サーキットでラップタイムを詰める最善の手段は、地道な練習だとは思う。しかしながら、現在の僕が検討しているのは、自分自身ではなく、やっぱりマシンのチューンアップ。その第1弾として着手したのが、点火系カスタムパーツのOSR-CDIだ!
前回はほとんどグチになってしまったけれど、2019年春の大会、通算8度目のTOT参戦から約1カ月が経過した今、僕は今後のレベルアッププランを練っている。なんと言っても、2戦連続で1分7秒台が出せたのだから、自分自身かヤマハTZR250(1KT)の性能が上がれば、夢の6秒台もマークできるんじゃないかと。
では具体的にどんなプランがあるのかと言うと、まず自分自身のレベルアップには、他機種での走り込みが有効なようである。これは筑波サーキットで出会った1KT仲間のウケウリで、近年のTOTで僕より速いタイムをマークしている小川友宏さん(1分4秒763)はミニバイク、渡邊巧さん(1分6秒119)はYZF-R25で、トミンや桶川などに通っているそうだ。ふたりが言うには、1KTのようにコンディションに気を遣うことなく、ガンガン走り込めることがミニバイク/R25のいいところで、その話を聞いた僕は、練習用のマシンを準備したくなったのだが……。
1KTでの練習も十分に出来ていないヤツが、他機種を準備してどうするって言うんだろう。よく考えれば、現在の僕の生活には頻繁に練習に出かける余裕はないのだ。となれば、自分自身はひとまず保留にして、マシンのほうでレベルアップを実現したいところ。
で、マシンの性能向上作戦①はタイヤである。僕が参戦しているTOTのZERO-4クラスでは、ここ数年はピレリのディアブロスーパーコルサSCが絶大な人気を誇っていたが、先月のSATSUKIステージでは、ブリヂストンR11が勢力を拡大。ダントツの速さでポールtoフィニッシュを飾った、今泉七瀬さんのRGV250ΓもR11を履いていたのだ。
ただし今泉さんによると、R11はポンづけでOKなタイヤではなく、真価を引き出すには、車体姿勢を含めた前後サスの見直しが必要になるらしい。それを聞いた僕は、少々尻込みしてしまったけれど、今回の予選で今泉さんが記録した1分1秒563という驚異的なレコードタイムはR11のおかげ、と言える部分が多々あるらしい。ま、そこまで速いタイムの話になってくると、僕と1KTには関係ない気もするが、実際に履いてみないことには何とも言えないので、近いうちにR11を試すつもりだ。
そしてマシンの性能向上作戦②は、近年になって日本中のヤマハ2ストマニアから注目を集めている、OSR-CDIである。と言っても、このCDIは自作が前提で、ウェブサイトを調べても、僕にはさっぱり意味がわからなかった。でも5月上旬に筑波サーキットに練習走行に出かけた際に、たまたま近くのピットで整備をしていた1KTを見ると、なんとシゲテックの小山繁樹さん(ショップを構えているわけではないけれど、ヤマハ2ストマニアの間では著名なチューナー)が、OSR-CDIのセットアップを行っていたのだ。
もちろん、僕はその場で小山さんに点火系に関する相談を持ちかけ、思い切って製作を依頼。そして数日後に届いたOSR-CDIを1KTに装着し、当連載で何かとお世話になっているリアライズに出かけ、同店代表の道岡さんにパワーチェックを行ってもらったところ……。意外なことにノーマルよりパワーが落ちてしまった。
その理由は現時点では不明だが、過去にシゲテックがOSR-CDIを装着した1KTやRZ-Rは、いずれも好結果が出ているとのことなので、僕が何らかのポカをやっている可能性が濃厚である。とりあえず手元の仕事がひと段落したら、原因究明に着手する予定だ。
2019年5月のTOT・SATSUKIステージで3度目のZERO-4クラス優勝を飾った、上写真の今泉七瀬さん+RGV250Γは、すでに練習走行では何度か1分1秒台をマークしていたというが、公式記録ではブリヂストンR11(下写真)を履いた今回が初めて。近年のZERO-4で毎戦表彰台に上り、今回は2位だった八木則久さん+NSRも、今後はR11の導入を検討しているというから、やはり気になる……。
詳細は次回以降で紹介する予定だが、OSR-CDIは相当に守備範囲が広い点火系パーツのようだ。タブレットを介して自作のマップが投入できる上に、マップ切り替えやクイックシフターにも対応している。もちろん、純正に替わる補修部品として使うことも可能なのだ。シゲテックに製作を依頼した今回は、1KTの純正とまったく同じマップと、かつて、ミハラスペシャリティが販売していた2XT用スペシャルCDIと同じマップをセットしてもらったものの、結果はいまひとつ……。純正仕様の48.5psに対して、OSR-CDI装着後は8000rpm以降の伸びが悪く、46.5ps(1KTマップ)/39.9ps(2XTマップ)だった。計測を担当してくれたのは、実は2ストも大好きでRG500Γを所有している、リアライズの道岡さんだ。
前号でも書いたように、近年のZERO4クラスではNSRが圧倒的な多数派になっている。ただし、スチールフレーム車のみが参戦できるZERO-2クラスでは、1KTと同じ2ストパラレルツインを搭載するヤマハR1-Zがジワジワと勢力を拡大中。2019年のSATSUKI-STAGEには8台が参戦。クオリティーワークスの山下さん+VF400Fとの熾烈なバトルを制して、0.182秒差で優勝を飾った♯99山田さん+R1-Zのベストラップは1分4秒689! 最下段の♯33鈴木さんは、TOTでは非常に珍しい女性ライダーなのだ。
予選18位/決勝12位 #23・村田哲也さん
予選11位/決勝15位 #40・江田指月さん
予選13位/決勝16位 #47・三宅健司さん
予選16位/決勝17位 #86・山崎 武さん
予選21位/決勝21位 #33・鈴木敦子さん