先端性にオリジナリティ、納得いくまでのオーダー
「コロナ禍の頃にちょっとしたきっかけで二輪免許を取ったんです。いきなりですけど、大型。その免許を取る途中でタイガーカラーのZ900RSを見て格好いいな、これに乗ろうって車両を探し、’19年型CAFEのストームクラウドブルーを中古で買いました。
そこからひとりで走ったり車両をいじったりしてたんですけど、気がついたらRSK(Z900RS九州OWNERS)に加わって、そのミーティングやオフ会ですごい車両を見ていくうちに自分のもこうなった感じです」
オーナーの“チタンニキ”こと飯干さんは、この車両の入手やRSKとのつながりの経緯をこう教えてくれる。元々4輪でもカスタムをかなりやっていて手を入れることは好きだったから、本腰を入れようと火が付いたらそこから先がすごかった。そのすごさは車両の全体の作るからでも、部分部分からでもはっきりと汲み取れるはずだ。
外装は元のストームクラウドブルーのパターンとイメージを軸に、ベース色は黒から紺、青のグラデーションでフルペイントされ、その配色も部分によって変える。純正で燃料タンクサイドからテールカウルにかけて配されるグレー×黒縁取りのグラフィックラインは銀箔×黒縁取りに置き換えられる。カフェらしさを強調するように、カウルは20mm下げた上でヘッドライトはカウル全面と同一面になるよう(純正はその分奥に入っている)に15mm前進と、全体のルックスバランスにも気が遣われる。
その上でG Sense G-Fork41φフロントフォークやメイン部をアルミ削り出しで作るOVERスネラスイングアーム、冷却フィンを備えたフロントのブレンボGP4-MSキャリパーと、新しくて高機能なもの、格好いいものはいち早く採り入れる。
さらにワンオフパーツも目を惹く。曲がりにこだわったグラブバーにフェンダーレス、ドリンクホルダーにサブフレーム、これらはすべてチタン。カウルを支持するステーも位置変更に合わせたチタンワンオフで、前後のアクスルシャフトもβチタニウムの64チタン。こうしたチタンづくしとも言えるパーツセレクト&多数のオーダー製作品がオーナーをして“チタンニキ”を自称させると言っていい。いや、確かにここまでチタンでまとめていく車両、まず見ない。その上にフロントフェンダーステーやヘッドカバーにはエングレーディング(彫金)を施して、独自性をより高めている。
そうしたパーツ群を使ってすごく派手なのにそれを思わせないのは、“脱・金色”というコンセプト(ホイールもチタンアルマイトフィニッシュを選択している点。アルミパーツへの加工もギラつきを抑えている)や、パーツ組み合わせのセンスの現れとも言えそうだ。
ペイントや各部仕様は想像通り、オーダー通りに仕上がるよう、何度も納得するまで手直しを依頼することもあったという。もちろんその分の作業/手直しのコストもかけている。
ボルトオンを主に使いつつ、ボルトオンでまとめる以上のセンスを持ち込んだこのZ900RS CAFE、まさに“ザ・カスタム”と呼ぶにふさわしい内容を持っていると思える。その上で「扱いやすさは損なってないですし、こだわりもたくさん入れました。まだやることはあるというか、きりのない趣味ですよね」という飯干さん。なおRSKでは’25年11月9日に九州・阿蘇でミーティングを行う予定。その現場では、そんなこだわりをさらに進めた状態でのチタンニキCAFEも見られそうだ。
Detailed Description詳細説明

ビキニカウルは純正より20mm下げてカフェらしさを高め、その中に収まるヘッドライトは15mm前へ出してカウルとツライチに。そのためのカウル/ライトステーはチタンでワンオフしている(写真中央付近に見える)が、最も苦労した点ともオーナー。Rizoma製をベースにしたブレーキガードはガード部をチタンとし、各部ボルトも64チタンを次々と使っている。燃料タンクは極薄カーボンによるモトコルセのカーボン フューエルタンクカバー for Kawasaki Z900RS(タンクキャップセット シルバー)を被せた上でペイントを施している。

クラッチはワイヤ式から油圧駆動化した上でマスターシリンダーを右側のフロントブレーキ用とともにブレンボRCSコルサコルタに変更。トップブリッジ(CNC ビレット アルミニウム ステアリング トリプルクランプ トップブリッジ for Kawasaki Z900RS)とアンダーブラケット(CNC ビレット アルミニウム ステアリング トリプルクランプ ロアーブリッジ for Kawasaki Z900RS)はともにモトコルセでハンドルはハリケーンのコンドルを使う。MotoGPマシン調のスイッチも個性を強めるものだ。

シートは表皮ワンオフで両サイドのグラブバーはチタンでワンオフ、フェンダーレスキットやシート右のドリンクホルダーもチタンワンオフ。車体全体には純正色に準じたフルペイントが施されるが、水色〜薄青のグラデーションの方向はパートによって指示を変えている。黒を加えたリヤフェンダーの塗装も同様だ。またラインは銀箔(シルバーリーフ)で仕立てられている。

同軸ペタル式3Dステップ(タイプR)やWHEELIEタンデムステップ専用タンデムステップバー、3Dフレームピボットカバーはウイリー製。3Dエンジンハンガーにもウイリー製を選択した。

シフト部にはTERAMOTO EZ-SHIFTERを追加。フレーム各部にはカーボンカバーも備えられる。サイドスタンドもチタンでワンオフされている。

エンジンはノーマルでアンダーカウルは飯干さんが好きなモトコルセのロゴを入れて他のパート同様にグラデーションペイント。フロント3Dスプロケットカバーと3D ACGカバーはウイリーでチタンサブフレームはウイリーキッズ製。右側のクラッチカバーはトサキレーシングで彫金し、シリンダーヘッドカバーもきれいな彫金が入る。

シリンダーヘッドカバーに入れられた彫金。こうしたオリジナリティ表現もあるのかと思わせてくれる。配線類も車体に合わせたブルーとした。

アウターチューブがシルバーグレーのフロントフォークはG Sense G-Fork41φ。フロントブレーキキャリパーはブレンボGP4-MSでロゴ部に飯干さん自身が面相筆で紫色を入れた。ディスクはサンスター・プレミアムレーシングディスク。フロントフェンダーステーにも彫金が施される。

リヤブレーキもブレンボCNC 2Pリアキャリパーにサンスター・プレミアムレーシングディスク。まさにチタンとワンオフで構成される。排気系はケイファクトリー製チタンエキパイにチタン製のWin Mccoy Neoサイレンサーを組み合わたもの。

リヤサスは紫色のスプリングを持つハイパープロショックにメイン部を削り出しとしたOVER スイングアーム Snella Z900RSを組み合わせる。スタンドフックもワンオフチタン。ホイールは3.50-17/6.00-17サイズのO・Z GASS RS-Aでロゴを自作ブルーに換えている。タイヤはブリヂストンS23でサイズは120/70ZR17・200/55ZR17と、リヤ200幅だ。