カスタム見直しメソッド! Zシリーズ ブルドック 前編
補修と機能を高める進化型パーツでZを安心・快適化する
ワイドレシオの5速。各ギヤを初めとしたパーツはすでに純正欠品で、補修して使わなければならない……。空冷Zシリーズのミッションにはそうしたイメージがある。だが、それはもはや古い考えだ。すでに5速クロスや6速が専用品として作られているのだから。
「今製作中の弊社コンプリートカスタム・GT-M用Zエンジンでは半分以上で本品が組まれていますし、ミッション単品としても良く出るようになっています」ブルドックの和久井さんは言う。
▲シフトタッチが良くなって振動も減るオリジナルミッション。向かって左がZ用5速で、右はZ用6速。6速仕様はパワーを有効活用できるレシオを採用したクロスミッションとなっている。ストリート向け5速、レーシング向け6速があるが、6速もストリートでの使用にまったく問題なく、現代モデルのような感覚で使える。
ブルドックによるZ用ミッションは2012年に発表された。それ以前のマーケットには一部レース用があった程度で、ストリート用存在しなかった。空冷Zを主力とする和久井さんには、いつか何とかしたいという考えもあった。
「純正新品があるならそれでもいいでしょうが、それもない。補修で済ませるにも限界がある。それに、今後どこまで保たせられるかという不安。それを解消するためでもありました。設計・開発時にはレシオだけでなく、スムーズな回転や作動に配慮しました。ここが良くなることでエンジンの振動が減りますし、シフトタッチが良くなり、ギヤがしっかり入る。〝Zだから〞って思われていた部分が改良できた。それが認められてきたんでしょう」。こう言う和久井さん。
ブルドック・和久井さんが送り出すパーツ群は、このミッションのような考えが背景にある。
▲2nd/5thギヤ部に入るブッシュ。純正にもある潤滑オイル穴に加えてオイルを回すようにする溝も追加された。耐久性や作動性に重要な工夫だ。
「Zは40年以上前のバイクで、純正パーツも同じです。なくなったら困る部分は作るしかなくて手を付けるのですが、単に純正を再生産するのでなく、今のデータや素材、設計法で作ってみようと。そうやってうちのオリジナルパーツはチューニングパーツとして作ってます。自分も多くの車両を手がけてきましたから、どうなっているとより使いやすいか、弱点を補えるかという部分も加える。作るならいいものを作りたいし、幸いにもそれが作れる状態です。そんな性能向上用に作ったものが、たまたまですがリプロやリペアパーツのように使えているんです。そうした考えを知ってもらいながら、ブレーキやサスまわりほか、コラボできるパーツメーカーさんの存在や協力も大きいと思います」
現代車用の機能を持ちつつ、インナーディスクをZに合うスポークデザインでブルドック専用品としたサンスターディスクはその一例(後編に詳細を記述)。こうしたパーツ群は、カスタムブームの頃にはなかった。それが今ならある。機能を高め、デザインも洗練する。大きな魅力だ。
ショップデモ車をレプリカしたコンプリート
2020 Z1-R / GT-M
2020 Z1-R / GT-M 1230R
2009 Z1-R / GT-M
ブルドックによるコンプリートカスタム、GT-M(Genuine Tuning Machine)。最上段はショップデモ車をモチーフとしたユーザー車両。今はこのように一見目立つ色味の中に全体として落ち着きを持たせた作りが主とのこと。中と下はショップデモ車で、中段は1230㏄ /ツインプラグ仕様はじめ、現在の仕様。最下段はその約10年前の状態。基本コンセプトは変わらずその都度の先端を提案するが、当時はラッピング塗装ほか、ショーバイク的要素も強めにされていた。
→後編へ続く
※本企画はHeritage&Legends 2020年5月号に掲載されたものです。
カスタム見直しメソッド! Zシリーズ ブルドック 後編はコチラから
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