外観からも内容からも油冷モデルの魅力を高めていく
飯田レーシングファクトリー代表の飯田さんは自らのGS1200SS(アクシデントからの復帰を機に20年以上さまざまな手を入れてきた1号機と、その手法を集約しつつTOT参戦を目標に作った2号機がある)で油冷車のノウハウを積み上げてきた。一般整備からカスタム、オリジナルパーツにと進んできた手腕は、入庫してくる車両にもしっかり生かされ、その適用幅も広い。このGS1200SSもそのひとつで、一番の特徴は独特、いや、分かる人には分かるカラーリングだろう。
「オーナーさんがレトロが好きな方で、GS1200SS自体がモチーフにした’80年代頃のレーサーの印象を取り込んだんです。中でもヨシムラカラーの車両は多くいます(飯田さんの1号機もそのひとつだろう)から、違ったもので行こうと、同じ頃のGPマシンの印象を。’76/’77年の世界チャンピオン、バリー・シーンのRGB500のものをモチーフに使いました。確かに分かる人は分かるで、街中でも注目されるようです」
飯田さんは言う。黒ベースに赤、黄色を大胆に組み合わせたカラーは当時イギリスでスズキのファクトリーレース活動を担当したヘロン社の、いわゆるヘロン・スズキカラー。これはGS1200SSのスタイリングによくマッチしている。足まわりもGS1200SSノーマルをベースにフロントはテクニクスでカートリッジ化し、リヤはオーリンズ+同店オリジナル補強を加えたスイングアームに。排気系も飯田レーシングファクトリーの新作φ42.7スチールフルエキに同じくアルミモナカサイレンサーを組み合わせて時代感を合わせる。
ブレーキ系もブレンボRCSマスター+同アキシャル4Pキャリパーにサンスターディスクと、きちんと能力を上げる同店お勧めパッケージを使い、ベース機能の底上げもしっかり図られる。
飯田さんはこうした内容設定を「名車のリスペクト」と位置づける。レプリカでもオマージュでもなく、かつての名車のいいところを採り入れながら今らしい進化をさせるという考えだ。確かにパッケージとしてはその通りで、そこにカラーリングが文字通りに色を添えているというところだろうか。油冷を元にしたネオクラシックと取っていいかもしれない。
今後のこの車両は現状で純正のキャブレターやオイルクーラーを換装していくことが視野に入っていて、それらの変化による変わりようも楽しみながら(オーナーもそのつもりでいる)乗ってもらう予定だという。
Detailed Description詳細説明

外装はGS1200SS純正ベースでスクリーンはマジカルレーシング。ヘッドライトまわりはモチーフ車のゼッケンスペースのように黄色い円形で塗られる。全体のカラーはバリー・シーンが所属したイギリスのヘロン・スズキ仕様RGB500('79年型XR21が近いようだ)がモチーフだ。

フロントマスターは今のストリートでも必要な作動性とタッチを持たせるべくブレンボRCSとし、クラッチ側もブレンボRCSに換装した。ミラーはマジカルレーシング・レーサーレプリカミラー・タイプ2ヘッドを使う。

ハンドルはセパレートタイプをトップブリッジ上にセットしてライディングポジションを楽にする。メーターはワンオフパネルに左からスタックST-3802速度計/ST200エンジン回転計/ST-3309油温計を配置している。

シート/シートカウル/タンデムシートカバーはGS1200SS純正または同車純正アクセサリーだ。

エンジンはφ79×59mm/1156ccの純正そのままで、定期的な整備で好調を維持している。フロントスプロケットカバー部に見えるボックスは飯田レーシングファクトリーオリジナルのオイルキャッチタンクだ。点火系はウオタニSP-2を使う。

キャブレターは純正CVR32+TPSをK&Nエアフィルター仕様で使う。今後換装することも視野に入っている。

フロントフォークは純正φ43mmにテクニクス・インナーカートリッジを組んでいる。フロントブレーキはブレンボ・アキシャル4Pキャリパー+サンスター・ネオクラシックディスクφ310の組み合わせだ。

リヤブレーキはがキャリパー/ディスクとも純正。リヤサスはオーリンズ・レジェンド・ツインに、飯田レーシングファクトリーでオリジナルスタビ加工を施した純正スイングアームの組み合わせ。

排気系は飯田レーシングファクトリーオリジナルの「GS1200SS GS-RモナカフルエキゾーストSET」。φ42.7mmエキパイによるスチールフルエキゾーストに「飯田レーシングファクトリー・GS-Rモナカサイレンサー φ60.5」(基本はアルミ地仕上げ)をセット化したもので、で全体の当時感を高めている。

3.50-17/5.50-17サイズのホイールはGS1200SS純正で、ゴールドカラーによってバリー・シーン車のイメージを高めるとともに全体の印象を軽くしている。