第3世代ハヤブサの速さをSS→1/4マイルで解き放つ
ハヤブサは初代から現行の第3世代まで一貫した“アルティメットスポーツ”という車両コンセプトを持ち、速さと上質さ、所有感の高さをアピールする。だが特殊な作りという部分はほとんどなく、普遍的な技術の磨き上げでそうした性能を作り込んでいる。水冷DOHC4バルブ直4エンジンも、アルミツインスパーのフレームも、足まわりも、言ってしまえばオーソドックス。だがそのオーソドックスさが主な市場となるアメリカではとくに受け入れられ、ドラッグレースに活用される。ノーマルならその性能が生かせるクラス。手が入れやすく多くの車両が何かしらのチューニングをしたいとなってメカチューンから加給、電子制御にと多くのドラッグレース向けパーツが用意されるという具合だ。
国内の2輪ドラッグレースでもそうしたパーツでチューニングされたハヤブサがタイムを競うのだが、第3世代をそのベースに使ったのが、この車両だ。1990年代に開かれたRRCドラッグレースシリーズや、’90〜’10年代前半にオートポリスで行われたゼロヨンフェスティバル(ともに1/4マイル[約402.1m]戦基本)もターボチャージドハヤブサで走ったベテランの炎(ほむら)貴光さんが、そのライダーにしてオーナー、かつチューナーでもある。JD-STERでドラッグレースに復帰してからはこのハヤブサとGSX-R1000、KATANAを走らせている。
「このハヤブサはノーマルスイングアームでスーパーチャージャーを付けた仕様で1/4マイル9秒03まで来ました。実はロングスイングアームももう手元に届いているのですが、せっかくですからこの仕様で8秒台まで入れたい。このハヤブサはまだ進化の途中です」とは撮影を行った6月8日の第2戦時点での炎さんの言葉。第3戦ではプロオープンクラス用のGSX-R1000がセットアップも決まって8.850秒で優勝、ライダー・炎さんの技量は準備OK。このハヤブサが応えてくれるのも近そうだ。
※写真はすべて2025年6月8日開催のJD-STERドラッグレース第2戦の会場で撮影したものです
Detailed Description詳細説明
スクリーンはゼログラビティ・ダブルバブルスクリーンのスモークを選択。純正メーターの上にはブーストとa/f(空燃比)の各メーターが並び、ハンドル側には水温計と油温計を置く。左右マスターはゲイルスピード・エラボレート、ハンドルはベビーフェイス・レースコンセプト・ハンドルキットを使う。
外観は炎さんがアイデンティティとするゴールドで塗装、シートはスタート時に前方に座り操作を優先、後半に入るとより伏せつつ後輪グリップも高めるべく後ろに座れるようにしたステップドシートを製作している。タンデム部には純正アクセサリーのシートカウルをセットする。
エンジンにはWossner製φ83mmピストン、2mmボアアップシリンダーとコンロッド、MTCロックアップクラッチを組み、写真のTTSスーパーチャージャーを追加。車両ベースが輸出仕様ということもあって問題なく使えているという。電気系は純正ECUを書き換えて使用。マフラーにはバンスアンドハインズサイドワインダー4-2-1タイプだ。
ステップはベビーフェイスに依頼したワンオフ品で、ドラッグレーサーが多く使うエアシフターは使わない。ドライブチェーンはNXリングシールによるEK530 ZVX3。
注目はオリジナルによるフロントのローダウン。フロントキャリパーはゲイルスピード・ラジアルフロントキャリパー4ピストンに変更、ディスクは純正を使う。
スイングアームと3.50-17/6.00-17サイズのホイールは純正で、リヤショックやリヤリンクはオリジナル加工される。シート加工やフロントローダウンとも、興味のある向きは炎さんの主宰するHRM(https://hrm-inc.co.jp/)に問い合せられたい。








