人気絶版車購入ガイド・シャボン玉ZRX&ゼファー1100編
フレームのダメージや載せ替え履歴を確認
立ち姿の美しいものはまず大丈夫
「ZRXの場合はフレームのネック部の塗装剥がれや溶接剥がれ、ハンドルロック部の溶接剥がれをまず見ておきたいです。転倒や事故歴があるとそんな剥がれが見えます。ネイキッドの中ではよく走る人も多いモデルで、サーキット走行に使われたという車両も多いでしょうから、それで転倒して……というのも多いんですよ」
しゃぼん玉で多くのZRX/ゼファー系カスタムを手がけてきた滝川さんは、ZRX中古車の要所をまず挙げてくれた。自身もZRX1100を所有し、サーキットに街乗りにと使ってきた体験からも浮かび上がってきたものだ。
▲ゼファー1100カスタムの後ろに立つのはしゃぼん玉の滝川泰史さん。タイトル写真のZRX1100は長年の愛車。多くのカスタム車やパーツ群を扱ってきた中からのノウハウは膨大に持っている。
「次いで見ておいてほしいのは、装です。『あとで換えられるものでしょ……』というのでなくて、もう換わっているかもしれないのを見抜いてほしいんです。事故車で本体はごまかしが利いているけれど外装がつぶれてしまったから載せ替えているというものもあります。年式とカラーの違うものも。 燃料タンクはじつは分かりやすいんです。タンクキャップを見ると、1100はボルトが7穴。1200だと5穴。それで1100なのに5穴、1200なのに7穴というものは明らかに載せ替え。おかしいんですよ。載ると言えば載りますけど、好きでそうするケースはまずないですから、何か理由があると思っていいですね。同じ理由から、全塗装車もパスです。純正に戻してもいいのにあえて塗ってあるのは、理由があります」
▲ZRXの燃料タンクキャップは1100が7穴(写真。キャップは換装されているが取り付け穴は同じ)、1200が5穴となっている。ここが入れ替わっている場合は外装載せ替えがあり、その理由を知っておきたい。普通なら修復や純正交換で済むはずだからだ。
▲左がZRX1100(1997~2000年に展開)、右はZRX1200(2001~2008年。後継のDAEGは2009~2016年)。いずれもまずフレームのネック部に注目。各パイプを継ぎ合わせている部分の塗装剥がれや溶接剥がれがあれば避ける。外装は近い形状だが、上のように細かな違いがあるので注意したい。
怪しい車両を避ける。そのポイントは単純明快でもある。では、同じようにしゃぼん玉で多く扱ってきたゼファー1100は?
「エンジンの色とホイールです。エンジンは前期がシルバー、後期がブラックなんですけど、フレームの年式に合わない色のが載ってると、理由を知りたくなります。 ホイールは年式が古い車両なのにいやにホイール(純正)が新しく見えるもの。おそらく社外の17インチに履き替えて乗った後、ホイールだけ急に純正に戻して売っている。RSのフレームナンバーなのに無印のキャストホイールというのもあります。そんな載せ替え車が多いから、気をつけましょう。
▲ワイヤスポークホイールを履くゼファー1100RSのフレームナンバーなのに無印ゼファー1100の純正キャストが付いた車両。古い車両なのにホイール(この場合ノーマルの18/17インチ)が妙にきれいな車両。これらは1度社外の17インチホイールが履かれて、急にホイールだけ純正に戻していると思えるので確認。
▲ゼファー1100は初期(1992~年型)A1から2003年型A8までエンジンの外観がシルバー。2004年のA9からブラックとなるが、これが入れ替わっている場合は何らかの理由で載せ替え履歴ありとなるので注意したい。あとからの塗装の場合でも同様で、なぜ塗装したかの理由やほかの履歴を知るべき。
▲ゼファー1100のサイドカバーも要注意。割れて当然なほどに割れがあり、交換しているのなら単純交換かどうかの理由を聞いておきたい。
初期型A1の場合、デビューが1992年で、もう30年経ってます。ですからもうかなりボロいはずで、ボロいなりで買ってもいいでしょう。ただし、A1にはミッションに弱点がありますから交換が前提です。そこもですが、エンジンがかけられるなら白煙を吹かないことも大事です。吹いてたら後でエンジンを開けることになりますから。
▲しゃぼん玉でカスタムされたゼファー1100。このように立ち姿を見て違和感がないこと(特に斜め後ろから)。またしゃきっとして見えること。そうしたバイクは信頼できるとも滝川さんは言う。
もうひとつ、ZRXでもゼファーでも、立ち姿がしゃきっとしたバイクはフレームもしっかりしていると思います。とくに右後ろ、左後ろから見た時。ダメなバイクはふにゃっとして見えます。どのくらいか……は経験なんですが」
意外に気がつきにくい箇所があった両車。滝川さんの話は、これから購入を考える人にも十分に参考になる。
※本企画はHeritage&Legends 2020年11月号に掲載された記事を再編集したものです。
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