油冷コンプリート車のアップグレードバージョン
空冷カタナと油冷モデル各車を得意とする、カスタムファクトリー刀鍛冶。TOTハーキュリーズを走る油冷エンジン・カタナは上位常連となるなどノウハウも豊富だ。そのノウハウを改めてコンプリートカスタム車に反映して供給すると、同店代表の石井さんは言う。
「スズキGS1200SSをベースとして、刀鍛冶オリジナルの“GS1000Rタイプ外装キット”を組み付けたものになります。車両込みで250万円~[税込み]になります。エンジンオーバーホールやキャブレター変更を行う場合は350万円~[税込み]の設定です。ベース車両の価格が上がると変わってしまうかもしれませんが」
それを踏まえた上でこの車両を見ていこう。紹介するのは、同店の在庫車両をお客さんが購入した上で外装から足まわりまでフルカスタム化した例。つまり、刀鍛冶GS1200SSコンプリートをさらにアレンジした見本車両と考えていい。アレンジの内容は、フレーム補強や前後ブレーキ/サスペンション変更。スイングアームはワンオフしてシートもフォーム入りタイプにするなど、各部のアップグレードや変更等。ただ、コンプリート車としての形や全体感は十分に掴めるはずだ。さらに言うなら、刀鍛冶コンプリートをベースにして、こうした仕立てにもできるということだ。
油冷エンジンを楽しもうという層には、2001年初出と比較的新しく(それでも生産20年近くが経つのだが)、元々販売価格も、中古車両も手頃だったGS1200SS。だが、ここ数年でベース車価格は上がり、さらにスズキ純正パーツの廃番や価格上昇も増えてきた。だから、まだ全体の状態が悪化しないうちに、程度のいい車両をこうした形で手に入れておく。そう考えるなら、この刀鍛冶GS1200SSコンプリート車を買うという選択は、魅力大に思える。
もちろん同店では、この車両に施してあるような車体作りメニューやセットアップ、エンジンオーバーホール等の作業にも対応する。そんなバックグラウンドも合わせれば、刀鍛冶は、油冷モデルをこれからも楽しむために頼もしい存在だと言える。
Detailed Description詳細説明
フロントカウルを初めとした外装類は刀鍛冶オリジナルのGS1000R外装キット(塗装は別途)で、ハンドルはベビーフェイス製。この車両では中空ワンオフトップブリッジとGSX-R1000K5アンダーブラケットとで、R1000K5用を60mm延長加工したフォークをクランプしている。
燃料タンクはコンプリート標準仕様でもGS1000R外装キット付属のアルミ製インナータイプが付く。この車両ではワンオフ大容量仕様に変更される。
シートカウルもGS1000R外装キットで、GS1000Rの赤×黒をアレンジして黒部分をカーボンパターンとした。またシートカウルには上面を開閉可能リッドとして内部に小物入れ用ボックスを追加、シートもパッドを内装した表皮付きとするワンオフ変更も加えてある。
フレームはシートレールとメインループ、またサブフレームとの間に補強が入れられ、リヤショックのレイダウン加工も行われる。
エンジンはコンプリートの標準仕様と同じくGS1200SSのノーマル。この車両では吸排気系をFCRφ37mmパワーフィルター仕様+刀鍛冶オリジナルマフラーに変更している。コンプリート車ではエンジンオーバーホールほかにも対応している。詳細は同店に問い合わせを。
エンジン左サイドには刀鍛冶ワンオフのオイルキャッチタンクも追加され、GS1000Rの持つ耐久レーサー的な雰囲気と機能を満たす。
フロントフォークはGSX-R1000K5用で正立→倒立化。フロントキャリパーもブレンボ・ラジアルに変更、フロントフェンダーもカーボンに変更している。コンプリート車での標準仕様の足まわり/フレームはGS1200SSのノーマルだが、こうしたオプション追加も可能なのだ。
前後のホイールはGSX-R1000K1用で3.50-17/[純正値:5.50-17→]6.00-17サイズ、リヤショックはナイトロン特注のリザーバーなしタイプをレイダウン装着している。ミニマルデザインのステップ、GS1000Rに寄せてスタビライザーを加えたアルミスイングアームも、刀鍛冶のワンオフ品となる。