今のフロント19インチの見本車両としての役目も持つ
先の東京モーターサイクルショーでは多くのデモ車両を展示したヨシムラ。油冷GSX-R750のコンプリートマシンを少し前にこの欄で紹介するとともに、ヨシムラ・ヘリテイジプロジェクトの展開も案内した。改めて概略を記載すると「バイクを愛するオーナーの想いに寄り添い、“愛車とともにこれからも走り続けたい”という願いに応えるために、【YOSHIMURA HERITAGE PARTS】を展開します。このプロジェクトは、ヨシムラパーツ、廃番になった純正パーツの復刻、そしてコンプリートマシンという3つの柱で構成されています」で、パーツサプライヤー各社と連携してラインナップを充実し継続的な供給を目指すということだった。
油冷GSX-R750とともにそのターゲットになっているのが、Z1だ。’70年代のAMAスーパーバイクで活躍したヨシムラZ1、その’77/’78年仕様をルーツとして、公道での快適性を損なわずにパフォーマンスを高めるパーツをヨシムラで開発し販売する。この車両はその開発車で、赤い車体色は前述の’77/’78年仕様、ウェス・クーリー車がモチーフ。既に販売に移されたパーツも多数装着されている。
一番の大物は「フルエキゾースト ストレートチタンサイクロン4-2-1」。チタン製で軽量・高質な作りを持ちながら、あえてつや消し黒塗装仕上げとしてZへの親和性を高める。エキパイはコニカルヘッダー同様の効果を持つ2重管とし、集合部は4-1に見せつつも集合部直後を2重構造として内部で4-2集合、さらに2-1とつながる実質4-2-1の構成として低中速域の出力を確保しつつ過渡特性を最適化した。
またフォークブラケットKITは純正サイズのφ36mmフォーク適合で、フォークオフセットは52・5mm(純正は60mm)として、純正同径を想定しつつ、現在のグリップ力の高い19インチフロントタイヤに合わせるという新発想を持たせた。
TMR-MJN(ここではφ38mm)キャブレターやST-L1/L2カムなどの既製品、さらにパワーフィルター(PF)対応のカーボンサイドカバーに、マフラー換装時にもサイドスタンドを支えてくれるストッパー等も用意と、パーツ充実化は進む。これからの展開、コンプリート車両までもつい期待したくなるが、まずはパーツの続報を待つのがいいだろう。
Detailed Description詳細説明

フォークブラケットKIT(25万3000円)は'72~'75 Z1用でノーマル径のφ36mmフォーク対応。フォークオフセットは純正の60から52.5mmとして現代のタイヤに合わせつつ軽快感を高め、積極的な操作に合うようにした。メーターはモトガジェット製(速度計はクロノクラシックスピード、エンジン回転計はクロノクラシック)を使い、ヨシムラPRO-GRESS2テンプメーターを加える。フロントマスターはブレンボ・レーシング、クラッチホルダーはZETA フライトパーチRDだ。

赤の塗色は'77/'78年のAMAスーパーバイクのウェス・クーリー車がモチーフで、タンク上には彼(故人)のサインも入る。

シートもZ1純正を再生した上で装着している。

ステップはベビーフェイス製パフォーマンスステップキット・Zシリーズ用をセット。その前に見える赤とシルバーのパーツがヨシムラ・削り出しサイドスタンドストッパー(2万6180円)。マフラーにストッパーを持つZ系でマフラーを換装した際にサイドスタンドを受け止める重要パーツでアルミ削り出しのボルトオン。

エンジンはフルオーバーホールして1105cc化され、ヨシムラST-L1カムを組む。キャブレターはTMR-MJNφ38mm+パワーフィルターで、カーボンサイドカバーPF用(2万1780円)は加工なしでパワーフィルターを装着できる設定だ。

排気系は機械曲げのフルエキゾースト ストレートチタンサイクロン 4-2-1(39万3800円)。写真はそのカットモデルで、エキパイはルックスバランスを取った太い外皮の中にコニカルヘッダー同様の効果を持つ細いパイプを配した2重管。4-1に見える集合部は内部で4-2-1と集合して低中速域の出力特性を良化している。

フロントフォークは純正φ36mmをベースにチューニングし、リフレクター装着部にはアルミ製プラグをセット。またブレンボ・アキシャル4Pキャリパー+サンスターディスクのブレーキシステムをコンビネーションする。

リヤブレーキはドラムからディスク化した上でブレンボP2-RS84 2Pリアキャリパーとサンスターディスクをセット。

スイングアームは純正鋼管の下側にパイプを加えるスーパーバイクスタイルで補強、オーリンズ・ブラックライン(KA963)を組み合わせた。ホイールはDIDアルミリムで純正1.85-19/2.15-18から2.50-19/4.00-18サイズにワイド化している。タイヤはブリヂストンT32の110/80ZR19・140/70R18サイズを履き、現代的な19インチ仕様の提案も行っている。