VMAXらしさは維持し実力と凄みを大幅アップ
「リヤホイールをノーマルの15から16インチにした上で、ノーマルに似たハイト感のタイヤを履きたいと。それで4輪用8J(8インチ幅)ホイールを装着(タイヤは2輪用240/55)、フロントはこれに近いデザインでノーマルに同じ18インチ径、130幅にしてます。
ターボは右側2気筒を右タービン、左側2気筒を左タービンにってそれぞれ導く仕様ですけど、少しタービンが大き過ぎたようです。下からバーッと過給を効かせたかったんですけど、現状では7000~8000rpmくらいと、パワーバンドは結構上の方になってます。オーナーはドラッグレースにも出ていて、今はちょっとお休み中ですけど、羽根(タービン内で排気ガスを捉える/新気を圧縮するタービンブレードのこと)を小さくするようにすれば、当初の狙い通りにもっと下から効かせられてタイムも上がるでしょう。エンジン本体は1400ccに上げてあって、ブースト0.8kg/cm2で後軸240ps」
このVMAX(1200)の変更点をこう説明してくれたのはVMAXとターボカスタムでおなじみ、エスパーの小宮さん。この車両でのターボ化やリヤホイール加工/装着、スイングアームなどには当然のようにワンオフも駆使されている。デフ(シャフトドライブの駆動部)もVMAX1700用を「入るように」(小宮さん)作り替えている。
ところでこの車両、ヘッドライト~テールへの外装やフロントフォークなど、よく見ればノーマルが維持されているところも多い。
「それもオーナーのコンセプトのひとつで、ノーマルイメージを崩さないようにと。だいぶ崩してしまったかもしれないですけど」。小宮さんはこう笑顔で言うが、このいじり方なら、コンセプトは守られていると言っていい。
ところで前半の特性変更は「リヤ17インチ化でタイムは1秒くらいは詰められるんです。今はタイヤが大き過ぎ。でもオーナーさんがガンコ(笑)なんで」とも小宮さん。目的を達成するための方法はある。でもそれだけで済まさず、オーナーの気持ちを尊重する。結果的に理想型が遠回りになったとしても、楽しさは高まるのだ。
Detailed Description詳細説明
バイザーやメーターケースのレイアウトからもノーマルのルックスをキープしたいというテーマが伝わる外観。左右マスターシリンダーはブレンボRCSに換装されている。
メーターはノーマルで速度計の入る中央のケースにSTACKタックタイマーを埋設、右にブースト計を追加。ルーバータイプとしたダミータンクカバーの前側にはレーステック製水温、油温計をセット。ステアリングダンパーはハイパープロ。シートも内部加工される。
70度V4のエンジンは[純正値:1199→]1400cc化、BDS35×4キャブレターはそのままにターボ化を施す。
V4の左側2気筒分、右側2気筒分の排気をまとめた上で同じ側の車体後ろに置いたタービンに送り(写真は左側)、新気を圧縮する。
圧縮された新気はここ、テールカウル裏のインタークーラーを通りつつ冷却し充填効率を高め、さらにエンジン左右下に配されたエキパイのようなパイプ内を前向きに通り、ダミータンク内のサージタンクに入る。外にパイプを置いたのは“空冷4発のイメージ”(小宮さん)という理由から。この配管途中(キャブ横)に追加インジェクターが配される。0.8kg/cm2のブースト時に240psを記録した。
フロントフォークはVMAX1200ノーマルのφ40mmをスプリングほか内部変更を行った上で使う。フロントブレーキはブレンボャリパー+サンスターディスクの組み合わせ。フロントホイールはパフォーマンスマシンの18インチで、フロントタイヤはシンコー・ツアーマスターの110/90-18だ。
リヤはワンオフのロング/スタビ付きスイングアームにクアンタムショック。リヤタイヤはブリヂストン・エクセドラの240/55R16サイズを履く。
そもそもの起点となったリヤの[純正値:15→]16インチホイールは4輪用で、シャフト駆動用のデフはVMAX1700用を加工流用している。
ステップはESPERのVMAX1200用で、エキゾーストパイプのマウントも兼ねている。なお、テールカウルはノーマルをショート加工して装着した。