手軽さを軸にさらに身近さと操作性を高める
ドゥカティのファンモデル、スクランブラー(空冷Lツイン・803cc)のカスタム。手がけたのがスポーツバイクのカスタムで知られるブライトロジックの竹中さんと聞けば、なぜその組み合わせ? と思う人もいるだろう。じつはこれ、竹中さんが月一ペースで行くツーリングなど、ライトに使うために仕立てた車両だ。
「そうした使い道に合う車両を探していたんです。排気量はそこそこでフレキシブル、車重がざっと190㎏くらいで、いつでもパッと乗れてちょっと止まれて、渋滞も苦にならない。そこに合ったのがこれでした」と竹中さん。
そう言えば竹中さんはこれまでもゼファー750やGSR750、GS750などを同様の目的での良質・快速カスタムのベースに選んできた経緯もあった。今回はさらに気軽さを取っていった格好だ。
「さっきの条件通りなんですよ。細身で足着きがいいですから、安心感は高い。行き先の駐車場に砂利が浮いていたり、突然未舗装路が出てきたりしても心配が少ないですし。前18/後17インチのホイールサイズも軽快さがあって、使いやすいんですよ」
入手後に手を入れたのはリヤキャリヤ追加やシート、ハンドル(ノーマルでは広過ぎるので使いやすい長さにセッティング)といったところ。これも冒頭の取り付きやすさという目的により合わせるため。ただ、竹中さんが他のバイクでも最重要と言うほどに重視するハンドルは、ノーマルでは高さは良かったものの広過ぎたため、いくつかを吟味した上で加工流用で今の仕様とした。実際に走らせると、この選択が絶品だと分かるはずだ。
「パッと乗りたいから、手を入れるのは必要最小限でやってます。コテコテになんかしなくていいんです。いいところはそのまま行けばいい」。無理にパーツを追加しなくても、目的がしっかりしてそれに合わせ込めば楽しめるバイクはできる。もちろん速く、軽く、格好良くなどの要素が入ればそれも勘案してくれるのは当然。
“スクランブラーTTSR(タケナカ・ツーリング・すごく・楽ちん)”と名付けられたこの仕様、仲間内でも好評で、ツーリング用にと同仕様があっと言う間に増殖した。手軽に走るにもツボがある。そこはどんなバイクにも共通した要素ということだ。
Detailed Description詳細説明
ベースとなったのはドゥカティが2016年から展開する空冷803ccL2のスクランブラー(今は1100もあり)のうち、icon(アイコン)。アップフェンダーと、高速走行時に便利なスクリーンは登場当時にラインナップされたスクランブラー・アーバンエンデューロのもの。
最重視ポイントのハンドルバーは、ノーマルの高さはOKだったが幅が広過ぎたためにカット加工等で乗りやすく、使い勝手良くした。
シートも加工して高さとポジションを調整済み。ツーリング時にバッグが載せられるようにリヤキャリヤも加え、フェンダーレス化も行う。
車体やエンジンはノーマルでFIまわりもノーマル。1100cc版と比べても803cc版の方が気軽さが上だということで、こちらがベースに選ばれている。空冷L2は車体幅が単気筒並みしかないという点でも車両捌きが良く、それも気軽さにつながっている。
2-1の排気系もスクランブラーノーマル。サイレンサーシェルのみシルバーからブラック化して、ブライトロジックエンブレムを追加した。
倒立フロントフォークを初めとした足まわり、ブレンボ・ラジアルキャリパーによるシングルディスク仕様のブレーキ系もノーマルそのままだ。
鋳造スイングアームにダイレクトリンクのリヤサスとショックもノーマル。ドライブチェーンはRKでノーマルに同じ520サイズを装着する。
3.00-18/5.50-17サイズのホイールもノーマル。現状で実測190kg(それでも軽く、取り回ししやすい)の車両重量はマグネシウムホイールやチタンエキゾーストへの変更で170㎏くらいにもできるが、それなしの現状でも楽しめるとのこと。要は使い方ということだ。