カスタムで走ることも意識して“鉄馬”参戦も魅せる
「初代のグリーン(’18年型のヴィンテージライムグリーン)が好きでしたが’20年型でラインナップが終了。それでこの色(’21年型のエボニー)を買ったんです」とオーナー・西嶋さんが言うこの車両。スーパースポーツを買うことも選択肢にはあったが、空冷Zなどのネイキッドの格好良さにカウルでレーシーな感じがプラスされているとして選んだのがZ900RS CAFEだった。
「HSR九州(熊本県)でミーティングがあるというので行ってみると、レースもやってたんです(当地ではミーティング会場になる場所とレーシングコースが近く、よく見える)。私はレースに興味はあったけど、走るつもりはなかったんですね。でも、Z900RSでサーキットを走る人も増えたと聞いて、やってみようと。それでSPA直入(大分県)のライディングスクールにも何度か通って速くなれたかなということで、HSR九州を走るようになりました」
これをきっかけに、車両も、それまでの見せるカスタムという作りから方向が変わっていく。
「サーキットを走ると、“カスタムパーツすごい”って、機能パーツの恩恵が分かるんです。ブレーキや足まわりはとくにでした」
そこから純粋に機能を追う方に行く例も多いが、それだけにしなかった西嶋さんの考えが、興味深いところだ。
「色も含めて“純正をいかに格好良くするか”というコンセプトで手を入れてきていたんです。それでフロントフォークはG-Sense G-Fork41φを、車体色に合わせてアウターチューブをブラック、フォークボトムをブラウンでとカラーオーダーしました。スイングアームはOVERですが、エンドに付くスタンドフックをフロントフォークボトムと同じ色にしてくださいとオーダー。
シートカウルもレオパルド製なんですが、シートの角度を前傾させたり、CAFEの形に合うようにしてもらったら、ほぼワンオフになりました。でもそこはこだわりなんです」
西嶋さんのこだわりは前述の“純正を生かす”が守られて換えたパートが主張を抑えていながらも、機能や一体感を高めたというカスタムらしい作りも大事にされている。そのまとまりがいいから、純正感とカスタムとが両立できているということだ。そしてもうひと味。
「サーキットを走るときは(コースサイドなどから)見られたり写真を撮られたりしますよね。その時に、やっぱり格好良くしていたいし、格好良く見られたい。自分にとっては、見た目でこそ抑えていても、ゴリゴリにカスタムしているバイクで走っているんだというのがいいんですよ」
今ではHSR九州で行われる“鉄馬”(鉄フレームバイクでの草レース)にも参戦している西嶋さん。走りに必要なものだけを残すのもいいが、カスタムもその“らしさ”も、走りとともにしっかり楽しむ。そこが格好いいと思えるし、その意識がきちんと車両に現れているのだ。
Detailed Description詳細説明

サンバーストライクなグラフィックのボディカラーは'21年型CAFE純正のエボニー。フレーム前端部のカーボンハイフローステムヘッドカバーセットやインジェクションカバー部をダクト付きカーボンとしたダブル・バブル・インテーク(D.B.I)などのARCHIカーボンパーツが効果的に配されるのも分かる。ウインカーは細身ボディのハイサイダー製ブロンクスだ。

レーシーな低いイメージと走る際のポジションを決めるべくアクティブ・コンバーチブルステムキットを使った上でさらにハンドルをギルズツーリング・セパレートに変更してちょうどいい低めの位置でセットする。マジカルレーシング・NK-1ミラーは低く前に出すようにボディを置いて前方も後方も視界を確保。フロントマスターはゲイルスピードElaborate、クラッチ側もゲイルスピードElaborateワイヤクラッチホルダーとしてルックスのバランスを取る。燃料タンクキャップにはLighTechを装着。

シート〜シートカウルはレオパルド製Z900RS シングルシートで、シートが平らでなく尻上がりにと加工オーダー。シートカウルも元々直線的なデザインだが、シートから連続するような形に造型も変えた(カウル後半部が元の形状を残す感じ)。シートサイドのグラブバーもカーボンルックとし、その前にはベビーフェイス・レーシングフックも備える。

ステップはモリワキ製でダイノジェット・クイックシフターを追加。チェンジシャフトホルダーを備えたフロントスプロケットカバーはケイファクトリー。ABSユニットやフレームのピボット部にもカーボンカバーをセットする。チタンフレームプラグはモトコルセ。

アルミビレットエンジンハンガー シリンダー側とガードスライダーはストライカー。GBレーシングのカバーを装着したところ、元々結晶塗装していたジェネレーターカバーが隠れたため、この樹脂製カバーにも結晶塗装を施した。またアンダーカウルは吊り下げている感をなくすためにステーを自作して一体感を作っている。こうしたちょっとしたひねりも面白い。

エンジン右側のルックスからもカーボンやGBレーシング・エンジンカバーへの結晶塗装追加が分かる。黒での統一によって純正らしさを崩さないまま、機能を高めるようなカスタムを施していることもきっちり分かる。リヤショックはハイパープロ。

フロントフォークはG SENSE G-Fork41φを'21年型CAFE純正色に合わせてカラーオーダー。フロントブレーキはゲイルスピード・エラボレートキャリパーにサンスター・プレミアムレーシングディスク。フロントフェンダーはエーテック・カーボンだ。

リヤブレーキもゲイルスピード・エラボレート リア2Pラジアルキャリパーにサンスター・プレミアムレーシングディスクの組み合わせ。リヤフェンダーもカーボン化している。

OVERスイングアーム タイプ9はブラックを選択、そのエンドに付くレーシングスタンドフックはフロントフォーク・ボトムピースと色を揃えてオーダーした。ホイールはアルミ鍛造のマルケジーニM10S Kompe-Evoで3.50-17/6.00-17サイズとリヤを1サイズ拡大。充実の足まわりを持たせた。