コンプリートの乗り味そのままに体格や経験値を考慮
スズキKATANAをベースに、テクニカルガレージRUNが各部上質化を図った、バージョンアップコンプリートカスタムとして仕立てる“シン・ハガネ”。この車両はその3号機だ(1号機はTG-RUNのデモ車[杉本さん用]。2号機、3号機はオーダー製作車だ)。
一見、1号機とほぼ同じに見えるが、細かく見ていくとオーダーコンプリートとして違いも作り込まれているのが分かる。
「この車両は、当店と長いお付き合いのある方が基本プランを描いた上で“シン・ハガネ”を、と依頼されたものです。オーナーさんは油冷GSX-R750やBandit1200など多くの車両を購入・コンプリート化された方ですし、どのようなプロセスで当店がマシン製作をするのかを熟知しておられます」と杉本さん。
「そのプランの中には“航続距離を伸ばしたい。ただ、セパレートハンドル化はしたくない”という内容も含まれていました。そこでウエストパワー製アルミタンクを使っています。
その上で、各部をオーナーさんに合わせて細かくセットアップしています。小柄な方であることもこちらでは周知していますから、シートを初めとしたポジション設定を行いました。リヤサスもリンクで調整するのではなく、ショックユニットをオーリンズ扱い元のラボ・カロッツェリアへショート仕様を特注、これらで止まっている時の足着きも不安がないようにしています。もちろん走りの性能もスポイルしていません」
跨がらせてもらうと、高さ感のあったノーマルKATANAに比べて安心感が高まっていた。各部軽量化によってマスが集中したのも効果大と思える。
走りに関してもシン・ハガネの軽快感と高質感はそのまま。それでいて要望通りに航続距離もぐっと伸び、普段使いもしたくなる。これこそオーダーメイド、という内容をしっかり具体化していたのだ。
Detailed Description詳細説明
全身は1号機同様にハガネカラー(TG-RUNの空冷カタナ、GSX1100Sコンプリート“ハガネ”で施されたものを、シン・ハガネでも適用)をアラタカデザインでペイント。ブレンボ・フロントマスター/オオノスピード・クラッチホルダー、マジカルレーシングNK-1ミラーなども装備する。
純正ハンドルバー(この車両もそう)のままで適切にマウント/グリップ位置が変化する、TG-RUNステアリングステムKITを装着。
この3号機ではオーナーの描いたプランに応じてウエストパワー製の17.5L容量アルミタンク(ノーマルは12L+タンクカバー)を装着した。
シートはTG-RUNスポーツ&コンフォートシートでオーナーに合わせて製作。フェンダーレスキットはアクティブ製をチョイスしている。
ステップはTG-RUNライディングステップキットをセット。シンプルで足下まわりの車体/ステップへのフィッティング性も良好の一品だ。
999ccの水冷直4エンジン/アルミフレームはKATANAノーマルで、エッチングファクトリー製ラジエーターコアガードやケイファクトリー製エンジンスライダーを追加。排気系はフルチタンでJMCA認定のケイファクトリー製CLR-RG+フルエキ ヘキサゴンサイレンサー。
フロントフォークはオーリンズ倒立で、フロントブレーキはブレンボ・レーシング2PCビレットキャリパー+サンスターワークスエキスパンドディスク。フロントフェンダーはマジカルレーシング製カーボンで、こうした構成は基本的に1号機を継承しつつアレンジしたという。
リヤブレーキもブレンボ・レーシング2PCビレットキャリパー+サンスターワークスエキスパンドディスク。前後ホイールはマルケジーニ・アルミ鍛造のM7RSで、純正に同じ3.50-17/6.00-17サイズ。総じて軽く、強く、芯があって上質な動きを作れるように配慮されている。
リヤショックはオーリンズ・フルアジャスタブルで、オーナーの使い方や体格に応じてセットアップ済み。リヤインナーフェンダーおよびチェーンカバーはマジカルレーシング製カーボンパーツで、ドライブチェーンはRKの520サイズ、タイヤはブリヂストンRS11を履く。