“伝説感”をパーツ選択からバランスまでに生かす
「カワサキゼファー1100はひと言で言うなら“伝説感のあるバイク”だと思います」と、その本質を捉えるしゃぼん玉の代表、滝川さん。ではそのゼファーに今手を入れるならどうするか。「1100をファーストステップから順に行くと、そこそこパワーもあるけれど重く感じることも多いでしょうから、まずホイール換装をお勧めします。次が前後のブレーキまわりで、制動力を上げてタッチと操作性を上げる。それから前後サスペンション、ステムまわり。フロント[18→]17インチにする場合はホイールと一緒にやるのがいいでしょう。このあたりはバランスもありますから、いいショップさんと相談しながらやるといいと思います。あとは必要に応じてポジション関係もやっておく。ここまで手を入れれば、長く楽しめると思います。距離が進んだらオーバーホールも」
気に入って長く乗るうちに足まわりを軸にここまで手を入れるケースもよく見られるようになった。今からというのならプランをしっかり立ててから着手するのもありだ。では、この先に……となるとどう進めるか。この車両は、その参考と言える1台だ。
「もう20年来のお付き合いがある方の愛車で、そのくらい長く乗られているんです。その間に何度か仕様変更を行っていて、現状は“渾身のゼファー1100”とでも言うような内容になっています。先述した内容はエンジンのオーバーホールと1107cc化も加えてフルに行った上で、その先もほぼフルメニュー。タンクもアルミ化したり、セパレートハンドルにしていてもハンドル切れ角を確保するように、そのタンクをわずかに後ろに下げたり、フォークのボトムピースをZRX1200のφ25mmアクスル用に換えて大径化したりという、当店のヘビーカスタム用定番も盛り込んでいます」
実際にこの車両はよく出来たカスタムの例に漏れず、軽く、取り回しもいい。滝川さんは、個々のパーツにも注目してほしいとも加える。その例が、新作のエキゾーストシステムだ。
「3Dウエルドクラフト(輪切りピースを溶接組み立て)のフルチタンEXで、サンクチュアリーさんとのコラボ製品です。行き着くところまで手が入った渾身の車両に合うことを目指したので、そんな車両を持っている方に良さを分かってもらおうと作った究極の1本。逆にノーマル車には合わないでしょうが、そこは全体のバランスを考えてもらえればいいでしょう」
冒頭の“伝説感”や“味”を突き詰めた上で考えたというマフラー。ほかのパート=ブレーキの精度を追う、オクムラチューンでオーナーにより合わせた仕様のサスにするなど=も、こうした“より突き詰める”内容に含まれる。
パーツ自体は豊富にあるゼファーだが、このマフラーやアルミタンクのように、選び方と付け方で見栄えや仕上がりは変わり、同時にそこに長く乗れるかのポイントもある。迷うことがあれば、しゃぼん玉に行けばパーツの現物もあるし、アドバイスも受けられる。参考にしてみたい。
Detailed Description詳細説明
ステムはウイリー製ビレットで、フォークオフセットはフロント18→17インチ化に合わせてノーマル45から30mmに変更。ハンドルはセパレートで左右マスターシリンダーはブレンボ・ラジアルポンプを装着。バーハンドルステーは追加のアクティブ・デジタルメーター用ステーに転用している。
フューエルタンクは、ノーマルタンクにあるニーグリップ部のエグリを廃したアルミ製に換装、軽量化とスタイリング向上に寄与するものだ。
サイドカバーおよびテールカウルの外装パーツ、シングルタイプで内部も変えたシートはしゃぼん玉オリジナル品に換装されている。
エンジンはワイセコ製φ75mmピストンで1062→1107cc化、カムシャフトもヨシムラST-2に変更してある。マフラーは「フルカスタムゼファーにこそ合う」(滝川さん)という、同店/サンクチュアリーコラボ限定製作品の3Dウェルドクラフト・チタンだ。
キャブレターはヨシムラミクニTMRφ38mmのMJN(マルチプルジェットニードル)仕様+DNAフィルターをセットする。
ステップはエンジンのクラッチ/パルサー/ジェネレーターの各カバーや油圧クラッチシリンダーと同じく、ウイリー製ビレット品をチョイス。
ステップのペダルはナイフエッジ形状。フレームはオリジナルで7カ所を補強した上でパウダーコート仕上げ。しゃぼん玉のお勧め仕様という。
φ43mmオーリンズ製フロントフォークのボトムピースは、ウイリー製のZRX1200用を選択してφ20→25mmにアクスルを大径化する。こちらも同店の定番仕様だ。
スイングアームはウイリー製7N01目の字断面材製、リヤブレーキはブレンボ対向2Pキャリパーをウイリー製サポートで支持している。
リヤショックはオーリンズ・レジェンドツインで、フロントとともにオクムラMEチューン仕様。ホイールはアルミ鍛造のゲイルスピードType-Rで、サイズはノーマルの3.00-18/4.50-17から3.50-17/5.50-17の前後17インチとしてスポーツ性を向上させているのだ。