長く乗れて仕様変更も自在に行える背景と実績が生む
1100をベースにしたフルカスタムゼファー。火の玉カラーもきれいな仕上がりで、最近作られたコンプリートカスタムとも思えそうな車両だ。だが、元が’95年型(ゼファー1100は’92年からのモデルだ)というその素性を聞いてみると、ちょっとした驚きも感じられる。車両に手を入れたバグースモーターサイクルの土屋さんに教えてもらおう。
「この車両とオーナーさんとはもう20年くらいかな、そのくらいお付き合いがあります。当初から私が作業を担当してきました。以前にも雑誌にいくつか載ったこともあって、グリーンベースのマジョーラペイント(タンクにはKZ1000ラインも入っていた)だったり、トラススイングアームにダイマグ3本スポークホイールを履いていたりしていた時もありました。
エンジンも早い段階でヨシムラの2mmオーバーサイズピストンを組んで純正1062から1121ccにして、ST-2カムを組んでクランクも軽量化やバランス取りしたりしてあります。今もその仕様を継続しています。
それで最近ホイールをマルケジーニ鍛造に履き替えてこうなったという感じですね。元に履いていたダイマグもほしいという人に譲りました。まあ印象は当初のグリーン時代からはかなり違ってます」
最近作った車両でなく、長い履歴を持ったもの。土屋さんの話に出てきたマジョーラペイント当時には目立つことも意識していて、ブレーキもAPレーシングキャリパー+(KZ1000)S1タイプディスクでかつてのAMAスーパーバイクのKZ1000S1イメージがあったりと、確かに同じ車両がこうなったと思えないくらい、別ものと言える感じだ。
見方を変えれば元々のきちんとした作り込みがあったから、そしていいショップ/担当者(ここでは土屋さん)のバックアップがあったからこそ、大きな仕様変更もスムーズに行われたということになる。さらにバグースオリジナルのアルカンターラシートや同じくオイルクーラーキット/コアガード、超小型LEDウインカーほか新しいパーツの取り込みもある。
この車両は取り回しした際にも軽さが感じられた。これは良好なカスタム車でのひとつの基準と言えるのだが、このゼファー1100はホイールやマフラーのほかは大きな軽量パーツは使われていない。いいところウインカーの変更やフレームのサイドプレート外し、ひょっとしたら軽量化されたクランクも影響しているか? と考えたほどで、言うならリッターオーバーでなく750ccクラスのそれ。こういう軽さなら乗ってみたいとも思えるし、それは長く乗れる理由とも思える。
バグースではコンプリートカスタム車両も製作・販売する。そこにこうした長く乗ってきた、または仕様を変えて長く乗るを地で行くようなカスタム車の実例があれば、コンプリート、もちろんカスタム車にもその良さが投影できるわけだ。
今ゼファー1100を所有していて今後どう手を入れるか考えているという人にも、こうした車両は色使いや使用パーツなど多くの面で参考になるだろう。
Detailed Description詳細説明
ウインカーは超小型LEDのケラーマン・バレットアトーでフロント側はヘッドライトステー下にブラケットを追加して純正よりも少し下に装着される。
今装着されるステムはオフセット30mm(純正は40mm)のバグース・オフセットステムTYPE3。シフトライトの付いた回転計はオートゲージRPK-80でヨシムラPRO-GRESS2メーターはライダーが見たときの反射を抑えるバグース・まるみえ君ステーでマウント。
左右マスターシリンダーもゲイルスピードVRCに変わっている。
外装は火の玉カラーに変更(テールカウルはドレミコレクション製)された。
シートはバグースでも人気商品というBAGUS! アラカンターラシートに置換してある。
ステップはモトギヤ製。純正でスイングアームピボット部に付くサイドプレートは外されている。
往年のワークス製エンジンマウントを介して積まれるエンジンは早い時期にヨシムラφ75.5mmピストンによる1121cc仕様でヨシムラST-2カムを組んでクランクに軽量加工とバランシングを行ったものをキープ。外観も早い段階でガンコート仕上げされる。オイルパンもフラットタイプに変更。
オイルクーラーはアールズ・ラウンドタイプからBagus! オイルクーラーキットALLブラック(11インチ16段)に置換された。
キャブレターも以前のTMR-MJNφ38mmからFCRφ35mmに換えたという。
足まわりは今のバグース定番と言える構成でブレーキはフロントがブレンボP4-40RBアキシャルCNC 4Pキャリパー+Bagus! オリジナルワークスエキスパンド フロントディスクローターΦ320 TypeA、フロントフォークは純正φ43mmのインナーチューブにコーティングを施し内部チューニングも行っている。
リヤブレーキもバグース定番仕様でブレンボGP2-CR CNC 2Pリアキャリパーにサンスター・ワークスエキスパンドディスクを組み合わせる。排気系は4-2-1センターコレクト・フルチタンのBagus! フルエキゾーストだ。
リヤサスはゼファー1100純正スイングアームに戻してオーリンズ・ブラックライン(KA965)を組み合わせる。ホイールはマルケジーニM10S Kompe-Evoで3.50-17/6.00-17サイズを履く。








