“ユーザーが困らない”を車両作りから考える
いわゆるスペンサーカラーのシルバー×ブルーラインですっきり仕立てられた17インチ仕様のCB750F。安田商会による車両だ。
「当店に入庫してから各部チェックや必要な作業をした上でフロントフォークをオーリンズRWUにして、塗装も改めてやり直して……と、在庫で持っておくかなというところでお客さんが付いてくれた車両です。ノーマル方向でも良かったんですけど、このくらいのパッケージはお客さんも買いやすいだろうということで作りました。
全体的には今どきのスタイルになってますよね。前後17インチでチタンマフラー、ホイールやブレーキも今どきといった感じ。エンジンはCB900F用をオーバーホールした上で載せ替えていて、こうしたエンジン換装車で後で困らないようにしっかり公認も取っています」
安田商会・安田さんはこう車両の内容を教えてくれる。安田さん自身ももう25年以上CB750FCをいじり続けながら乗り、サーキットもストリートも走ってきた。しかも、CB-Fだけでなく、安田さんの“何とかする力”を頼って、新旧やメーカーを問わずで多くのお客さんが作業を頼んできた。その中でCB-Fは、ベースとしてはかつでのナナハンの名残を残す750、そしてシリーズ最大排気量の1100に人気があるとのこと。この車両のように750に900のエンジンを載せた車両も人気があるそうだ。ただいずれにしても車両価格が上がっていて、手持ちの車両をどう維持するか、手を入れて行くかも話題となっている。それについても安田さんは定番となる作業メニューを考えている。
「エンジンは対策法が整ってきましたから、それを活用する。バルブシートを正しくカットしてやるのは当然ですけど、効きます。燃焼圧を逃さずしっかりとピストンに伝わるように。エンジンを開けた時にやるべきですし、こうしたところからも変わります。
ほかにはキャブレターは、CB-FにはFCRが相性がいいですね。しっかりできたエンジンならより良さも引き出せる。キャブ自体も10年など、付けてから時間が経っているなら新品に付け替えることも考えたいですね」
こうしたメニューもこの車両に反映されている。細かいことからさらさらっと有用な点を引き出す安田さん。こうした基本がしっかりしているから、よく走る車両が作れるわけだ。
Detailed Description詳細説明
メーターはノーマルケースにカーボンカバーを被せていて、エンジン回転計はpivot製ステッピングモーター駆動に変更。油温や電圧等を表示するデイトナ・アクアプローバtempメーターも追加される。ステアリングステムはリアルパワーコーポレーション製で17インチに対応するもの。
クラッチはMGCメタルギヤ製のキットによって油圧駆動に変更。左右マスターシリンダーはブレンボのRCS。バーハンドル化もなされる。
外観はいわゆるスペンサーカラー、AMAスーパーバイクシリーズの1982年開幕戦・デイトナ100で優勝した車両のパターンで再塗装した。
ウインカーは超小型の車検対応品をセレクト。リヤはこのようにナンバー横に、フロントはオイルクーラーのステー左右に装着される。
エンジンはCB900F用901ccをオーバーホールした上で搭載、公認も取得。クランクケースカバーはMGCメタルギヤ製でクラッチレリーズも収める。ラウンドオイルクーラーはアクティブ製。フレームはピボット上ほか定番部を補強し、エンジンスライダーも追加してある。
キャブレターはCB-Fに相性がいい(安田さん)というFCRでサイズはφ37mmをチョイス。マフラーはストライカー・チタンフルエキゾーストだ。
フロントフォークはオーリンズRWUをサンクチュアリー・E×Mパッケージによってセット。フロントブレーキはブレンボ・アキシャルマウントの4ピストンキャストキャリパーにサンスターディスクの組み合わせ。タイヤはピレリ・ディアブロロッソⅡを履いている。
XJR1200現役当時のヤマハ的な雰囲気のスイングアームはプロト製アルミ(現在廃番品)で、オーリンズショックを組み合わせている。