんとシゲテックの小山さんは、僕が製作したグダグダの配線を見て、唖然……。どちらからともなく、「これは整線が必要ですね。このままだと配線が原因のトラブルが起こりそうですから」という話になって、ふたりで瞬く間にガソリンタンク/シート下の配線をスッキリさせてくれた。BEFOREは撮り忘れてしまった(汗)が、下写真がAFTERだ。
250cc以下、~1989年クラスの最大勢力はTZRだった。僕が主戦場としているTOTのZERO-4は、近年ではNSRが圧倒的な多数派になっているけれど、ヤマハのホームコースと言うべきSUGOで開かれているからか、全日本2ストミーティングは以前からTZRで参加するライダーが多い。僕がエントリーした250cc以下/~1989年クラスの今回の参加台数は21台で、その中の8台がTZRだった。ちなみに、それに次ぐ多数派は4台が出走したRZ/RZ-Rで、周囲がヤマハ2ストパラツインだらけという状況は、何度味わってもたまらないものがある。ただし、今回のこのクラスの模擬レースでトップタイムの1分49秒295をマークしたのは最下段写真、博輪舎が手がけた♯119 NS250Rを駆る加藤祐樹さんで、その速さはNSらしからぬ?! と言いたくなるほど。上写真は#14・渡辺政徳さんだ。
#17・加納千秋さん
#92・橋本邦弘さん
#2・半沢正文さん
#7・掛川玄淳さん
#44・井上 昭さん
#77・菅田徹也さん
#119・加藤祐樹さん(NS250R)