ルックスにも内容にも長く乗るを細かく落とし込んだ仕様
純正からカスタム、パーツそれぞれにまで。そしてサーキットから街乗りまでと幅広い視点をもってCB-Fに向かい合う安田商会。この車両からは、今のCB-Fの大きなテーマ“長く乗る”への対応が分かってきそうだ。カラーからも分かるように、CB750FCがベースとなっている。
「元々は18インチのダイマグホイールを履いてかつてのカスタム的な車両だったんですけどアクシデントに遭って、その後オーナーさんが乗れるようになったから直そうとなって改めて起こしていったんです」
安田商会・安田さんは言う。17インチ仕様も考えられたが、直す着地点は少し違う方に進んだ。
「オーナーさんは50歳を超えたこともあって、長く乗れる仕様、あえてノーマルに近いイメージで作ろうとなりました。それで作った後にもし中古として販売しても次のオーナーも長く乗れる。そんな、10年以上先も古くなってない仕様やデザインで行けるようにしようとなりました」
ベースになるフレームはレーザー測定して修正と補強を行い、前後18インチでマグホイールを使うこと軸に据えると、今までオーナーの好みで使っていたというBITO R&D(JB)製マフラーに合わせて、JBマグタンが選択された。スイングアームもJBセミオーダー、ステップもJBという具合いにブランドを極力揃えた上で、そのブランド(JB)にない部分は安田商会で選択した上でまとめる。
足まわりはリヤのオーリンズショック再使用にあたって、スクーデリアオクムラでオーバーホールとチューニング、フロントも750FCの国内仕様に同じφ39mmのCB900FC純正を選択した上でスクーデリアオクムラでカートリッジフォーク化して「見た目どおりの昔のままでなく、今の動きのいいものにしてます」と安田さん。これは面白い試みだ。
合わせてステムにはジェイズのショートオフセット仕様(純正の45mmから35mmくらいに変わっているとのこと)を装着して18インチで軽快に走る状態を作る。CB750FCも純正で前後18インチだが、FZ~FBの19/18インチと同じステムだったから、そこも手を入れたということ。ブレーキ系も元から使っていたブレンボキャリパー&サンスターディスクは不足なく、そのまま使えた。ただしフロントマスターはラジアル化して、とアップグレードは行われる。
「あえて派手さは抑えてみました」と安田さんは言うが、その派手方向に向かいそうな予算や手法をきちんと内容の方に向けているのは好ましいし、飽きないという要素も込みで工夫したとも分かる。
これに組み合わさるエンジンは、ワイセコφ65mmピストンによる823cc仕様。過去にもオーバーホールしたことがあり、今回は経年等で劣化したであろう箇所の補修と消耗品の交換を行い、在庫していたヨシムラST-1カムを組んだ。電気系も一新し、ここでもあえて純正風に見える小ぶりのアクティブ・オイルクーラーを選択と、前述のように派手さを抑えながら、その細かい手の入り具合がルックスににじみ出るような印象を得た。
安田さんは「17インチカスタム主体の中で、18インチで高級感を持たせるように作りました。足まわりはしなやかにして、サーキットは想定せず峠から街乗りと、普通出会うようなところはしっかり走れる。それでポジションとセッティングは私に合わせました。基準も分かりやすいですからオーナーさんにもすぐ合わせられるし、もし売りに出したいと言われたら自分が買って乗りたい(笑)、そんな仕立てです」
安田さん自身ももう30年近くCB750FCに乗り、いろんな仕様を試してきた。その中で気に入り、これなら長く乗れると考えた仕様の反映。これは確かに飽きも来にくく長く乗れそうだし、思わずほしくなるような質の高さも込められているというわけだ。
Detailed Description詳細説明

ステムはジェイズ製18インチ対応のショートオフセットハンドルは17インチ仕様にするならバーハンを使うつもりだったが、18インチにしたことで純正的なセパレートを、CB750F現役当時のO&T製品を使って実現。ちょっと珍しい仕様だが違和感はない。左右マスターはニッシン製で、CB750FC純正メーターにヨシムラPRO-GRESS2テンプメーターを追加した。

ライディングステップキットはホイールやマフラーに合わせてJB-POWERを使う。

アクシデントに遭う前から好みで使っていた4-1のチタン手曲げマフラーがJB-POWER製だったことから、修理・新作時に各部のパーツをJB-POWER製で揃えて統一感を作るようにした。

エンジンはワイセコφ65mmピストンによる823cc仕様。過去にもオーバーホール履歴があって、今回は経年や使用に連れて悪くなっていたであろう箇所の補修と消耗品の交換を行い、在庫としてあったヨシムラST-1カムも組んで元気良さを演出。あえて純正風に見えるアクティブ9インチ10段ラウンドオイルクーラーの追加や電装系の一新も加えておこう。

キャブレターはFCRφ35mm。安田さんは常々、こうした社外品含むキャブレターの使用年数を気にして、10年、15年経ったら新品に換えることも視野に入れてほしいという。使用による消耗(ボディ側も減るのだ)や劣化での知らず知らずのうちの性能低下を除きたいという気持ちからだ。

3.00-18/4.50-18サイズのホイールはMAGTAN JB3。フロントフォークはCB900F純正のφ39mmをスクーデリアオクムラでカートリッジを加える加工を行い、外観は純正ながら中身はしなやかに動く最新という作りを得た。フロントブレーキはブレンボ・アキシャル4ピストンキャリパー+サンスターディスクだ。

リヤブレーキはブレンボP2 32 2Pリアキャリパー+サンスターディスク。

リヤのオーリンズ・フルアジャスタブルショックは前仕様から引き継いだ上でスクーデリアオクムラにチューニングを依頼。スイングアームはBITO R&D(JB-POWER)アルミのスクエアチェーン引きタイプだ。ドライブチェーンはEK ThreeDの530Zを使う。