国内最大の 2輪ドラッグレースシリーズ開幕直前! JD-STERインタビュー
ドラッグレースを運営するJD-STERは加速を続ける!
2020年はコロナ禍の中3戦が開けたのは奇跡
H&L:早速ですが、まずは2020シーズンを振り返っていただきたいと思います。どんな感想をお持ちになりましたか?
中村:昨シーズンはコロナ禍の中で、当初予定した全5戦中、3戦が開けたことは奇跡だと思っています。エントラントを含め、ご協力いただいた方々に、まずは感謝を申し上げたいと思います。
JD-STERもご多分に漏れず、外出自粛要請などコロナ禍の影響で、2020年は5月と6月の2戦をキャンセルせざるを得ませんでした。以降もなかなか会場との日程調整交渉が思うようにできず、結果としてシーズン前にご案内した日程通りに行えたラウンドがひとつもなかったんです。この日程変更を含め、楽しみにしていただいた皆さんには、お詫びしかありません。 ただ一方で、寒い12月にはなってしまったけれど、きっちり最終戦を開催して各クラスのチャンピオンを決め、シーズンを締められたのは本当に良かった。
横田:2019年の最終戦は台風の影響で中止になりましたからね。それまでの獲得ポイントでチャンピオンは決まったけれど、尻切れトンボ感は否めなかった。やっぱり最終戦を走って決着を付けたい、それを観たいってことで、’20年の最終戦開催は多くのエントラントに望まれたし、実際、多くの皆さんに参加いただけたのでしょう。
実は12月の最終戦開催については我々も危惧していたんです。会場だったふくしまスカイパークは山の上。天候次第では雪も降りかねない場所ですからね。内心はドキドキでした(笑)が、当日は暖かく、ライダーによってはシーズンベストのタイムを出した方もいた。運に恵まれていたのでしょう。
話は変わりますが、天候といえば昨シーズンは度々、ゲリラ豪雨に苛まれましたね。そのおかげで第4戦はなんとか間に合ったHDクラスを除いて、以外のクラスの決勝レースが中止になった。先の2019年最終戦が台風でキャンセルになったのもそうだけれど、雨の多い日本ではこればかりはしょうがない。JD-STERにとって最大の弱点かも。後で会場の話になるけれど、この辺も上手く解決できるようになるんじゃないかな。
中村:レースの内容的には、20歳代の若いライダーの皆さんの活躍が目立ちましたね。2020年のプロオープンクラスでシリーズチャンピオンになった阿部嵩大選手はその最右翼。実は皆さん、JD-STERにずっと出ていらっしゃる方々の息子さんだったりするのですが、お父さまたちのアドバイスも効いているだろうし、若い分、結果が出るのも早い。そして若い方々はやっぱり同世代への発信力も強いですから、我々オジサンたちは彼らの持つそんなパワーにも大いに期待しているんですよ(笑)。
横田:若いライダーの間で「ドラッグレースってカッコいいじゃん」ってなったらいい。でも一方で、年をとっても楽しみ続けられるのがドラッグレースです。アメリカでは「こんなジイサンが乗ってるの?! 」なんてザラ。スパイダーマンのコスチュームで知られる、ラリー・マクブライド選手なんか60歳を超えてまだ、第一線で活躍している。子育てもひと段落したから新しいバイクの趣味を……って考えている方がいらっしゃれば、ドラッグレースを始めてみては? と、お勧めしたいですね。
参加者も観客ももっと楽しめる2021年に期待!
H&L:さて、今シーズンですが、変更点をお教えください。
中村:まず、会場がに茨城県城里町にあるJARI城里テストセンターに変わります。同所の総合試験路をお借りすることができたんです。試験路自体1000mもありますから制動距離もたっぷり取れて、これまで安全性を鑑みて1/8マイル(約201m)戦に抑えてきたプロオープン、オープントーナメントの2クラスも1/4マイル(約402m)戦ができるようになります。
そして、現在のエントラントの大半が住む関東圏内に会場を用意できたのも大きいでしょう。多くの場合、日帰り圏内になりますからご負担も少なくできる。そして、これまでドラッグレースに興味があっても、会場が遠いからと二の足を踏んでいた方々にもご覧いただき、参加してもらえるようになるのでは、と期待しています。そうした思いも込めて、昨季までと比べてプラス1戦となる全6戦のスケジュールを組んでいるんです。
横田:さらにJARI会場のトピックを言えば、自動車専用路面であることです。路面のμも高いですから、セッティング次第でタイムも大きく伸ばせるはず。先のプロオープン、オープントーナメントの1/4マイル戦への移行も含めてですが、新たなヒーローが生まれる可能性が高い。JDも長く続けてきた中で各クラスのトップライダーが固定化してきた感もありましたが、乗り方やセッティングのちょっとした変化でタイムが面白いように変わるのも、ドラッグレースの醍醐味。新たな会場に移ったことで、エントラントには楽しみが広がるはずです。
あと、JARI会場はコースの照明施設も使えそうなんです。これまで降雨によるディレイ(遅延)を原因に、日没終了だったレースも最後まできっちり行える可能性が高まる。僕たち事務局としては、仙台ハイランドで開いたことのあるナイトレースの復活……なんて夢もある。特に夏場は、日中のレースは厳しいですからね。日が暮れて涼しくなってからのレース、憧れますね(笑)。シーズンのスタートが今から待ち遠しいんですよ。
2021年レース詳細
■レース日程
Round15月 4日(みどりの日)
Round26月13日(日)
Round37月18日(日)
Round48月22日(日)
Round59月26日(日)
Round610月24日(日)
■会場
財団法人日本自動車研究所 城里テストセンター
〒311-4316茨城県東茨城郡城里町大字小坂字高辺多1328番23
※開催クラスとレギュレーションの詳細はコチラ
■取材協力・一般財団法人JD-STER
※本企画はHeritage&Legends 2021年4月号に掲載された記事を再編集したものです。
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