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ACサンクチュアリー Z1-R(カワサキ Z1-R)

最新パーツ群で機能とともにスマートさも得た角型カフェ

ACサンクチュアリー Z1-R
(カワサキ Z1-R)

取材協力:ACサンクチュアリー(SANCTUARY本店) TEL04-7199-9712 〒277-0902千葉県柏市大井554-1
URL:https://www.ac-sanctuary.co.jp
2025年 12月 31日

進むZのネガつぶしと変わりゆく進化の定義

車体もエンジンもレストアするとともに最新17インチタイヤをはじめ現代のパーツが使えるような加工を行い、現代的な性能を持たせて安心して長く乗れる内容も加えるというACサンクチュアリーのコンプリートカスタム、RCM(Radical Construction Manufacture)。その近作、つまりほぼ最新のRCMとしての多くの要素を備えている1台がこのZ1-R、RCM-696だ。高い質と機能を定量化するRCM-Zの中にあって、個性をより追求しようとした1台でもあるという。

エンジンは同店の内燃機加工部門DiNx(ディンクス)で各部を加工し、サンクチュアリーで精密組み立てという今のRCMエンジンで定番となった手法で組まれる。内容はDiNx鍛造ピストンで1166cc化するとDiNxビッグバルブにDiNx製ビッグバルブ専用リテーナー、サンクチュアリーメカニックブランド(SMB)・Z系6速EVOシステム等を組むエンジン。クランクのリビルドもDiNxでもちろん行われる。

車体はRCMのベースとなる17インチ最適化に加えてシートレールをワンオフし、復刻されたRCMコンセプトTOMO-FRPシート(シングルシート)を組む。フロント側は自在継手構造のSMB・Z1-Rフレームマウントブラケットを使うことでカウルの前後左右に上下、振り角まで細かく微調整していけて、組み上がった後でも微調整が可能だ。またカウル位置はそのままにヘッドライトの前後位置も調整できる構造になっている。

車体見直しにエンジンの精密加工、それをアシストする多くの自社製最新パーツ群という大きな柱があり、これらによってZを現代化しながら、Z本来の持ち味は崩さない。RCMの場合、700台に届いたほど(うち、Z系は9割を占める)の多くの車両を作りながらそれらが高いレベルで質を保てる定量化も図られる。

ここで今注目したいのは、サンクチュアリーの母体となるノーブレストが扱うパーツだ。この車両にも組まれているように、ナイトロレーシングや車体系のスカルプチャー、前述のSMB(サンクチュアリーメカニックブランド)等。これらはこれまで、Zの弱点対策(ネガ潰し)や機能向上を行ってきたが、そこにとどまらず、耐久性の向上や精度の向上によって静粛性や安定性もともなうようになってきた。そのパーツの最新を知れば、Zをどう作るか、Zはどう維持できるかも見えることになる。

「パーツ群は、かつてならすごさとか突出した性能を目指す時期もありましたが、今はとにかく機能の向上なんです。RCMを作るときに、もっとこうなったらいいなと思うところ。ヘッドライトの前後が出来たり装着後にも角度の微調整ができるZ1-Rのカウルステーは分かりやすいと思います。

アイデアが浮かべば図面ありきですぐ2Dででも3Dででも起こして、試作します。以前は手作りでしたが、今はCADから3Dプリンタにデータを送ってすぐ作れます。それで形になれば現車に合わせて干渉がないかとか細かい形が検証できる。

そこから補正や追加案が入って材料を選んで製品化に進みます。車体やエンジンで負荷がかかるようなもの、だいたいはそうですけど、そうしたパーツには実走テストが欠かせません。サーキットで、ただ走るのでなく限界的な負荷のかかるレベルが必要です。そこをクリアして製品にできるんです」

一部プロ向けを除けばボルトオンで作られていくパーツ群。かつてのカスタムブームの頃はいかに目立つかも要素に含めていたカスタムとパーツ群は、今ではいくらかの遊び心、余裕の部分を残しながらも機能をきっちりと盛り込んだものへと変わってきた。機能としては隙がないけれど、造形や色味にはその遊び心は残る。このZ1-R、RCM-696のナンバーホルダーやテールカウルはそんなひとつかもしれないとも中村さんは言う。もうひとつ、パーツ群は作っても作っても新しいアイデアは尽きないとも。これからのRCMにもそれが反映され、新しい車両が作られる。この車両はそんな見本的な1台でもある。

【 ザ・グッドルッキンバイク記事一覧はこちら!! 】

 

Detailed Description詳細説明

スカルプチャー・Z1-Rφ43フォーク用SPステムKITでフォークオフセットは純正60mmから35mmとし、前後17インチに合わせる。メーターはワンオフパネルにSTACKメーター3連装の構成を採る。

ハンドルはデイトナ・セパレートでミラーはマジカルレーシング・NK-1ミラー・タイプ3ヘッド。左右マスターはブレンボ・レーシングにZETA・RCMコンセプトフライトレバーをセットしている。カウル奥に見えるのがサンクチュアリーメカニックブランド・Z1-R用フレームマウントブラケットKITの一部。カウルをフレームマウント化でき、装着後もカウル高さや前後位置、左右・上下向き、そしてヘッドライトのみ前後調整することもできる。

フェンダーレスキットはノーブレスト製をベースにシングルシートカウル用にワンオフした。

SANCTUARY×TOMO FRP・RCMコンセプトシングルシート Z1-Rは復刻とともにサンクチュアリー・Zレーサー3号機同様にサイズ等をアレンジ。着座位置後端が40mmほど広がりライダー自由度を高め、着座部の幅を10mmほど広げてシートレールとのクリアランスも確保した。シートはワンオフ。

純正φ70×66mmの1015ccからDiNxφ75mmピストンによって1166ccの排気量を得たエンジンはDiNxφ5.5mmステムビッグバルブキットやヨシムラST-2カムの装備にインナーシム化などを行う。クランクケースはポンプロス低減加工しクランクは芯出し、オイルポンプはSMB・Zトロコイドオイルポンプを組む。ミッションはSMB・New6速ミッション+EVOシステムと、今のRCM・Zで標準的な内容を持つ。

キャブレターはTMR-MJNφ38mmのヨシムラ・デュアルスタックファンネル仕様だ。

油圧化されたクラッチレリーズとバックステップはナイトロレーシング。ドライブチェーンはEK530RCMのBK:GPを使う。

フロントフォークはオーリンズRWUでフロントブレーキはブレンボ484cafe racerキャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスクRCMコンセプト。

排気系はナイトロレーシング4in1“ウェルド”クラフトチタン3D EXでリヤブレーキはブレンボGP2-CRキャリパー+サンスターディスクとしている

リヤサスはスカルプチャー・R.C.M専用ワイドスイングアーム+オーリンズKA446ショックで、ホイールはアルミ鍛造のO・ZレーシングGASS RS-A、3.50-17/5.50-17サイズを履く。

WRITER

Heritage&legends編集部

バイクライフを豊かにし、愛車との時間を楽しむため、バイクカスタム&メンテナンスのアイディアや情報を掲載する月刊誌・Heritage&legendsの編集部。編集部員はバイクのカスタムやメンテナンスに長年携わり知識豊富なメンバーが揃う。

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