大事にされた車両を元に価値も楽しみも深める
初代の登場は1999年。GSX-R1100シリーズの流れを継承しつつ、誰もが究極の性能をどこででも味わえるように。そうして作られたのが、GSX1300R HAYABUSAだった。以来20年余、2世代にわたりつつも変わらぬ魅力を放ってきたこのシリーズにも、さまざまなカスタムの手法が出てきた。その中でテクニカルガレージRUNのバージョンアップコンプリートは、ハヤブサの良さを伸ばすことに長けたカスタムと言っていい。この車両=K7はその好例だ。
「この車両は新車で購入されてワンオーナー。前期型ベースですから、もう12年以上経ってます。でもオーナーさんは後期型や新型GSX-Rでなく、この車両が好きで、大事にして、乗り続けているんです。エンジンオイルやタイヤの交換を初めとした定期整備は欠かさないし、パワー落ちも出てない。走行距離も撮影時点で3万km超えていますが、乗ってなくてこの距離なのではなく、必要な距離を乗ってこの距離になっているんです。変な言い方ですが、こうした車両がいい中古という見本と言えるかもしれません。ワンオーナーで履歴もしっかりしているし、きれい。こうした車両はカスタムしていく場合でもその効果がきちんと出るんです」と、テクニカルガレージRUN・杉本さん。
カラーや仕様など、気に入った型式があって、それが中古でしか入手できない場合、何に気を付けるか。クランクケースの割れやフレームのダメージなど、手直しができないような大物にダメージがないこと。そして実車を見て“乗りたい”と思えること。その上で、履歴がしっかり分かることだとも続けてくれる。
「買う段階の話ですが、納車整備の内容をよく確認しましょう。エンジンオイルや点火プラグ、エアクリーナーの交換。買った後でサスの抜けやホイール、ディスクの曲がり、ひどいとスタッドボルト折れも見たことがあるほどですが、売る側も気がつかないでいたダメージの可能性もあります。そんな時に“あとは知らない”はダメだし、ノークレーム・ノーリターンは何かがあるから避ける。責任を持って販売しているお店がいいですね」
いずれの機種でも、大事にされた車両は良い中古車の見本になる。ただの中古ではない、大事に乗って良い中古となった車両を改めて軽量化や上質化などカスタムして、良さを堪能する。このハヤブサはその好例のひとつだ。
「何年かごとに新型を買い換えていくならまだしも、気に入った1台を選んで長く乗るという方法はこれからも増えるでしょう。その時にはやっぱり調子を良く保ちたいし、それがいい維持や乗り方につながると思いますよ」(同)
いつの間にか年月を経るバイク。ただ、劣化を抑えることは出来る。その実践で“良い中古”を体験=自ら作ることになれば、買う時の参考になるし、年月を経ても、素性を生かしつつ長く楽しむことが出来るのだ。
Detailed Description詳細説明
グラブバーを外してシングルシートカバーを装着。K7純正ブルー単色も美しい。フレームもK7では全車純正採用のブラック仕上げとした。
1298ccのエンジン/FIまわりはノーマル。本文にあるようなエンジンオイル交換等の定期整備をきちんと行い、良好な状態を維持する。
前後ホイールはアルミ鍛造のマルケジーニM10Sで、サイズはノーマルに同じ3.50-17/6.00-17インチ。フロントブレーキキャリパーはブレンボCNCでカラーはケイファクトリー、ディスクはサンスター。ブレーキラインもステンレスメッシュ化されている。ちなみに、元々の純正フロントキャリパーはアキシャル(横置き)だが、後期型ハヤブサ用オーリンズ・フロントフォークを使ってラジアルマウント化しているのだ。
ステップはビレット(アルミ削り出し)によるTG-RUNライディングステップキットのブラックを装着し、フレーム色に合わせている。
スイングアームはノーマルでリヤショックはオーリンズ。フレームもノーマルで、キズもほとんどなくきれいな状態で保たれているのも分かるだろう。
排気系はケイファクトリー・フルチタンの4-2-1-2で、車両全体を軽量化しルックスも引き締める。リヤキャリパーはノーマルでディスクはサンスター。各部ボルトはβチタニウム製64チタンに置き換えられ、こうした部分でも高質化や軽量化を行っているのだ。