しっかり作り込まれた内容に好みのスタイルを
テクニカルガレージRUNが手がけるカスタム、バージョンアップコンプリート。現行スポーツモデルの新車を元にする場合は、足まわりやブレーキ系、排気系を見直してハイグレード化する。いわゆる人気旧車をベースにする場合は、今所有して走らせて満足できるよう、フルに手を入れる。ベース車こそ違っても、狙うポイントは変わらない。
このきGPZ900Rは後者の例で、’12年春に公開された映画“キリン”の主要劇中車のレプリカだ。アンダーカウルこそ追加されているが、それ以外は劇中車ほぼそのまま。TG-RUNの代表・杉本さんは、この映画でバイクパートのプロデュースを務めたから、それは当然か。
ここで注目しておきたいのは、見本になった車両が「しっかり走って楽しめる」ことに重きを置いて作られたこと。劇中車とは言え、実走がストーリーの中心になる映画。そこで、普通のライダーが乗ってもきちんと走ること。もちろん、いつでも実走撮影できるように、ノントラブルである=完調ですぐ走れるし、壊れないこと。加えて、原作執筆当時から撮影までの約20年の隔たりがあった分を加味して、後のカスタムや交通事情に沿った進化も取り入れている。前後17インチホイール化などはその一環で、結果として劇中車は撮影の間の2000kmをノントラブルで走りきった。
この車両はその仕様と、製作過程をまんま受け継いだと言っていい作りを持つ。ニンジャに関しては杉本さんも自らの愛車として25年(2020年時点)乗り続けていて、その間に進化させ続けてきたノウハウもある。その中から積み上げたノウハウ=不安要素の徹底した取り除きや、実績のあるパーツ/作業の吟味と適用はここにも生きている。
形だけではない、性能をきっちり出してこそのカスタムという部分も作り込む。オーナーにとってはそんなエピソードもレプリカとして手に入るから、楽しみも倍加するはずだ。
Detailed Description詳細説明
モチーフは映画“キリン”中の“チョースケ”が駆るニンジャ。撮影当時も彼が実在すると仮定した上で、その時点ならばこう作るだろうとして劇中車両は製作されていた。この車両はそのレプリカとして製作依頼されたもの。カーボンのアッパーカウル&カウルインナー、メーターカバーはマジカルレーシング製を装着。ハンドルはバータイプに換わっている。左右マスターはブレンボ・ラジアル。
フューエルタンクはTG-RUN&ビーターによるオリジナルの耐久タイプアルミ。軽く、評価の高いパーツといい、ここも劇中車に同じ部分だ。
エンジンはワイセコ製[純正サイズ:72.5→]φ75.5mmピストンでの[同:908→]972cc仕様で、ポート加工やヨシムラST-1カム等の組み込みも行われる。ラジエーターも大型化し、アクティブサブフレームも加えられた。カーボン製アンダーカウルはオーダーで追加されたものだ。
キャブレターはFCRφ39mmブラックボディのMJN仕様で、マフラーはフルチタンを組み合わせている。ヘッドオイルバイパスもセットされる。
フロントフォークはオーリンズφ43mm正立タイプ。フォークブレースとカーボンフェンダーのキットは、ケイファクトリー製をマウントする。
スイングアームもケイファクトリー製アルミで、リヤショックはオーリンズのNinja17インチレース用改。ドライブチェーンはRKの530サイズをチョイス。
前後ホイールはマルケジーニM10Sで3.50-17/5.50-17サイズ。リヤブレーキはブレンボ・ビレットキャリパー+サンスタースリットディスクを組み合わせる。