整備でコンディションを維持して楽しんでほしい
多くの人気車両がある油冷モデルの中でも、今人気が高めと言えるのがGS1200SSだろうか。イナズマ1200をベースに’80年代耐久レーサーの雰囲気を持つ外装などを備えた、今で言うネオレトロスタイルの1台。2001年〜2003年の展開の間にオールブラック、’80GS1000Rやヨシムライメージの赤×黒、スズキファクトリーらしい白×青の3カラーが展開された。
この車両はその赤×黒に塗られているが、元々は純正オールブラックだったものを、改めて赤×黒のヨシムラカラーへと変えてイメージチェンジを図ったという。手を入れたのはブライトロジックで、塗装は最近。そして前後サスやホイールにブレーキまわり、キャブレターや排気系などは早い段階で手が入っていて、その好パッケージをお客さんが定期メンテナンスに気を遣い、長く(GS1200SSの現役から20年経つ)楽しんでいるということだった。
塗装以外のパートも今作ったと言えるようなルックスで、全体のバランス感も塗装とも違和感なしという部分にも好感が持てる。それは前述のように、メンテナンスもしっかり行われてきたから。つまり、最初に必要な箇所を作り込んで適切な維持がされていれば、こうして長く乗れるということ。さらにこのカラーチェンジのような大幅変更を加えても、ベース側が負けないでバランスしてくれることも分かる。
代表・竹中さんがヨシムラ・レースメカニックを務めていた頃に登場し、その現役時代すべてを直に接していた油冷GSX-R。各モデルの特徴を知った上で、自身が芯に持つよく走るバイクの作り方や動き方をミックスして送り出す車両には、大きな魅力と学べるポイントがたくさんある。GSF1200でもイナズマ1200でもこのGS1200SSでも、各油冷モデルにはそれが反映されるし、それ以前に同店が手がける車両はどれも、まずライダーの狙う作動をきちんと反映できるように、ライダーが使いやすいように作られる。そして、より良い作動が出来るものがしっかり採り入れられる。折に触れて作られる販売車も、このようなオーナー車両もそうだ。むしろこの車両では、実際に時間が経ってもその良さが失われず維持されているということに注目したい。これなら車両に愛着も湧くのはよく分かるのだ。
Detailed Description詳細説明
トップブリッジやメーターはGS1200SS純正で、純正メーターの左右にヨシムラ・デジタルマルチメーターと同GTメーターを追加した。
フロントマスターシリンダーはブライトロジックでは交換必須のブレンボ・ラジアル(ここではレーシングを選択)に換装、セパレートのハンドルも変更。クラッチ側マスターもブレンボ・レーシングで合わせている。シングルタイプのシートも内部&表皮を変更してある。
キャブレターはTMR-MJNφ40mmのサイドリンク仕様をBMCエアフィルター仕様で組んでいる。下にあるのは遮熱板だ。
油冷1156ccのエンジンは純正ベースで左右の上下にエンジンスライダーを追加(下側はモリワキの製品)、スターターギヤカバー部にAGRASのジュラコン製レーシングスライダーを備え、オイルクーラーをラウンドタイプに変更する。エンジン右のパルサーカバーはヨシムラ製の文字を加工。外装は今回純正ブラックから赤×黒のヨシムラカラー(GS1200SS純正にもあったカラーと同パターン)にリペイントされている。
早い段階で手が入った足まわり。フロントフォークはオーリンズ正立(純正に同じφ43mm)、フロントブレーキはブレンボP4-40Cキャリパー+サンスターディスクで、今見ても十分と言える作り。
リヤは純正アルミスイングアームにオーリンズ・フルアジャスタブルショック。マットブラック仕上げのホイールはマルケジーニM5Rの3.50-17/5.50-17サイズでタイヤはブリヂストンS23の120/70ZR17・190/55ZR17でアップデートされている。
リヤブレーキはブレンボ2Pキャリパー+サンスターディスク。排気系にはヨシムラ・チタンサイクロンマフラーをチョイスした。
ステップキットはWR'sを装着する。ドライブチェーンはRKの530XXWだ。