ハヤブサにふさわしい高品位ドライカーボン外装をまとう喜び!

大手用品チェーン・ナップスが2022年10月に発表したプライベートブランド、『Naps Sports』。その第1弾として発表されたのが現行HAYABUSA向け、フルドライカーボンボディKITだ。すでに昨秋の隼駅まつりの会場にも展示されたから、各メディアで目にした読者も多いだろう。今回は高品位チューニングパーツとして位置づけられた同KITの装着車に、二輪ジャーナリスト・中村浩史が試乗。走りはもとより、開発意図を含めた詳細をレポートする。

 

ナップススポーツによる究極のプレミアムパーツ

ハヤブサは日本が誇るバイク界のGT=グランツーリズモ。系譜を見れば、’99年に初代モデルがデビュー、’08年にフルチェンジした2代目、’14年からは国内正規販売仕様も登場して、’21年には現行モデルが発売に。ほぼ10年というモデルチェンジのサイクル自体、日本では希有なモデルとも言える。

そしてそのハヤブサ、初代モデルから2度のフルモデルチェンジを行った現行モデルでも、ハヤブサはハヤブサ。キープコンセプトで、GTモデルとして進化、いや『深化』を果たしてきた。

現行モデルでは、先代の基本構成を踏襲しながら、新規排出ガス規制をクリアさせると同時に、主に電子制御メニューをアップデートした。強烈な走りはそのままに、より洗練度を増している。

さらに、現行ハヤブサのトピックはもうひとつ。それが「質」の向上だ。走りはもちろん、スタイリングやディテールのクオリティを上げるということも、現行ハヤブサのコンセプトだ。

レイヤーを使ったフルカウルは、めっきモールやアクセントカラーを入れて、面構成も勢いやアグレッシブさよりも高級感や上質さをアピール。特に、常にライダーの視界に入るメーターパネルは、アナログとデジタルの組み合わせ。白色LEDや、センターのフルカラー液晶パネルにはゴールドのアクセントラインが入り、まるで高級機械式腕時計のようだ。

「こうしたハイクオリティモデルをカスタムする時、定番のメニューで手を入れると、ノーマルのよさや存在感を崩してしまいがちだ。ナップスでは『Naps Sports(ナップススポーツ)』というブランドを立ち上げて、ノーマルの良さやシルエットを生かしつつクオリティを上げるべく、ドライカーボンでフルカウルキットを製作しました」と、ナップス戦略事業部の松倉さん。単なるカスタムパーツではない、究極のプレミアムパーツをリリースする新ブランドがナップススポーツなのだ。

第一弾のハヤブサ用プロダクトはカーボンカウルの中でもホンモノ中のホンモノである『ドライカーボン』。単品販売は行わず、フルカウルからフェンダー、タンクカバーやテールカウルまでのフルセット、または車両込みのコンプリート車だけの販売スタートだ。

▲Naps Sportsラインナップ開発を担当する、ナップス戦略事業部の松倉京一郎さん。プロトタイプが仕上がってからは実際の使用シーンに当てはめて実走テストもじっくりと行った。聞けば片道500㎞ツーリングにも使用したのだという。

素材も製法も製品も何から何まで規格外?!

ドライカーボンは、モトGPやF1など、世界最高峰のレーシングシーンに使われる超高級素材。ハンドメイドでコストがかかり、製造も量産も難しい。

「通常の樹脂パーツのように、対象物をベースに雌型雄型を作り、そこから樹脂を積層貼り込みして製品化するのではなく、対象物を3Dスキャン、そのCADデザインをモディファイして製品化します。型データの精度を保ち品質も保証したいので、キットは30台分しか生産しません」(松倉さん)

3Dデータ取りの手間は、通常の樹脂パーツ生産より数倍の時間と工数がかかるが、この方が形状変更が容易でパーツの合わせ精度もピタリと合うと言う。どんな形状も作れるが、今回はあえてハヤブサのノーマル形状を尊重した。

