ストライカーワークスがZ900RSで臨んだT.O.T参戦
新製品の発案を期待したT.O.T参戦は収穫多数!
現代のストリートバイクとして生み出されたZ900RS。スポーツネイキッドのZ900をベースに、より日常ユースに仕向けられたその性格もあってか、サーキットではスポーツ走行で見かけることはあれど、イベントレースに本格参戦は聞かなかったハナシ。
そんな同車だが、2021年のTOTKAGURADUKIステージ、F-ZEROクラスで2台がデビューした。ここで紹介するストライカーワークス、鈴木正彦選手が駆る#1はそのうちの1台。同店は、エキゾースト/カスタムパーツメーカーとして知られる、カラーズインターナショナルがプロデュースするカスタムショップ。ライダーの鈴木さんは店長だ。
早速、カラーズ/ストライカーワークスを率いる新 辰朗代表、カラーズでパーツ開発を担当する高橋秀行さんに詳細を聞こう。
▲左がカラーズインターナショナルの新 辰朗(あらた たつろう)代表で、右はカラーズインターナショナルでパーツ開発を担う、高橋秀行さん。
「Z900RSは当社でも早くからパーツ開発に取り組んできました。おかげさまでリリースしたパーツはどれもまんべんなく売れていますが、一方では僕が考え得るボルトオンパーツはほぼすべて出し尽くしてしまったんです(笑)。ここまでを第1ステージと考えると、ステージ2、新しい“何か”を得るには思い切ったチャレンジをする必要があるかな、と。今回のT.O.T参戦は、その具体行動なんです」と、新代表。話は続く。
「一番大きかったのは、エンジンを触ったこと。SZ-021Rはまだ開発途上ですが、パワーはこのぐらいまで出せる、タイムはこのぐらい……。鈴木店長に乗ってもらったのは、一般ライダーはこのぐらいのタイムで走れるのか、を知りたかったから。そうして拾い上げたデータをストリートパーツにフィードバックするのが目的。SZ-021Rに僕も乗せてもらいましたが、各部のパーツでも改善点があることに気づいたり、バーハンドルキットも作るか? なんて考え出したりと、T.O.T参戦からの収穫は想像以上。できれば来シーズンは私も出てみたいと考えますが、それももちろん、タイムや順位を詰めるためなどではありません。やはり、新しいストリートパーツ開発に向けた、アイデアとデータを得ることが目的なんです」
▲T.O.TのF-ZEROクラス決勝グリッドに並んでの記念撮影。ストライカーワークス店長でもあるライダーの鈴木さんと皆が掲げる“1”はZ900RSで一番人気のブランドになることか?!
「商品化したいな、と思うのはバックステップです。既存のSTC(Sports Touring Concept)ステップキットも好評いただきましたが、スポーツ走行やレースを楽しみたくて、もう少しレーシーなステップを望まれるユーザーもいらっしゃる。そうした方々に満足いただけるものも作っていきたいですね」と、高橋さん。
Z900RS用パーツと言えば直近では、ヘッドライトステーや先のセパハンキット対応のスロットル/クラッチワイヤをリリースしたり、とラインナップは周辺パーツにまで及んでいる。さらに、これも他車用として好評のビレットによるタンデムステップキットも、開発が予定されている。
カスタムパーツもSZも楽しみ続けるためにある
一方、ストライカーワークス側のサービスで気になるのは、カスタムコンプリート、SZシリーズ。新車・中古車ともに入手が困難となっている今の状況は?
「現在、お引き受けしているのは、新車なり中古車なり、お客さまに持ち込んでいただいて、弊社人気パーツでパッケージング。前後ショックやホイールといった足まわりに関しては、ストライカーワークスが持つデータやノウハウなど参考にしていただきながら相談の上、コンプリートとして仕上げています。弊社はビルダーではありませんが、先のショックやホイールも含め社外パーツにも豊富なノウハウがあります。個別のパーツを購入して少しずつ楽しんでいただくこともできるし、ストライカーのSZパッケージを購入してもらうのもアリ。いずれの場合でも、その後のセッティングアドバイスなども含め、楽しんでいただけるはずですよ」(新代表)
▲右はZ900RS SZ-021R T.O.T RACERで左はT.O.Tで得たものが還元されて形となったZ900RS SZ-021R DEMO.CUSTOM MODEL for STREET。
「トータルで仕上げるコンプリートマシンは、Z900RSの価値を一層引き上げるものと考えています。ストライカーワークスで作ってもらった、ストライカーのパーツでまとめられている……とお客さまが喜び、自慢いただけるように、これからもT.O.Tチャレンジを含め、カラーズ/ストライカーのブランド発信力を強めていきたいと考えているんです」(高橋さん)
共感してほしいのは、ストリートでZ900RSを楽しむユーザーたち。カラーズ/ストライカーが切り開く新境地が楽しみだ。
Z900RS SZ-021R T.O.T RACER Description【詳細説明】
ストリートパーツ開発・確認のテストベッドとなったZ900RS SZ-021R T.O.T RACER。
新代表が「触ったことが一番大きい」としたエンジンは、カム、ピストン、シリンダーにZ1000用純正パーツを流用。これに合わせECUはMotoJPで再セッティング。ガードスライダーやアルミ削り出しのエンジンハンガーはストライカー市販品だ。
マフラーはストライカー“INTER MODEL”OFF-TypeBを使った試作レーシングフルEX。
ホイールはゲイルスピードGP1S。サイズは3.50/5.50-17。フロントキャリパーはブレンボ。
リヤショックはオーリンズ。リヤのカーボンフェンダーもストライカー市販品。
ハンドルまわりはG-STRIKERステムと同社セパハンキットの組み合わせ。ステダンはオーリンズ、ブレーキマスターはブレンボ、クラッチホルダーはゲイルスピードだ。
ステップには開発の基となるベース装着。
シートはミッドナイト製に独自で表皮を貼る。
Z900RS SZ-021R DEMO.CUSTOM MODEL for STREET Description【詳細説明】
カスタムプランを膨らませるデモバイクZ900RS SZ-021R DEMO.CUSTOM MODEL for STREETの最新仕様。
エンジンはSTD。カーボン製ラジエーターガード、ガードスライダーはオリジナル。
マフラーはZ900RS用で一番人気のSTREET CONCEPTフルEX4-1チタンブラック。
前後フェンダーも同社エアロデザイン、SADシリーズ。
リヤアームはG-STRIKER。
前後ショックは純正パーツをベースにスクーデリアオクムラでMEチューン済み。
ステップは人気のSTCステップキット4ポジション。
シートはオリジナル加工。
■取材協力・カラーズインターナショナル
※本企画はHeritage&Legends 2022年1月号に掲載されたものです。
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