環境変化を汲みつつ車両&パーツ製作に力を入れる
ブルドックによるカワサキ・ゼファー1100。同店フルオーダー・コンプリートカスタムのGT-M(Genuine Tuning Machine)として作られた1台で、今回はメンテナンス等で入庫してきたタイミングで撮影を行った。サイドカバーには“ZR1260”の文字が書かれる(ZRはゼファーの型式だ)。
「エンジンは今回φ80mm鍛造ピストンを組んで1260cc化しています。カムはヨシムラST-2です」とブルドック・和久井さん。
ところでGT-Mと言えば空冷Z系のイメージが強いが、ゼファーについても多くの作例がある。
「今も1100、750とも複数の依頼があって、それぞれ作業を進めています」と和久井さんは教えてくれるが、これにも理由があった。
「ゼファーが好きで、しっかり費用もかけてコンプリート化して大事にしていきたいと考える方が増えたんでしょう。ゼファー1100は少し前だとまだまだ新しいモデルという印象もありましたが、初期型は’92年ですからもう30年。単なる生産終了車から、旧車の域に入ってしまったんですね。
純正パーツにしても廃番化するものが増えています。ミッションも今までは前期型の弱点の2速を換えるのに後期型用を使う…としてきたようなものが、もう出ません。
スターターモーターもそうです。減るのはモーター内のブラシでも、交換はASSYで、となる。そんな、消耗品ではないけれどオーバーホールの際にないと困ってしまうようなものが増えています。中古良品を探すという手もありますけれど、今後は難しい。
これは空冷Zがそうなっていったのと同じような状態なんです。ですからそこを見据えて、パーツを供給したい。おかげさまで売れているオリジナル6速クロスミッションも、その考えで作ったんです。これがあれば先ほどの弱点も解消できるし、私たちが作る限り、供給の不安もありません。そんな考えでパーツが作れるといいですね」
和久井さんの言葉は心強い。車両製作にもノウハウは十分。必要なパーツも揃えば、車両は長く楽しめる。今後の動きも追いかけていこう。
Detailed Description詳細説明
ブラックアウトされたコクピット、フロントブレーキおよびクラッチのマスターシリンダーはブレンボ・ラジアルポンプでスロットルはアクティブ。メーター部にはヨシムラ・プログレスメーターを追加する。外装は空冷Zのタイガーパターンをアレンジしてフルペイント。
シートは乗り心地もフィット感も高質で疲れにくいマッコイ・スプリームだ。ステップもマッコイのゼファー1100用でポジションを決める。
各部カバーを結晶塗装仕上げとしたエンジンはJBパワーφ80mm鍛造ピストンで1260cc仕様とし、ヨシムラST-2カムを組む。排気系はウインマッコイ・フルチタンエキゾーストで、オイルパンはフラットタイプに換えてこのマフラーとともにバンク角も確保している。
フロントフォークはオーリンズφ43mmで、フロントブレーキはブレンボ4ピストンキャリパー+サンスターディスクの組み合わせだ。
スイングアームは7N01目の字断面アルミ・ハンドメイドのマッコイで、リヤショックはオーリンズ。ホイールはアルミ鍛造で、ゼファー1100にも良く合うデザインのラヴォランテ・レジェンダ('21年秋のスフィダーレ登場により改称)。3.50-17/6.00-17サイズをセットする。
リヤブレーキキャリパーはブレンボCNC2ピストン。前後タイヤはブリヂストンS22でサイズは[純正値:120/70-18・160/70-17→]120/70ZR17・190/55ZR17とする。