旧車のノウハウをアレンジしてZ900RSに投影する
PMCが2020年に「新型車を中心に、自由な発想でその魅力をさらに磨き上げることを提案する」として立ち上げたブランド、アーキ(ARCHI)。PMCがこれまで30年以上に渡って培ってきた空冷Zなどのノウハウを現代の新型車に注ぎ、磨き込むという手法は、続々と発表されるZ900RS向けパーツ群の展開を見れば納得できる形で進んでいる。
このカワサキZ900RSはそのアーキ・パーツ群を装着したデモ車で、マフラーはショート管として2タイプ用意するうちの「手曲げ1ピースショート管」。
「エキパイは砂詰め手曲げ、フランジはアルミ鋳物で集合部は三角パッチを当ててのTIG溶接で製作。こうした空冷Z現役時代を彷彿させる昭和のハンドメイド手法をあえて投入しているのですが、そこは当社の空冷Zのノウハウです。同時にエキパイもわずかに伸ばして低速トルクを稼ぐ作りにしています。ここはもうひとつの427 6ピースショート管(機械曲げ。こちらにはめっき仕上げの設定もある)とも共通する部分になります」とPMCの担当、清水さんは言う。
こうした単体のルックスやJMCA適合(写真以外にもレーシングモデルの展開もあり)も含めた性能面は魅力。また一方で、アーキらしさは写真のように、ロングテールや空冷Z当時を思わせるビキニカウルといったアーキ・ブランド製品同士の相性の良さでも発揮されているようだ。
それは他のパーツ群にも現れていて、ハニカムシリーズのステップは「ARCHI」ロゴが加わりヒールプレートデザインを変更した「ビレット・ハニカムバックポジションキットver.2」が加わり、このデモ車両で装着されるトラスロッドシリーズとも合わせての選択肢を増やした。ほかにも新作は次々と発案・開発中で、目が離せないのだ。
Detailed Description詳細説明
ベースプレートとヒールプレートに、独自のハニカムパターンをさらに削り出しで表現したビレット・ハニカムシリーズ。'21年初夏に加わった「ビレット・ハニカムバックポジションキットver.2」はマトコークブラックとシャイニングシルバーの2カラー設定だ。
純正比で20mm後ろ/20mm上になるステップバー位置は、ベースプレートとヒールガードの間にある可変式2ndマウントプレート(写真右上パーツ。ここではヒールガード側に締結されている)を移動させることでさらに30mm後ろ/30mm上に設定可能となっている。
PMCが持つ長年の空冷ZのノウハウをZ900RS用製品に注ぎ込むというアーキブランドのコンセプトが明確に現れているのがこの「手曲げ1ピースショート管」だろう。きれいなアールを描く4本のエキパイは往年のファンなら垂涎の砂詰め手曲げによって構成されている。
エンジン側の取り付け部となるフランジは切削でなく、往年の(空冷Zの持つ昭和的な)雰囲気を演出するように、アルミ鋳物製を使う。
集合部は少し離れたところから見てもマフラー、車体のアクセントとなるように当時風の三角パッチを採用し、TIG溶接で製作。
中間パイプ内部にターンアウトインナーをセット、テールエンドはストレート排気とする2次サイレンサー構造など、現代の作りも合わせ持つ。
シフトシャフトの支点として力点=チェンジロッドと近づけ、確実なシフト作動と当該部の耐久性を高めるチェンジロッドリテーナーは3色展開。「純正オプションのように見える上に機能があるというコンセプトで作っています」というアーキの思想を実現している。
チェンジロッドリテーナーの、シフトシャフト貫通部。エンジンから伸びるシフトシャフトの途中を支持しつつ、ニードルローラーベアリングとオイルシールによってシフト操作がスムーズで的確になる。リテーナーはボルト2点でエンジン側に装着できる。