らしさと運動性能を高めつつ純正同等の扱いやすさを維持
かつてはGSX1100Sをベースにそのコンプリートカスタム、ヨシムラ1135Rまでを世に送り出したこともあるヨシムラ。そんな経緯を持つ同社が、デモバイクとして現代に製作したKATANAカスタムだ。自社のKATANA用製品だけでなく、同社が使おうと思うパーツも組み合わせてまとめられている。
外観やポジションに関しては純正よりも全高を高くしたウインドアーマー(スクリーン、販売中)、純正のアップハンドルよりも低く前傾姿勢を作るハンドルのXコントロール(干渉を抑えるタンクカバーともに試作品)、このハンドルに合うX-TREADステップキット(販売中)によって、ぐっとGSX1100Sカタナに寄せられている。前方視界がそうだし、車体とライダーの位置関係もカタナ的になっている。Xコントロール・ハンドルキットはグリップ位置を低く/遠く/狭くしただけではなく、カタナの純正セパレートハンドルが持つ垂れ角と絞り角をに再現していて、これが純正採用されればと思うほどだ。
もちろん、’19年から販売が始まった現行KATANAのノーマルでもカタナに通じる素性はある。デザインは往年のカタナの新しい解釈という雰囲気で、エンジン+シャシーのベースは’15年登場のネイキッド、GSX-S1000にある。さらにその原点はと言えば2005年のGSX-R1000K5だ。エンジンはロングストロークの並列4気筒で、スーパースポーツベースながら異例の低中速特性の良さを持ち、アルミツインスパーのフレームも足着きなどストリート用ベースに適していた。
そのうち、まず外観とポジションで、カタナ感はぐっとアップしている。動力系に目をやると、機械曲チタンサイクロン・デュプレックスシューターとこれに合うようにセッティングされた専用のTMSファンネルキット。これだけでも十分なのだが、この個体ではさらにサブコンで燃料噴射マップを調整し、全域でのパワフルさとコントローラブルさを詰めている。
車体系ではオーリンズ製フロントフォークインナーカートリッジにリヤショック、サンスター・プレミアムレーシングディスク、ハイグリップ&オールラウンドのブリヂストンS23タイヤ、そしてドライカーボンホイールなどを贅沢に使い、路面情報をライダーに上質に伝え、車体制御への自在さを高めている。このあたりはベースとなるGSX-R1000K5のスーパースポーツの良い感覚がアップという感じだ。
そして、こうしたパッケージの仕上がりによって、このヨシムラ・カタナに使われた各パーツ個々の良さが分かってくる。一番る期待したくなるのはXコントロールハンドルキットだろうか。その登場を、先の東京モーターサイクルショーで展示された車両に装着されたカーボン外装(この車両もXコントロールハンドルキット/適合形状タンクカバーの試作品を装着し、軽さ体験車となっていた)とともに期待したい。
Detailed Description詳細説明

KATANA純正のハンドルマウントにブラケットをマウントし、その先にセパレートのバーをセットするという独創的な構成のXコントロールは試作品。フロントマスターおよびクラッチホルダーはともに純正でレバーをZETAフライトパーチに変更。ブレーキ側にはヨシムラ・ブレーキレバーガードも備える。ヨシムラ・ウィンドアーマーはベースブラケットをカウルに取り付けた上でカタナのように4本のボルトでスクリーン本体をマウントする。

ヨシムラロゴがレリーフで入れられるタンクカバーはFRP製で、前側を絞り込んでステアリングを切ったときにもハンドルを握った親指が干渉しにくいデザインとした。

ヨシムラ・Xコントロールハンドルとセットで使いたいヨシムラ ステップKIT X-TREADは、バー位置が5段階に調整できる。どのポジションを選択しても、ステップバーはSTDより上方/後方となる。その前(写真では右)に見えるのはヨシムラ スイングアームピボットキャップ(スレートグレーのみ)だ。

エンジン内部はSTDのままだが、吸気系にはトルクカーブを改善するヨシムラ TMSファンネルキットを装着。ラジエターコアプロテクターやレーシングスライダー/エンジンガードキットのPRO SHIELD各製品、サービスホールプラグなども、ヨシムラのオリジナルパーツ。

エンジン左側でもヨシムラ PRO SHIELDレーシングスライダー.エンジンガードキットが見える。この車両ではサブコンのBAZZAZユニットを加え、燃料調整を行っている。

フロントフォークはφ43mm倒立の純正にオーリンズ・インナーカートリッジ(KATANA用の市販設定はなし)を組んでセッティング。フロントブレーキのブレンボ・ラジアルマウントキャリパーはKATANA純正で、ディスクはサンスター・プレミアムレーシングディスクに変更した。

リヤショックはオーリンズSU509に換装しスイングアームはKATANA純正。ターンシグナル付きスイングアームマウントリヤフェンダーは撤去した上でヨシムラ フェンダーレスKITを装着している。ホイールはカーボン製を履き、タイヤはブリヂストンS23に。リヤブレーキはKATANA純正でドライブチェーンはRK。

マフラーはヨシムラ 機械曲 チタンサイクロン Duplex Shooter(サイレンサーはTTチタンカバー)。写真に見えるサブサイレンサーの採用によって、伝統的なスタイルと現代的な性能を両立している。