現代バイクのスズキ KATANAをカスタム視点から見る

現代バイクのスズキ KATANAをカスタム視点から見る

スズキのKATANAは話題性がある。造形も魅力大。頂点スポーツGSX-R1000由来の車体にエンジン、電制がバックボーンにある。ならば、どうするか。持てるパフォーマンスを引き出すためのバイクへの接しやすさを求めるか、利便性を高めていくのか。そんなカスタム視点から今一度、細部を改めて見ておこう。

系列機の特性を生かせる素材としての作りもある

年々完成度を高めるバイク。そこに手を入れる必要はあるのかという思いも出るだろう。しかし、市販車は今も昔も最大多数の最大満足に向けたものだ。それを自分に合わせ込めば、本質がもっと分かるようになる。好きになる。満足感が高まる……。ならば、やるべきだ。

そこでKATANAだが、間違いなく最新の現代バイクだ。そこにはGSX-Rのパフォーマンス、GSX-Sの使い勝手。加えて、空冷カタナをオマージュしたルックスがある。だから、そうしたベースのどこに目を付け、生かすかを考えればいい。かつての空冷カタナが造形だけではなく、当時最新のレースベースパフォーマンスとフラッグシップとしてのユーティリティを持ち、これまでもその特徴のどれかを引き出すカスタムを受けてきたから、同じように考えるのだ。

今のバイクだからできないでなく、「こうできるかも」という想像を膨らませやすい作りも持つKATANA。ショートテールもアップライトポジションも、カスタムへの意欲を掻き立てる。凡庸ではない。自分仕様を見極める好適な素材が、目の前にある。

 

スズキ KATANA

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SPEC

●エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒998cc ●最高出力:109kW(148PS)/10000rpm ●最大トルク:107Nm(10.9kgf・m)/9500rpm ●車両重量:215kg ●全長x全幅x全高:2130×835×1100mm ●軸間距離:1460mm ●シート高:825mm ●キャスター/トレール:25.0°/100㎜ ●タイヤサイズ:120/70ZR17・190/50ZR17 ●燃料タンク容量:12l ●価格:154万円(140万円+税) ●カラー:ミスティックシルバーメタリック、グラススパークルブラック

 

メーター

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変則ワンパネル内に回転計(左)/速度計(右)を置く、GSX-R1000ベースの液晶メーター。右上の燃料計部は燃料残量で航続可能距離を表示する航続可能距離計や、積算距離計も表示。

 

ハンドル

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アップライトポジションのアルミ製テーパーバー(クランプ部径φ28.6mm/グリップ部径φ22.2mm)はトップブリッジも含めてポジション変更を狙いやすい部分だ。操作性を高めるクラッチホルダーやフロントマスターも視野に入る。

 

外装

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タンクはインナー式で容量12L。タンクに見える部分は複数の樹脂パネル製で、インナーリベットや嵌め合いで連結する。塗装や、ハンドル換装時の干渉を避けるなどでの形状変更も比較的容易だ。

 

フロントまわり

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フロントフォークはKYBφ43mmで、ブレーキキャリパーはブレンボラジアル4P。ホースやマスター変更でタッチを高めてもいい。タイヤはニュートラルな特性のダンロップ・ロードスポーツ2を履く。

 

ステップ

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ステップはGSX-S1000と同じだが、尻の位置がGSX-Sから約80mm前進したことで相対的な足位置は後ろになる。ステップベースもフレームに沿っていて、各社から多彩なステップキットが登場しているから、ここは選べる部分だ。

 

エンジン

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エンジンはGSX-R1000K5~8をベースにピストン/リングを軽量化しカムも変更、ストリート向きに最適化したGSX-Sと同様。SCEMめっきシリンダーやスリッパークラッチも備える。排気系は1-4と2-3間をイコライザーパイプでつなぐ4-2-1で、集合部直後にSET排気バルブを持つ。

 

FI(フューエルインジェクション)

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燃料供給はO2フィードバックシステムや吸気圧センサを備えたフューエルインジェクションで、スロットルボディにはサーボモーターで駆動させるサブスロットルバルブ(SDTV)を備え、燃料供発進時や低回転時に発進時のエンジン回転の落ち込みを緩和するローRPMアシストも装備。インジェクターは10ホール。その電子制御も含め、ノーマルで十分な機能を持つ。

 

スロットル

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スロットルグリップのケーブル巻き取り形状をGSX-S1000から変更し、KATANA用に新設計。発進時等、スロットル開け始めはドン着きを防いで穏やかにパワーが立ち上がり、開ければ高回転まで気持ちよく伸びる。これがKATANAの好特性を生んだ。

 

フレーム

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フレームはFEA解析技術により強度と剛性を最適化したアルミダイヤモンドタイプで、ステアリングヘッドからスイングアームを一直線化して軽量性も重視。スイングアームもGSX-R1000ベースのアルミ製。両者で快適なハンドリングと高い接地感に貢献する。

 

シート下

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シートはキーで開けられるが、その下で使えるスペースはETC車載器と書類が入る程度のもの。テールカウルもないが、外は4枚の樹脂パネル構成なのでフェンダーレス化と合わせて工夫ができる部分とも言える。

 

リヤまわり

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ターンシグナル付きスイングアームマウントリヤフェンダーを持つテール部。ここの処理で雰囲気も変わってくる。ホイールは3.50-17/6.00-17サイズで、リンクやサスとともに現代バイクでは作動性や軽量・高剛性の恩恵を受けやすい部分。チェーンは525サイズだ。

 

スタンド

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スタンドはサイドのみに装備されるため、リヤを持ち上げて整備するならスイングアームスタンドフックを追加し、社外のメンテナンススタンドを入手するのがいい。スタンド自体も中空なので質感と強さを高めるのもいい。

 

シート

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空冷カタナ同様にツートーンカラーを施したダブルタイプシート。シート高はGSX-S1000より15mm高い825mm。ここは形状や内部素材の変更で不安感を減らしたり、車格そのものをコンパクトに感じるようにできる部分でもある。

※本企画はHeritage&Legends 2020年7月号に掲載された記事を再編集したものです。
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WRITER

Heritage&legends編集部

バイクライフを豊かにし、愛車との時間を楽しむため、バイクカスタム&メンテナンスのアイディアや情報を掲載する月刊誌・Heritage&legendsの編集部。編集部員はバイクのカスタムやメンテナンスに長年携わり知識豊富なメンバーが揃う。