今は新搭載のスーパーチャージャーをセッティング中だ
JD-STERドラッグレースでそれまでの「クレイジー8」クラス常連の立場(同クラスは「オープントーナメント」[1/4マイル<約402.1m>区間タイム8.900秒以上]出走車のうち、予選上位8台[同上限8.800秒]が独立クラスとして競う)から、’24年シーズンからはより速さを目指すプロオープン[制限タイムなし]にステップアップしたレッドモーターレーシングの多田健一選手。
その愛機は2型ハヤブサ。本場アメリカでもストリートバイク系ドラッグレースでは人気のモデルで、それはオーソドックスで手を入れやすい上にノーマルからでもパフォーマンスと耐久性の高い直4エンジン、それを受け止める車体、そして整備性の良さにある。整備性は例えば燃料タンクがヒンジを軸に上に上げられ、するとその下にエアクリーナーボックス、その下にエンジンが次々出てきてアクセスが良いこと。アフターマーケットのチューイングパーツが多いこともプラス要因だ。
そうした要素を持ったハヤブサを元に、ドラッグレースの定番と言えるロング&ロースタイル化。長く低くすることで浮き上がりを避け、大出力を確実に前に進む力に変える。リヤはストリート系ドラッグの流儀でラウンドタイヤを使う。特徴的なデザインのテール/フロントカウルはBUSA向けドラッグレース外装の定番、CATALYST製だ。
これを元に’24年のクラス変更時に新たにTTS製スーパーチャージャーキットを組んで、プロオープンでも上位進出へ狙いを定めた。しかし、国内仕様をベースとしたためか、そのTTSスーパーチャージャーのセットアップに苦しみ’25年シーズンも引き続きデータ取りをしながら出走中だ。ステップアップ以前の’23年は「クレイジー8」(毎戦の予選でトップ8に入っていないとシリーズ上位が狙えない)のシリーズチャンピオンも獲得した実力者&実力車、走りの復活に期待したいところだ。なおこの写真は’25年6月8日のJD-STER第2戦で撮影したものだ。
Detailed Description詳細説明

フロントフォークやブレーキ、3.50-17サイズの3本スポークホイールはハヤブサ純正で、ディスクはブレーキング製ウェーブディスクWK089Rに換装。レース時はブロックスパフォーマンス製タイダウンキットでフロントフォークを縮めた状態で走る。

スイングアームはD.M.E.製10インチロングで、リヤホイールのみゲイルスピード(Type-R、6.00-17サイズ)としたのは軽量化することでホイールスピンを抑制するためだ(重いホイールだと回転時の慣性でスピンが増幅してしまうとは同車を製作したレッドモーターの中村さん)。

CP PISTONSのローコンプ仕様φ81mmピストンにAPE製ロングストローカークランクを組み合わせるエンジン。左下に見える楕円ケース内に入るスーパーチャージャーは'24年シーズンから使用を開始した英・TTS PERFORMANCE製だ。クラッチはMTCのマルチステージロックアップ(回転数に応じて圧着力が変わる)。マフラーはBROCK'Sのサイドワインダーを選択。

燃料タンクはノーマルで後端にはクレバーウルフ製'08~'20HAYABUSA1300タンクプロテクター(カーボン綾織り)を装着する。

コクピットはノーマルベースに過給圧計や油圧計を追加。フロント&クラッチマスターはブレンボRCSを使う。

適切なシフトタイミングが来たときに左スイッチボックスのボタンを押すとテールカウル左のボトルから圧搾空気をエアシリンダー(写真中央)に送り作動させてシフトアップさせるエアシフターはレッドモーターのオリジナルだ。