大排気量&NOSパワーを受け止める車体構成
かつてのZやGSX1100Sといった車両(Zは2バルブ、GSXは4バルブながらともにベアリング支持クランクで、今もNHRAの認めるPSM=プロストックモーターサイクルのベースはこの2車のクランクとクランクケースが基本)同様に、本場アメリカでストリート系ドラッグレースのベース車両として広く使われているハヤブサシリーズ。手に入れやすいこと、意外にシンプルで手が入れやすいこと、また当地では登場した1999年からずっと年に1万台規模で販売を続けたことで台数も、アフターマーケットパーツも多いなどがその理由となっている。
クラスもたくさんあって、ほとんどストックのままのクラスがあればサブコンとマフラーだけのクラス、過給も含めてほぼ何でもありで仕様によってホイールベースは変わるけれどタイヤサイズは同じ(120/70ZR17・190/50ZR17)で制限をかけるというようなものもある。そのUSストリートスタイルは当然ながら日本のドラッグレースにも流入してきていて、考え方はストリートにも通じるものがある。そこで日本最大のドラッグレースイベント、JD-STERドラッグレースシリーズを戦うハヤブサに迫ってみたい。
そのトップカテゴリーにしてまさになんでもアリという「プロオープンクラス」を走るのが、山崎淳一選手の第1世代ハヤブサだ。クラス名こそ変遷してきたけれど、JD-STER設立直後からトップクラスをもう20年近くを走り続ける車両でもある。大排気量化に、NOSによる任意の過給、そのパワーを受け止めるように低く長くされた車体が主な特徴。’25年シーズンは第1戦で決勝トーナメント1回戦敗退、2戦目はマシントラブルでリタイヤとリザルトこそ残せていないが“キマれば速い!”とライバルも口を揃える実力マシンでもある。9月28日、11月2日と今季後半の2戦の巻き返しに注目したい、アルティメット・ドラッグBUSAと言える。
Detailed Description詳細説明

コクピットまわりや操作系は純正ベースだが計器やスイッチ類の追加が目立つ。右端のコードはキルスイッチと連動し、ライダーが落車した際にエンジンを止めるもの。メーター中央上は指定したシフトアップタイミング(エンジン回転数)になると光ってライダーにそれを伝えるシフトライト。そのエンジン回転計上にはシフトインジケーター、その手前にはNOS用スイッチも置かれる。

シフトペダルにはオリエントエクスプレス製エアシフターがセットされる。シフトライトが点いたときにコクピット側のシフタースイッチを押せばエアの力でシフトが操作されギヤが上がる。シフトライト同様に走ることに集中するライダーの操作をサポートすると思えばいい。

エンジンはJE製φ84mmピストンで1299から1397cc化。WEBカムにビッグバルブ、強化バルブスプリングにCARRILLO製コンロッド、BROCK'S PERFORMANCEのバックトルクリミッターキャンセルキットを組み込み、レッドモーターがポート加工。後軸で200PS、NOS(ドライショット)使用で+100PSを叩き出す。マフラーはBROCK'Sのサイドワインダーで、横出しにすることで車高を低くすることができるのだ。

リヤショックもBROCK'Sでスイングアーム前端とタイヤの間のスペースにNOSボトルも収納する。

フロントフォークはハヤブサ純正φ43mm倒立でブレーキまわりにも純正を活用した。

スイングアームはTRAC DYNAMICSの10インチロングでホイールはRC COMPONENTS製ビレット。タイヤはSHINKOでフロントは003 STELTH、リヤにはドラッグ専用の003A HOOK UPを履く。