お世話になったZに恩返しするパーツを作り、デモ車に装着
Z900RSに力を入れるアメリカンドリーム。同店が’25年春の東京モーターサイクルショーに出展したZ900RS最新デモ車両はこの欄で先日掲載したが(詳細はコチラで!)、それと同時に出展されていたのが、このZ1だ。Z900RS同様にアメリカンドリームの新作、「カフェレーサーカウルType-2」が装着されるが、各部にはさらに力が入る。少し前に開発進行中の様子を見せてもらったパーツ群=ステップキットやオイルクーラーが完成し、それらが装着されているのだ。
「ステップは当店のお客さんからも“もう少し楽な(ポジションの)ものがないか”と相談を受けていたんです。多くのZ向け市販製品はステップバーが後ろで高い位置にある。それでZのノーマルを見てみると、逆に前過ぎ。そんな時に当店でZと並ぶ柱にしているZ900RSに乗ってみると、楽でいい感じがした。シートとステップの位置関係を見てなるほどと思いまして、今回の位置を作りました。バー高さは5ポジションにしていて、これはパイプハンドルとセパレートハンドルでは同じ位置ではなく、それぞれにいいマッチング位置があると考えてのことです」と、アメリカンドリーム・松田さん。
ステップは買うのだけれどどうしてもバー位置が決められないというお客さんには前で5/後ろで5の計10個のバーポジションが追加で選べるプレートを一緒に送り、位置を決めてもらった上でプレートを返送してもらうというサービスも行う。シフトペダルとシフトシャフトをつなぐシフトロッドも、乗り方によってシフトペダル後ろ側の取付高さが変えられる作りとなっているなど、操作に関わる部分に大きく配慮しているのが特徴だ。
オイルクーラーは車両に装着された大型コアの“レーシング”はワインディングや高速道路をどんどん走る人用として開発。そうでない人にも小型コアの“ストリート”を用意していて、これも有効だとのこと。またさらに加わったエンジンハンガーは、アルミ削り出しでエンジンをしっかりホールドするとともに、従来なかったような攻めた肉抜きデザインも特徴となっている。いずれも価格は決まったようなので、詳しくは問い合わせするといい。
ところでこのように空冷Zのパーツにも力を入れるのはなぜだろう。
「Z900RSパーツ販売が好調なのはありがたい一方で、Zもほったらかしにはできません。Zにはショップオープン、いや、それ以前から本当にお世話になっていますから、Zに対して恩返しがしたいと思っているんです。ですから私が作りたいものを、コストを度外視しても作りたいなと」
今回の新作パーツ群はそれが現れたものと言える。ステップでの気づきもそうだが、ネオクラシックモデルのZ900RSに力を入れることで、そのルーツモデルのZ1を見直し、新たな考えで手を入れることができるようになった。ではZに集中? と思うが、そうではないところがまたいい。
「Zもですけど、Z900RSも。どっちもフル稼働で頑張ります。Z900RSでもサーキットもストリートももっと走りますし、ステップも作る算段でいます」。50年の時を挟んだ両車を2本の柱と捉え、時にはお互いの仕様を比べることでお互いにいいところを反映する。それで今後のパーツや車両展開にも、より深みが出てくるのかもしれない。
Detailed Description詳細説明

Type-1より攻撃的でレーシーなデザインとしたというアメリカンドリーム新作の「Z1/Z2 カフェレーサーカウルキットType-2」を装着、マジカルレーシング・NK-1ミラー・タイプ2ヘッドをそのカウルステーにマウント。外装全体にはMagiVeil(マジベル)コーティングも施される。ステムはアメリカンドリームPRIDEで、ハンドルはアクティブ・セパレート。フロントマスターはゲイルスピードVRCでワイヤークラッチホルダーキットもゲイルスピードだ。速度計は純正ケースにスタックST200を収める。

ステップは本文に示したアメリカンドリーム新作のライディングステップだ。12万1000円の価格がアナウンスされている。

アメリカンドリーム・ライディングステップはマウントベース(車体に装着する部分で、写真ではブラック仕上げ)とステップバーマウント(写真でのシルバーの部分)の2ブロック構成で、ベースに開けられた穴の選択で上下5つのバーポジションが選べる。またシフトペダル下にはシフトロッドのマウント穴が複数開けられ、ペダル作動角度に対するシフトシャフトの作動フィールが変えられるようになっている。

ワインディングや高速道路をどんどん走る人に向けた「レーシングラウンドオイルクーラー」(15万9500円)もアメリカンドリームによる新作。普通に走る人にも付けてほしいという「ストリートオイルクーラー」(12万6500円)も用意される。

エンジンはピスタルレーシングφ73mm鍛造ピストンやESTスリーブによる1105cc仕様でクランクシャフトはフルオーバーホールされ、ミッションはドッグ加工。ヨシムラST-2LカムやPAMS製バルブ等も組まれ、ブルドック/マッコイシリンダースタッドボルトも使う。またアメリカンドリーム・レーシングラウンドオイルクーラーの使用に合わせてノーブレストのトロコイド式オイルポンプを組んで吐出量を確保している。BILLET クラッチリリースキットはPMCのDRAFTブランドだ。

デュアルスタックファンネル仕様のTMR-MJNφ38mmキャブレターはブラックとゴールドカラーのファンネルを選択している。

これもアメリカンドリーム新作となるエンジンハンガー。写真は前側用で、下側用、後ろ側用のセット。いずれもアルミ削り出しでエンジンをしっかりホールドするとともに、これまでになかったような攻めた肉抜きも加え、デザイン性もアップする。シルバー、ブラックありで4万9500円。

フロントフォークはHYPERPRO AH1でフロントブレーキはブレンボ・アキシャル4Pキャリパー+サンスターコラボレーション・アメリカンドリームSPECディスクの組み合わせ。

リヤブレーキはブレンボP2-CR84 2Pリアキャリパーにサンスターコラボレーション・アメリカンドリームSPECディスク。排気系はアメリカンドリーム Z系 Neoショートマフラー/UPタイプ チタンで、ポリッシュ、クエンチング(焼き入れ)、ショットエンブレムの3つのオプションを施したものを装着している。

リヤショックはHYPERPRO DP-Sツインショック。スイングアームはアメリカンドリーム・ブラックラインのゼファー1100用を使ってZ向けにテスト中という。ホイールはMAGTAN JB4で3.50-17/6.00-17サイズ、タイヤはブリヂストン RS11の120/70ZR17・190/55ZR17サイズを履く。