2021 TOTで活躍したスズキ油冷並列4気筒車

2021 春のテイスト・オブ・ツクバ で活躍したスズキ油冷並列4気筒車

TOT SATSUKI-STAGEで見た、スズキ油冷並列4気筒車の秘密

参戦台数も増加中! スズキ油冷並列4気筒車のメリットは?

国内最大規模のサンデーレースとして知られる、テイスト・オブ・ツクバ(TOT)。各クラスの主力という印象は希薄だが、近年のTOTでジワジワと参戦台数が増えているのが、スズキ油冷4気筒マシン群なのだ。
その理由を知ろうと、2021年5月に開かれたSATSUKI-STAGEの会場で、各車のオーナーとチューナーに話を聞いてみると「ノーマルでも十分速い」、「耐久性が抜群」、「パーツが潤沢」、「ZERO-3は参戦台数が少ないから気が楽」などという、ちょっと気になる答えが続々と返って来た。
となると、もしかしたら油冷4気筒車は、TOT参戦を検討中のライダーはもちろん、サンデーレースやサーキット走行を楽しみたい向きが注目すべき、最適マシンなのかも? ぜひ、参考にしてほしい。

 

■ZERO-3 GSX-R750 西尾健児 予選5位/決勝5位

スティングレイR&D/マジカルレーシングのFRP外装の効果で、初代を思わせるルックスになっているけれど、西尾さん(右から3番目)の愛車は1991年型がベース。戦闘力はノーマルで十分という判断からモディファイは要所のみ。FCRφ39mmキャブ、アクラポビッチ・エキパイ+Kファクトリー・サイレンサーの排気系、ナイトロンのリヤショック、サンスター製ディスク、ベビーフェイスのハンドルなどに留める。マシン製作はゲズンハイトの伊藤さん(右から2番目)だ。

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■ZERO-3 GSX-R750 深野将和 予選3位/決勝3位

今回で6度目のTOT参戦となるカドヤの深野社長(右)は、決勝で自己ベストの1分2秒460をマーク。昔から愛用してきた1988年型のチューニングを担当したのはブルドッカータゴスの田子さん(左)で、パワーユニットとスイングアームは1989年型RK用に換装。吸排気系はFCRφ37mm+Kファクトリー製、φ43mmフMMォークはハイパープロ、リヤショックはナイトロン、前後ホイールはラヴォランテをチョイス。次戦に向けて、今後はエンジンのオーバーホールを行う予定という。

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■HERCULES GS1200SS 谷 正明 予選15位/決勝7位

ひと昔前はGSX-RでST600エリア選手権に参戦していた谷選手(右)は、2016年からTOTの最高峰クラスに出場。リヤをモノサスに変更したGS1200SSは、1980年代初頭のワークスGS1000Rを思わせる雰囲気。JE製ハイコンプピストンとヨシムラST-1カムを投入したエンジンはGSX-R1100がベースで、吸排気系はFCRφ41 mm+アサヒナレーシング。フロントフォークとスイングアームは近年のGSX-R1000用をモディファイして使用している。前後ホイールはゲイルスピードだ。

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■ZERO-3 GSX-R750 菊地原康之 予選6位/決勝─位

III型カタナを所有する菊地原さん(中央)の主戦場はZERO-1。しかし現在のその愛車は大幅刷新の途中なのだそう。前回と今回のTOTではナインゲートの細井さん(左から2番目)から借用した、1988年型GSX-R750でZERO-3に出場した。マシンの主な変更点は、FCRφ37mmキャブ、ヨシムラ製マフラー、GSF1200用ホイール(3.50×17・5.50×17)、サンスター製フロントディスクくらいだが、ライダーの慣れが進めば、まだまだタイムは詰まりそうです……と笑顔で言う。

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■F-ZERO GS1200SS 寺田正男 予選12位/決勝10位

スーパーバイクが販売するオールドスタイルコンバージョンキットを用いて雰囲気を一新したGS1200SSは、今回で4度目のTOT参戦となる寺田さんの愛車。エンジンはワイセコφ80.5mmピストンを投入した1208cc仕様で、カムはヨシムラST-2、吸排気系はFCRφ41mm+プロドラッグに変更している。前後ショックはオーリンズ、3.50×17・5.50×17のホイールはJBマグタンで、バックステップはアグラスを使う。フロントのMOSキャリパーはYZF-R1からの流用パーツだ。

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■F-ZERO GSF1200S  前田憲明 予選6位/決勝2位

独自のスタンスで油冷の可能性を追求しているガレージdbの前田さん(中央)は、長きに渡ってGSF1200でTOTのほか、JD-STERドラッグレースに参戦中。GSX-R1100用純正ピストンやウェブカムなどを投入したエンジンは、後輪で160psを発揮。キャブはFCRφ41mm、排気系はKファクトリー+プロドラッグ。3.50×17・6.00×17のホイールとスイングアームはアドバンテージで、φ43mmフォークとリヤショックはナイトロン、前後ディスクはサンスターを装着している。

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※本企画はHeritage&Legends 2021年7月号に掲載された記事を再編集したものです。
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Heritage&legends編集部

バイクライフを豊かにし、愛車との時間を楽しむため、バイクカスタム&メンテナンスのアイディアや情報を掲載する月刊誌・Heritage&legendsの編集部。編集部員はバイクのカスタムやメンテナンスに長年携わり知識豊富なメンバーが揃う。