常にベストを目指す中で加わる各パーツへの塗装
「この紺色の車両は、もう20年以上、私たちとお付き合いしてくださっている方がオーナー。元々はキャブレター交換で来店されたのですが、そこからカスタムの魅力に惹かれたんです。それで今回は、しゃぼん玉としてのゼファー1100カスタム・最強形態と言っていい内容に進化しました」
しゃぼん玉本店のマネージャー、滝川さんはこう切り出した。
「最新形態と言っても良かったのですが、新しいものは常に採り入れていますから、あえて最強としました。今回行ったのはエンジンのフルオーバーホール。1107cc仕様を維持しつつで外観塗装を加え、フレームも改めてパウダーコート。フロントフォークをしゃぼん玉オリジナル仕様のハイパープロに、ホイールもO・Zレーシングにと、ブレーキ系も含めて足まわりはほぼ変わりました。スイングアームはウイリーですが、この足まわり全面変更に合わせて2本目に換えました。マフラーも当店オリジナルウエルドクラフトの1本目が付いています。余談ですけどベースはゼファー1100RS。でももうここまでくると、1100でも1100RSでも同じですね(笑)」
以前の仕様=基本になる17インチホイールでのディメンションや8カ所のフレーム補強、定番の1258ccでなく1107ccで回す仕様を選んだエンジンなど、いいと思う部分は継続しつつ、アップデートが図られている。その上で、各部がブラック化されているのも新しい。
「これも今回のキーワードなんです。細かいものを含めて数百点と多くのパーツを換えましたが、そんな数あるパーツを塗装(色つけ)する。エンジンとフレームはパウダーコート、ステップやフレームサイドプレートはRXコート。カラーやステー類もアルマイトなど、徹底的に黒くする。その上で、全体のバランスを取りました」
単に黒くして視覚的に重くなったり、同じ黒でもトーンがバラバラになったりすることがあるが、それを避けるためのバランスだ。この“塗装”にも、ゼファーに対しての意味が込められていた。
「少し前から当店でお勧めしているリフレッシュメニューにつながっているんです。’80~’90年代車両のフレームを塗装する。今やっておけば、今後もきれいな状態を外観でも維持できますし、内部サビや汚れの抑止にもつながって長く楽しめます。エンジンや他パーツも同じですよね。
それでフレームは、今はパウダーコートを勧めています。純正に近い見た目が得られて、いろんな車両やスタイルへのなじみも良い。カーボン加工やダイヤモンドコート、これらも十分にいいのですが、それもやってきた上で、先の理由からお勧めしています」
冒頭にも記したようなショップとオーナーとの長い付き合いの中で、この車両はフロントの18→17インチホイール化で起こるネガの解消、しゃぼん玉オリジナルのゼファーパーツの開発など、要所要所でショップと深く関わり、ベストを目指してきた。今回の仕様もそのベストを新たに形にしたと取っていい。
Detailed Description詳細説明
ヘッドライトレンズはレイブリックで内部はLEDヘッドランプとした。左右マスターシリンダーは今回ゲイルスピード・エラボレートに変更されている。
ステムはしゃぼん玉オリジナルでフロント17インチホイール対応品。ここも今回シルバーからブラックへ変更。速度計/エンジン回転計ともスタックメーターが収まるメーターケースもめっきからブラックに。この純正ケースへのスタック埋設加工はしゃぼん玉でオーダー可能だ。
キャブレターはTMR-MJNφ38mmのデュアルスタックファンネル仕様を継続。フレームは早い段階で8カ所補強されている(同店定番のベース)が、今回パウダーコートでブラック化。ウイリー製フレームサイドカバーやステップキットもRXコート・ブラックに変わる。
エンジンはワイセコφ75mm鍛造ピストンによる[純正値:1062→]1107cc仕様で、カムはヨシムラST-2。ポート研磨やクランクバランス、ミッションの抜け対策なども合わせて15年ほど前に行い、今回改めてフルオーバーオール。外観もシルバーからブラックに変えてリフレッシュした。オイルクーラーはラウンドコアによるオリジナルで、今回キャッチタンクステーとともにシルバーからブラック仕上げに変更。
シート下にはウオタニSP2点火ユニットやETC2.0車載器も収められる。割れやすいサイドカバーやテールカウルはしゃぼん玉オリジナルのカーボン製で燃料タンクはビーター製アルミ。塗装はYFデザインによる。フレームのパウダーコート仕上げもに純正的見映えも特徴だ。
前後ホイールはそれまでのダイマグからO・Zレーシングのマグネシウム鍛造6本スポーク、カッティーバ(3.50-17/6.00-17サイズ)に変更した。フロントフォークはハイパープロ。フロントブレーキはブレンボ4ピストンキャリパー+サンスター×しゃぼん玉コラボディスクの組み合わせ。
リヤブレーキもブレンボ2ピストンキャリパー(キャリパーサポートはウイリー製ビレット)+サンスターディスク。マフラーは滝川さんの考える理想的なゼファー1100用マフラーを形にしたという、しゃぼん玉オリジナル・ウエルドクラフトの1本目を装着する。
耐久スタンドフックの付いたスイングアームはウイリー製7N01アルミ5角目の字断面・ハンドメイドで、この車両用として作られた2本目に換装。ここはあえてブラック化せず他と対比させている。ステップキットもウイリー・ビレット。リヤショックはオーリンズだ。