CB-Fとカフェレーサースタイルを融合させる習作
CB-Fシリーズを幅広く手がける安田商会が手がけたCB750FC。これまでに紹介してきたCB-F各社とは少々趣が異なっているのは、一目瞭然。
その違いを作り出しているのは、やはりロケットカウルと言えそうだ。アメリカ市場をCB750Fourで席巻した後、ヨーロッパ市場へのホンダ・ブランドの浸透を目指すべく作られたCB900F。その軸のひとつとして、当地の美術品や工芸品にヒントを得たシャープでエッジの効いた外装デザインがあった。そこに丸みを帯びたロケットカウルがどう合うのか。
CB-Fの現役時代はちょうど市販モデルにカウルや空力の思想が持ち込まれた頃で、海外では’81年型CB900FBにハーフカウルが備わったCB900F2Bが加わり、国内でもCB750FBに後付けカウルのFBBが限定で追加された。’82年7月には国内でもカウルが認可され、CBX400Fインテグラ(ハーフカウル追加仕様)に次いで同年のCB750FCにもインテグラ(CB900F2C同型)が加わったという経緯がある。インテグラは丸型ヘッドライトを角型のカバーで囲うなど、先述のCB-Fらしいシャープなデザインに違和感を持たせない工夫をしていたためそちらの印象も強く、ホンダ、とりわけCB-Fには純正ファンも多いこともあって、こうした後付けのフルカウルを今まで見てこなかったのかもしれない。
ともあれ、安田商会・安田さんは’70〜’80年代の旧車でもあるCB-Fに、当時の印象の強いロケットカウルという組み合わせがあっていい、とカウルを装着。シートもこれに合わせたシングルシートスタイルとする。カラーリングも、本体はCB750FB純正パターン、カウル側にはそれに合わせたラインも入れて仕立ててみた。
「当初はマイナスな反応が多かったんですけど、まとまっていくにつれて、“行けるね”とか“似合うね”という感じで、高評価になってきました」とは、作業を続ける中で得られた安田さんの感触。確かにカウルとシート以外は、きっちりとレストア作業を行いながら作り込まれたストレートな18インチホイールカスタムのスタイル。むしろこの内容的は安田商会でもお勧めメニューとしてまとまっている部分。あとは時代感をどう捉えるか、という好バリエーション。誰もやらなかったから見慣れないだけで、こうして完成するといい感じに見えるというわけだ。
Detailed Description詳細説明
いわゆるロケットカウルスタイルのフロントカウルはZ系用のFRP製社外品をオリジナル加工して装着。CB750FB純正パターンを応用して塗装も施した。
シートはオリジナル加工によるシングルシートスタイル。ライダー側は表皮をタックロールタイプとする。他の外装パーツはノーマルのままだ。
メーターは国内仕様のCB750Fノーマルで、トップブリッジは安田商会とTTRモータース、クラフトによる「3社合同・CB-F/R用バーハンドルキット39」(純正フロントフォークでバーハンドル化できる)に換装し、この車両ではハリケーン・セパレートハンドルをセットする。クラッチはメタルギヤワークス製油圧キットによって油圧駆動化して作動を軽くし、左右マスターシリンダーにはニッシン・ラジアルを装着する。
マフラーはモリワキショート・スチール管(フルエキゾーストマフラー ワンピース)。全体のまとまり感にも違和感のない選択だろう。
エンジンは空冷DOHC4バルブ直4のCB750Fで、調子がよいためにノーマルのまま使用する。フロントカウル内には11段のオイルクーラーも見える。キャブレターはCRスペシャルφ29mm。CB-Fオーナーはノーマルにこだわる人も多いけれど、キャブレターをFCRなどの社外品で新品にするのも好調のためにお勧め、と安田さんは言う。この車両も後にFCRに換装した。CB-F現役時を彷彿させるステップは安田商会オリジナルだ。
TRAC付きφ39mmフロントフォークはCB750FCの純正パーツ。フロントブレーキまわりも、片押し2ピストンキャリパー+φ276mmディスクともCB750FC純正のまま。
片押し2ピストンキャリパー+φ276mmディスクはCB750FB/FC純正。リヤショックはYSS Z362で丸パイプのスイングアームはCB-F純正だ。
前後ホイールはアルミ鍛造のPMCソード・ヘリテイジでサイズは2.75-18/4.00-18インチ。ドライブチェーンはRKでスプロケットにはX.A.M製を使う。