「データを取ると、純正外装パーツがいかによくできているか分かります。ですからキットでは、全体を見ればハヤブサだけれど、細かいディテールをオリジナルデザインとしました。ハヤブサのサイドカウルってこうだっけ? って思わせるモディファイです」(同)

このハヤブサ用フルドライカーボンボディキットは開発に時間をかけ、松倉さん自身が実走テストを担当。昨秋の「隼駅まつり」にも自走で参加し、走行中の強度や熱対策、取り付け強度の確認も済ませた。

「販売も1台ずつ車両を持ち込みで、ナップスで組み付けを行い引き渡します。納車後のケアも当社で行い、納車後1カ月で取り付け状況も点検。コンプリート車両の方は当社で車両を確保できた数台だけ、製作する予定です」

素材から製法、そして製品から納車まで、すべてがプレミアム。価格もフルボディキットで209万円、車両込みのコンプリート車の乗り出しで439万円(共に税込み)と、何から何までプレミアムだ。

「ハヤブサはそれくらいのパーツでないと、ノーマルの存在感を越えられない。このプレミアムなモノづくりを理解してくれるお客さまはきっといる──そんな願いも込めた製品なんです」

ナップススポーツはこのハヤブサ以降も順次他車種向けの開発も行うが、特にユーザーからの問い合わせが多いのがZ900RS用なのだとか。近々の発表も期待して待とう。

 

ただそこにいるだけで凄みを感じさせるド迫力の存在感をもつ妖しきハヤブサ

▲エンジンや足まわりなど走りに関するパーツや、ポジショニングパーツもノーマルだから、その乗り味はハヤブサそのまま。純正の外装パーツ群も軽量に仕上がってはいるが、ドライカーボンへの素材置換で4kgの軽量化に成功した。Naps SportsフルドライカーボンボディKITを装着したHayabusaは、専用ブースが設置されたナップス横浜/春日井の両店で見られる。

 

フルドライカーボンボディKITにはクリアとマットの2バージョンがある!

【クリアカーボン仕様】

そこにいるだけで凄みある存在感を漂わせるフルドライカーボンボディKITには、ツヤあり「クリアカーボン」(写真上)とツヤ消し「マットクリアカーボン」(下段で紹介)の2パターンを揃える。紫外線や熱の影響による耐久性や対候性を考慮して、それぞれに塗料や塗膜の厚さを決定している。試乗したクリアカーボン仕様のフルボディキットは209万円、車両込みのコンプリート車が乗り出しで439万円(価格はともに税込み)。

 

【マットクリアカーボン仕様】

マットクリア仕様の価格はフルボディキットが217万8000円、車両込みのコンプリート車は乗り出しで447万8000円だ。ほかに未塗装のフルボディキットも198万円の価格で販売中だ(価格はすべて税込み)。

 

あくまでもノーマルの形状に忠実に、少しだけモディファイを加えてデザインを決定。ドライカーボンは同強度のまま部材を薄く設計できるため、アッパーカウルはより走行強度を上げるべく、そのマウント方法も強化している。機能部品であるタンクはノーマルの形状を踏襲した。

 

テールカウルはノーマル形状をさらにスタイリッシュに、上品にモディファイ。フロントフェンダーはノーマルの強度剛性、空力特性の高さとも非の打ち所がないため、スズキ純正の安全基準も尊重してノーマルと同形状を採った。もちろん、そのマウント方法も同じボルトオンだ。

 

ノーマルではデカール仕上げの「隼」ロゴは、位置や大きさをほぼそのままに、カウルサイドに凹形状のエンボス立体デザインで再現している。サイドカウルにあるエアダクトルーバーは、一見ノーマルのようなナチュラルさだが「こんなデザインだったらもっとカッコいい」の思いが込もる。

■取材協力:Naps Sports TEL045-211-4360(ナップスお客様相談室)
https://n-sports.naps-jp.com/
※本企画はHeritage&Legends 2023年4月号に掲載されたものです。